有吉佐和子のレビュー一覧

  • 複合汚染
    環境に興味のある方は、ぜひ読んで欲しいな。もうかれこれ30年以上前に書かれたものだけど、現状はあまり変わってないことが実感出来る一冊。しかし30年も前から、有機野菜を推奨していたなんて…。
  • 複合汚染
    朝日新聞の小説欄で、工場廃液、合成洗剤、化学肥料、除草剤をはじめとするもろもろの毒性物質の複合がもたらす汚染の恐怖、自然と生命の危機を訴え、世間を震撼させた話題作。今読んでも、その日から汚染についての意識が変わる、事実の持つ重みとインパクトがある。
    今まで食や農業について無関心であった人でも関心が深...続きを読む
  • 芝桜(下)
    同じ芸者屋で、同じ環境のなかで育ちながら
    全く違う性質をもったふたりの芸者のはなし。

    タイプは違えど、それぞれにとび抜けた美しさをもっているのに
    その美貌と賢さ、実直な人柄で最高の旦那の寵を受け、
    押しも押されもせぬ売れっ妓芸者になってゆく正子に対し
    小狡く、芸者の軽蔑するおこないをくり返して
    ...続きを読む
  • 不信のとき(下)
    妻にはないマチ子の淑やかさに浅井は惹かれていく。マチ子は子供を産みたがっていたが、浅井はあくまでも遊びのつもりだった。一方、初老の小柳は未成年の愛人に翻弄されていた。そして、不妊のはずの道子が妊娠した時、すべての歯車が狂い始めるのだった―。浮気が発覚して狼狽する男の愚かしさと、愛が憎しみに変貌した時...続きを読む
  • 不信のとき(上)
    大手商社の宣伝部に勤める浅井義雄は結婚して15年。だが、妻・道子との間に子供はなかった。過去二度も浅井に浮気された経験を持つ道子は夫の愛情をつなぎとめようと必死だった。そんな折、取引業者の小柳と銀座で飲み歩くうち、浅井はマチ子というホステスに誘われるまま一夜を共にした。それが自滅へ至る第一歩だとも知...続きを読む
  • 複合汚染
    父が持ってた本で、何気なく読み始めて衝撃を受けました。
    自分が生きてる環境が、こんな状態だったなんて。
    しかも、この本が書かれた時代から今、決して汚染の状態は改善されたとは言えないことに。
    これまで何も思わず食べたり使ったりしていたものが、無言の脅威に見えるようになりました。
    誰もがこの中で生きてる...続きを読む
  • 一の糸
    有吉さんの芸者モノ?はそこそこ読んだのですが、文楽モノは初めて。もう少し古典に明るければもっと染みてくるものがあったのだろうと思います。しかし、好きな男にちなんだ柄の着物を身にまとったりするような愛情表現は今ではすっかり廃れてしまったのか。観劇をする方々はそういうこといまだしているのかなといったこと...続きを読む
  • 複合汚染
    これも有名な本ですが、かなり学ばされました。
    『沈黙の春』と近い内容ですが、もっと分かりやすく書かれています。

    前半の無駄な話は読み飛ばしてください。
    本題は後半です。

  • 一の糸
    実は佐和子の小説はこの辺の時代の方が好き。他も好きですが。
    無骨な匠を感じるし。一の糸ってどんな音なのか読めば誰もが聞きたくなってくる魅力がある。
  • 芝桜(上)
    上下巻、立ち止まることのない、怒涛の読書。正子の気高さもなかなかだが、蔦代の不気味さは並々ならぬもの。得体の知れない生物を見ているような不安定な気持ち悪さがあった。<上下巻>
  • 香華
    わーやっと読み終わった・・・

    もう絶版なのか本屋で売ってないから古本で購入。

    まだ有吉佐和子の小説は3冊目だけど、登場する女性達、私好きです。

    もう時代とか関係なく、彼女らの何かに固執する強さとか
    ぶれない芯みたいなものを揺ぎ無く押し通す姿勢って
    見てて気持ちいいし、天晴れだと思いま...続きを読む
  • 一の糸
    「文楽」の世界を舞台にした話。

    茜は徳兵衛に恋をしているというより
    徳兵衛の「芸」に恋をしている。

    けど実際恋なんていう軽い甘いはかないものではなくて、
    一の糸が作り出すように激しく太くて強いもの。

    茜の一途さには圧倒されるが、茜の母の世喜の母としての強さに
    心打たれます。

    ...続きを読む
  • 不信のとき(上)
    ドラマではあまりにもきれいごとのように描かれていて非常につまらなくなってしまいました。やっぱり原作の方が面白いです。
  • 芝桜(上)
    女の子が、身近な人や環境の影響と、自分自身の成長の織り成しによって、女になり女性なり生きていく、そこで描かれる美しい主人公たちと、美しいところで終わらず、醜いところまで隠さず見つめる有吉佐和子の筆が好き。「芝桜」は華やかな花柳界の成り立ち、人間VS人間の心の綾を深く観察していてなんとも素晴らしいが、...続きを読む
  • 不信のとき(上)
    上巻のハイライトは「あのとき離婚しなくて本当によかったわ。私のいまの幸せは、あなたが卑怯だったお陰で掴めたのだと思っているのよ、浅井さん」という千鶴子の台詞。こんな復讐の台詞、機会があったら言ってみたいものです!そして下巻は、なんといっても道子&マチ子鉢合わせシーン!怖いです、怖すぎです!マチ子「そ...続きを読む
  • 芝桜(下)
    一気に読んじゃいました。
    有吉さんは、ワルイ女を書くのが上手ですね。
    信心深く、親孝行で、花を愛する蔦代も、男からも女からも、むしりとるだけむしりとって阿漕に稼ぐ蔦代も矛盾しないで存在する。その見事さが、悪い女は全てが悪いかのような錯覚を持っている私達に違和感を持たせるのだろう。主役は正子だが、正子...続きを読む
  • 芝桜(上)
    正子のプライドの高には恐れ入ります。(蔦代の世渡りの上手さも。)着物描写が秀逸。着物が着たくなる一冊。
  • 芝桜(下)
    「男なんて信じるもんじゃないわ、信心するなら神様仏様よ」なんて言ってしまう信心深い悪女の蔦代がやっぱりいいです。見事に主人公を振り回してしまうなんてさすが有吉佐和子の書く女は惹き込まれます。
  • 芝桜(上)
    親孝行で信心深く、男をたぶらかし続ける悪女・蔦代がすごい。この矛盾を一人の女の中におさめた有吉佐和子のすごさがわかります。
  • 香華
    有吉佐和子さんの本の中で一番お気に入り。女性の内面の感情描写がすごいです。大正(明治かも)から戦後まで行きた女性主人公の生きざまの話。主人公が賢く仕事も出来る人で好き。遊女の母への愛憎っぷりがすさまじいです。超憎いし腹立つけど結局許して受け入れる親子愛。主人公が同じ名前だから余計感情移入。
    最近の小...続きを読む