澤田瞳子のレビュー一覧
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能を題材にした短編八話。奈良時代、平安時代あたりか。不安な運命に生まれながらも、逞しく生きる決意を書いたものや、転んでもタダでは起きない女の底力、嫉妬を書いた物など、どれも30ページ程にも関わらず、グイグイ引き込まれる。最後の光源氏の妻、葵の上を書いた話などはとても印象的。能楽が元という先入観もある...続きを読むPosted by ブクログ
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時代が明記されていない作品もあるものの、おおむね古代~平安時代あたりが舞台でしょうか。
能楽の名曲からインスパイアされた作品が並ぶ短編集です。
もちろん元ネタは知らないものばかりでしたが、能楽の名曲が基底にあるとはいえ、どれも絶妙なひねりを加えている印象を受けました。
本書は貧しい立場に置かれた...続きを読むPosted by ブクログ -
2019年ベストの小説。
国を思い、義を貫く若者たちの生き様を描いた奈良の時代小説。
■各人物の義を通す姿が熱い
斐麻呂、雄依、上信を中心に仁義、仲間を最後まで優先させる姿に心惹かれる。それ故に政変に巻き込まれ、生まれる悲劇がより悲しく、涙を誘ってしまうのだと思う。
また、義を貫く彼らへの単...続きを読むPosted by ブクログ -
大変面白かった。命を救えなかった人たちを無駄死にさせてはならないという気持ちで流行り病に立ち向かおうとする姿勢に感銘を受けた。
天平時代て、まるで世の中の様子も想像できないけれど、緻密な筆致で充分補完できる。澤田さんの他の作品も読んでみたい。Posted by ブクログ -
歴史の表舞台に立つ人たちの話ではないけど、ちゃんと実在のモデルがいるところが、単なる物語(作り話)に思えなくてワクワクした。奈良時代って、平安時代よりも帝や妃との距離が近いのかな?Posted by ブクログ