澤田瞳子のレビュー一覧

  • 歴屍物語集成 畏怖
    面白かった!
    怒涛の一気読みでした。

    天野先生の『死霊の山』がお気に入りです。信長が仏閣を焼け打ち、撫で斬りにしているのは有名ですが、この物語のラストシーンが胸に染み入ります。
  • のち更に咲く
    スリルある平安ミステリー小説。
    「真と嘘」は明確にされていくのでモヤモヤはなくスッキリ読み終えました。
    優しく切なくも美しい終幕♡
    本帯の言うよう「艶やかに魅せる澤田絵巻」
    全くそのものでした。

    高雄の守りたかった御位子。小紅、忠信、保昌がいるからきっと大丈夫!と私は思っている。
  • のち更に咲く
    道長邱で働く女房、父も兄も犯罪者で既に死んでいる。しかし盗賊の親分は死んだはずの兄だと噂が流れる。

    すごく面白かった。道長を含む貴族たちの権謀術数と道長を嫌う人達の憎悪を中心に描くミステリー
  • のち更に咲く
    平安時代、権力の頂点に登り詰めていく藤原道長の陰で、失意の涙に沈んだ人たちはどう生きたか。
    歴史上の人物に大胆な配役が与えられている。
    盗賊として捕えられ獄死した、藤原保輔(ふじわらのやすすけ)だが、彼を忘れえぬ人々の想いは密かに咲き続ける。それは、あだ花なのだろうか。
    冷や飯食いの藤原たち、高貴な...続きを読む
  • のち更に咲く
    平安の藤原一族が栄華を極める時代の影に光をあて、同時代に生きた実際の人物を元に作者の創作が加わり、奇想天外な想定にハラハラドキドキ。
    寝ても覚めても続きが気になった小説でした。
    藤原保輔という貴族の生まれでありながら、呪われた六条の家系に翻弄され、盗賊になった小兄の生き様を知るべく、妹の小紅。忌まわ...続きを読む
  • 月ぞ流るる
    人はとかく、目を惹くものばかりを信じがちである…人目にはつかねど内心で案じている者は幾人もいる…p.336
    順調でなかったり不幸だったりどん底では辛く悲しく孤独に陥ったりしたこともあり、そんなこともあったときには静か〜
    に寄り添ってくれる優しさもあったなと…この本を読み終え改めて思い心温もる。
    頼賢...続きを読む
  • 月ぞ流るる
    澤田瞳子さんの文章は、とても素敵でグッとくる表現が多い。本作も物語や史書の在り方の箇所は、とても良かった。

    内容は赤染衛門を中心に据えて、生い立ちとか『栄花物語』を書くきっかけといったような内容かと思い読み始めてしまったので、頼賢がメインになったり謎解きのようになってしまったりと、少し自分の読みた...続きを読む
  • 月ぞ流るる
    許される限り、この世のありとあらゆる物をこの目で見ておきたい。
    そしてそれを書き記して世の人々に知らせたい、という「物書きの業」
    人々はどのような読み方をしてくれるのか、密かに込めた真意を汲み取ってくれるだろうか?
    紫式部が、清少納言が、そして赤染衛門が抱いたそんな思いを、作者も胸に抱いているに違い...続きを読む
  • 月ぞ流るる
    初めて澤田瞳子さんのこの本を読みました。
    そこに居られた人々の懊悩や優しさ、その時代の設いが文章が流れるように美しいですね。
    物語をどう伝えようかが 作者と朝児が交差している様子が垣間見られ 一体化していくようで素晴らしかった。
    三条天皇のことや栄花物語、他の読みつがれいる物語を是非読んでみようと思...続きを読む
  • 駆け入りの寺
    優しい元揺の登場が毎度待ち遠しく読み進めてました。歴史背景知識はあまり必要なく読み進められるので、澤田瞳子小説にしては読み進めやすい作品だと思う。
  • 月ぞ流るる
    犯罪疑惑を解き明かすミステリー要素あり、政治的対立のドロドロありで波瀾万丈の物語でした。面白く読みましたのでオススメ。
  • 駆け入りの寺
    皇女のために建立されたお寺の歳時を描きつつほっこりとした人情話を。
    それぞれの苦しみを優しく解きほぐしてくれる。
    仕事に疲れたあなたに。
  • 月人壮士
    良かった!
    螺旋プロジェクトで巡ってきて、単体では絶対に読まなかったであろう歴史物。
    頼朝あたりまでは、興味を持てば読んだりしましたが、まさかの奈良時代、聖武天皇。
    この時代は、藤原、麻呂麻呂いっぱい問題で、人の名前を覚えるのも困難で本当に苦手。
    巻頭に家系図がついてなかったら挫折してました。

    ...続きを読む
  • 関越えの夜 東海道浮世がたり
     12の短編が1章ごとに薄く繋がり、日本橋から京までに起こる小さな出来事を紡ぐ。人情物や滑稽話が多いが、江戸時代の悲しい真実・世相を反映した話も多い。
     20〜30pの中で読者を引き込み、少し意外な展開と変化する主人公らの心情を鮮やかに映し出す作者の筆力には感嘆する。
     どの話にも思いところはあるが...続きを読む
  • 恋ふらむ鳥は
    飛鳥時代、白村江の大敗から壬申の乱を歌を交えつつ、額田王視点で描かれる。
    この小説の特徴は、額田王が色の識別ができない設定であり、葛城(中大兄)、大海人の異父兄の漢皇子の存在。
    額田王が色がわからないというのは、史実かどうかはわからないけれど、色のわからない額田に「茜さす〜」の歌を読むことができるの...続きを読む
  • 月人壮士
    様々な人物から見た「聖武天皇」について描いた1冊。
    難しいと言う意見を何度か目にしたが、個人的にはその難しさが物語に深みを与えていたと思う。
    古代の文献を読んでいるかの様だった。
  • 泣くな道真 大宰府の詩
     「知恵の神様」或いは「3大怨霊」として言わずと知れた菅公こと菅原道真。怖そうな人物のわりに表紙のイラストがとてもかわいらしく、思わず手にした1冊。
     彼は中流貴族でありながら、自らの才能により文章博士・右大臣にまで昇進したものの、藤原氏の妬みにあい、大宰府に流された。当初、この宿命を恨み続けていた...続きを読む
  • 満つる月の如し 仏師・定朝
    藤原道長人生終盤頃の時代背景。平安時代の仏教、貴族や庶民の仏教感をわかりやすく物語られていた。
    仏師の定朝の若い頃から平等院鳳凰堂に阿弥陀如来像を安置する晩年期頃までが舞台。

    登場人物 中務。他登場人物(定期、敦明、隆範、彰子、道雅…)の心に宿ることとなる菩薩な存在の偉大さに愛を越える慈悲をみた気...続きを読む
  • 月人壮士
    螺旋シリーズ7冊目。

    唯一の欠点は、登場人物の名前と読み方や出てくる漢字の読み方が一向に覚えられないこと!最後まで家系図のところに栞挟んで読んでたわ。
    それ以外は果てしなく良かった!
    螺旋シリーズで一番良かったかも知れない。
    何が良かったかというのは正直はっきりとは語れないんだけど、なんかこう、し...続きを読む
  • 月人壮士
    螺旋プロジェクト(私の中で)4冊目。

    一言で言うととても好みの本だった。
    螺旋プロジェクトは海族と山族の対立をテーマとしているが、この本は聖武天皇の内なる葛藤を対立として描いたもの。

    以下少しネタバレ含む
    父親から受け継ぐ天皇家としての山族、それを侵食するかのような藤原氏の血を引く母親は海族とし...続きを読む