有吉佐和子のレビュー一覧

  • 紀ノ川

    自分のひいひいおばあちゃんくらいが花の世代かな?そう思うと、女性がとんでもなく「家」に縛られて生きていたのは割と最近なんだなと、驚く。プラスチックを始めて触るシーンとかも、世代を逆算して考えると面白い。
    有吉佐和子の作品、もっと読んでみたい。たしかに努めて娯楽的にしている面も感じなくはないけど、女...続きを読む
  • 夕陽ヵ丘三号館
    評価は5.


    内容(BOOKデーターベース)
    一流会社勤務の夫の転勤に伴い、東京で憧れの社宅暮らしをスタートした音子。喜びも束の間、社宅内の人間関係に振り回されてゆく。一人息子・悟の教育問題、見栄と欺瞞に満ちた主婦同士の情報戦に追い詰められ、焦った音子は愚かな行動に出るが―痛烈な人間描写、現代のド...続きを読む
  • 華岡青洲の妻
    物語そのものよりも、史実からこの物語を描き出す有吉佐和子の洞察力と、その本質である「家」と女ってとこに踏み込む明晰さにビビる
    頭良すぎるのに圧倒される作品だけど、作品としては、一の糸のほうが良い
  • 華岡青洲の妻
    華岡青洲(はなおか・せいしゅう)を語るには、まず麻酔の歴史を語らねばならない。欧米ではじめて全身麻酔がおこなわれたのは1840年代。アメリカの歯科医モートンがエーテル麻酔による公開手術を成功させ、それまでは泣きさけぶ患者を押さえつけておこなわれていた外科手術に大きな革命をもたらした。以降、麻酔法は欧...続きを読む
  • 断弦
    【絶えて,続いて】日系二世の米国人と結婚したことを端緒として,地唄の名人であり師でもある父・菊沢寿久から勘当された邦枝。父への思いを断ち切れないまま,渡航の期日が迫ってくる中,寿久の側は,娘に対する嫉妬にも悲しみにも似る感情を抱いていた......。伝統の隔絶と継承を描いた長編小説です。著者は,『悪...続きを読む
  • 複合汚染
    この本は 昭和40年代後半から50年代前半 朝日新聞に掲載された連続小説で当時社会問題となっていた環境汚染をうまく伝えている。当時話題の小説だったわけで  自分が育った時代 戦後の高度経済成長期の真っただ中 複合汚染の中だったことに検めて知って驚く。 自分がこんなに無知だったとは・・・。あらゆる分野...続きを読む
  • 華岡青洲の妻
    物凄い一冊。どの時代においても先駆者と呼ばれる人は苦労と努力を繰り返してきたんだなぁ。結婚に対しても考えさせられた。もっと評価され、取り上げられるべき一冊だと思う。
  • 香華
    私、たぶんこれを学生時代に読んだ。気がする。そしてたぶん当時は自分から遠い話だったので、あまり感慨を抱かなかったと思う。こういう、女であることを意識させられる女性主人公のものは苦手だったし。

    郁代は確かにどうしようもない母親だけど、突き放すこともできない朋子の気持ちがとても、分かる。
    朋子が再三言...続きを読む
  • 華岡青洲の妻
    日本の小説では一番好きな作品かも。

    旦那を立てるという、本来控えめな妻の立場なのに、全然違う。主人公のあの芯と意志の強さに、つくづく感嘆。

    女って、大変だよなぁ…。
  • 複合汚染
    すごい本だった。約40年前に発表された、環境汚染に関する本である。発表当時は社会にかなりの衝撃を与えたに違いない。
    朝日新聞に連載され、小説という形態をとっているものの、作者の綿密な調査・研究に基づくノンフィクションである。日本人を取り巻く、大気、水、土の農薬や化学物質による汚染に警鐘を鳴らしている...続きを読む
  • 華岡青洲の妻
    切れ味、迫力あり。芝居にもなり有名な作品であるからこそ、だいたいのストーリーもわかっていて読んだ気になっていたが、それはもったいないことだ。きちんとこの文章を読むべきだ。これぞ小説だ。
  • 華岡青洲の妻
    「生まれてくるのが華岡の家の者というなら、産もうとしている加恵は華岡家ではまだ他人なのか。加恵の歯も舌も胃袋も、華岡家の代継ぎを養うための杵と臼のような道具でしかないというのか。」

    再び有吉佐和子。読むとそうそう、有吉佐和子といえばこれこれと頷くような女の妬みや情念の世界に引き込まれる。

    社会に...続きを読む
  • 芝桜(上)
    正子と蔦代の2人の芸者の人生。とにかく蔦代のつかみどころのない無気味な性格が印象的。
    上下巻たっすりおもしろかった。
    その後の人生も知りたい。
    そして着物の描写が素晴らしく、正子が鶴弥にもらった漆の黒い着物を見てみたい。
  • 芝桜(下)
    蔦代が気味が悪く、正子の逆上するがよくわかる。本当に面白い。
    続編があると知り喜んでいるところ。
    早く読みたい!
  • 芝桜(下)
    驕り高ぶり余裕をみせると、蔦代のような女からは隙を衝かれる。阿弥八姉さんの言うとうり格が違うし本当に賢い人はこういう人を寄せ付けないし正子を本当に守ってくれてる人が側にいたら寄り付けなかったはず。正子も天涯孤独でそして若い時に贅沢三昧を覚えた芸者は堅気にはなれない。本人がその気でも世間はそんなに甘く...続きを読む
  • 芝桜(下)
    有吉さんの描く「女」はだいたい不気味で怖い。嶌代の何が怖いって善と悪が半分ずつ彼女の中に存在していて、どっちも本当の嶌代だってところだと思う。
    こんな人が友達だったらと思うとぞっとする。
  • 母子変容 下
    天は二物を与えずという事で納得しておきたい一般人。美貌に恵まれた人はどんなに骨身を削って努力をしても外見でしか評価されない。中身を評価してもらいたい為にあえて外見を醜くする美人の話しは昔からある。それでも、やはり評価はされない。だから美貌に恵まれた人は一般人よりも強い精神力と教養と知恵がないと辛い。...続きを読む
  • 複合汚染
    題名からあまり関心を惹かないものだった。読んでみて、衝撃だった。昭和49年に書かれた内容から、消費者の野菜に対する考え方は変わっていない。そのため、有機の野菜が儲からない構造も変わっていない。
    火が文明の始まりで、それと同時に虫歯が始まった。
    稲を植えた後にタマネギを植えると良い。コンパニオンプラン...続きを読む
  • 複合汚染
    小説というよりは、ドキュメンタリーに近い。
    高度成長期の日本では、環境破壊がすすみ、深刻な問題となっていた。
    この作品が注目されたおかげで、各自治体を含めた国の黄河への取り組みが行なわれるようになったそう。
    分厚い本ではあるが環境問題に関心のある方にはおすすめ。
  • 一の糸
    酒屋の箱入娘として育った茜は、17歳の頃、文楽の三味線弾きの弾く一の糸の響に心奪われた。
    天真爛漫で一途な茜が、彼の後妻となり、芸道一筋に生きる男を支える、波乱万丈な愛と芸の世界を描いた物語。

    戦前から戦後にかけて、「文楽」という私の知らない世界で、芸に生きる人々の粋な様子と、愛に生きる茜のひたむ...続きを読む