澤田瞳子のレビュー一覧

  • 月人壮士
    聖武天皇の遺召を探すために、選ばれた中臣継麻呂と道鏡。

     それは本当に存在しているのか?
     何故、帝になった安部帝はそれにこだわるのか?

     天皇家(山の一族)と藤原家(海の一族)の血を引いた聖武天皇が何を思い、自分の中にある対立するものをどう受け止めていたのか。

     螺旋プロジェクトで書かれた作...続きを読む
  • 若冲
    冷たい風が足元から這い上がってくるような寂しさを感じた。特に親交を結んだ数少ない友人の池大雅が亡くなって以降の老齢期の若冲の姿は寂しくて悲しくて。でもまだ自分に向き合う姿が彼の真の強さを物語る。
    一気に読ませる大作。いい話だった。
  • 泣くな道真 大宰府の詩
    逸話でしかあまり知らない道真公の太宰府生活、息子の死は非常に悲しいが、本当に終わりの方にある生活だったとしたら楽しいなぁと。
  • 輝山
    江戸時代の石見銀山が舞台。代官の身辺を探るために江戸から遣わされた中間の金吾。銀山で命を削りながら働く堀子やその仲間達と酒を酌み交わし、代官の真の姿に触れ、気持ちが揺れる。生きること、真の政とは何か、大事なことを教えてもらった気がする。
  • 泣くな道真 大宰府の詩
     太宰府へと貶遷された菅原道真の活躍を描く痛快歴史ロマン。シリーズ1作目。4章および終章からなる。再読。

         * * * * *

     澤田瞳子さんには珍しくコミカルで軽めの作品ですが、その分すべての主要人物が生き生きと描かれていました。

     まずは「うたたね殿」・龍野保積。出世の先が見えた中...続きを読む
  • 与楽の飯~東大寺造仏所炊屋私記~
    澤田さんの作品は、やっぱり面白い。この作品も、以前本屋の店頭で見たことはあったけど、何か堅そうでスルーしていたんだけど、読んでみたら、全然そんなことはなくて、続編が読みたい!
  • 火定
    一気に読み終わりました。
    いやぁ、もう、言葉を失ってしまうほど激動の物語。
    人のなんと脆く強く温かいのでしょうか。
    コロナ渦の今だから、なお響いたのかもしれません。
    人の弱さ強さも生死も、全てが紙一重。
    この積み重ね、犠牲や痛みの上に今の我々があると痛感し感謝の念。
    医療従事する全ての方へ感謝。
  • 時代小説アンソロジー てしごと
     このアンソロジーに出てくる女性は皆、己の仕事に誇りをもつ人ばかり。

     女のくせに、女だからという心無い言葉に打ち据えられても、負けずに自分の生きる道を開いていく姿が魅力的です。

     とくにあさのあつこさんの『おもみいたします』が好きですね。私もそろそろ整体か、リンパマッサージに行きたい。
    身体ボ...続きを読む
  • 火定
    コロナで闘う現代、もっともっと前の流行病のあった時代のお話。
    目に見えない敵を相手に人は優しくも愚かで弱い。
  • 恋ふらむ鳥は
    政と戦。歴史的中心人物:天智天皇や天武天皇の側であまり語られることない活躍した人達の苦悩や葛藤、命懸けの活躍を、額田王が自身の行動力で鍛えられていく洞察力で語られるストーリー。壬申の乱闘う人達の必死さ恐れ怯えや絶望などなど表や裏や内心いろんなことが見事に想像でき、引き込まれました。
    貴族の歌人とは優...続きを読む
  • 与楽の飯~東大寺造仏所炊屋私記~
    登場人物の名前など、描かれている時代柄、読みにくさはあったが、とても引き込まれる内容だった。「大仏も誰かが作ったものなのだ」という、あたり前の事実と、無理やり動員されてきて大仏造立に携わるうちに、次第に心が変化していく人たちの姿と、働き、食べ、いずれ老いていく「生きる」ということと。余韻の残る作品だ...続きを読む
  • 落花
    “時代モノ”ということになる本作である。平安時代、10世紀頃を背景とした物語で、なかなかに興味深い。
    本作の主要視点人物のモデルとなっているのは寛朝(“かんちょう”または“かんじょう”)(916-998)という僧である。この人物に関しては、平将門(903-940)が引き起こしたという騒乱を鎮めるべく...続きを読む
  • 若冲
    近代や現代の絵画なら当たり前なのだけれど「自分の内面に向き合い、描く」という行動はこの時代に真に評価されたのだろうか。そう、著書のスタートは若冲の絵に対する疑問からきていると感じる。実は私自身もそうだったので。美しく惹かれ魅力的でありながら、何かどこかに恐ろしさや禍々しさを感じてしまう尋常でない何か...続きを読む
  • 漆花ひとつ
    五編の短編ミステリー小説。平安時代(白河上皇〜二条天皇)
    院政、武士台頭、藤原摂関家、河内源氏と伊勢平氏
    平治の乱、保元の乱…色々とウィキペディアで調べながら読みすすめました。

    歴史小説だけど現代の大人社会に重なることも多い。

    「世は推移する」上つ方も不安定で権威も案外断固なるものでもないようで...続きを読む
  • 与楽の飯~東大寺造仏所炊屋私記~
    コロナ禍になってから、東大寺の大仏殿には定点カメラがおかれ24時間毎日配信されている。軽い気持ちで見始めた配信だが、朝に夕に、法要や鐘の音に祈るにつれて当時この大仏を作った人々に想いを馳せるようになった。そんな人達の苦労と、辛い日々の中での小さな幸せである三食の飯をテーマとした本。故郷から連れてこら...続きを読む
  • 漆花ひとつ
    大河『平清盛』と百人一首の歌人を想像しながら読みました。貴族社会とは違った視点の平安末期の短編集、楽しめました^_^
  • 泣くな道真 大宰府の詩
    読み終えて、太宰府での菅原道真その地で親しまれていた姿の想像を膨らます。やはり拝みに行くのは太宰府天満宮だな。「人は置かれた場所で生きねばならない。哀しみに沈み、悲嘆にくれるのもそれはそれで一つの生き方。さりながらただ我が身を嘆き、他人を恨んでも、そこからもたらされるものは何もなかろう」p198
    ...続きを読む
  • 若冲
    「若冲」 澤田瞳子 

    1.購読動機
    原田マハさんが好きです。
    理由は、馴染みがない絵画を、画家の人生を描写することで、身近なものにしてくれる作家さんだからです。
    同じ気持ちで、若冲を知りたいと思いました。

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    2.若冲。物語から。
    出自は、京都、大きな魚卸し問屋の長男です...続きを読む
  • 龍華記
    平安末期の南都焼き討ちを招いてしまった悪僧(わけあり)が主人公。その後、罪に戸惑い償いと真の救済を模索。
    壮絶で残酷のなか必死に生きる人々。その後を知りたくて夢中に読み進めてしまいます。
    NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(令和4年1月〜)と同じ頃の時代背景。

  • 火定
    本の雑誌ベスト・歴史小説部門から。現パンデミックを見越したかのような内容。それもあって、元の物語の求心力が、自分の中で倍加されたみたいな感じ。たまたまだけどここ最近、奈良時代モノに触れる機会が多い、ってのもポイント。殆どキャラ付けもされないし、いわゆるちょい役なんだけど、子どもたちに与えられた運命が...続きを読む