澤田瞳子のレビュー一覧

  • 夢も定かに
    奈良の女官のお仕事小説でした。澤田瞳子さんの専門知識で練り上げられたシチュエーションがリアリティある。女性たち、可愛い。
  • 輝山
    金吾、与平太、岩田代官、藤田幸蔵元締手代、お春、魅力的な登場人物に、幾重の伏線から骨太で清廉な物語を過酷な石見銀山の地を舞台に描き、きっちり懲悪的な時代劇も見せてくれた秀逸な作品でした。
  • 名残の花

    名残の花

    鳥居耀蔵には江戸市民の楽しみを奪い蘭学者等弾圧した悪者のイメージしかありませんでした。朱子学の権化で新しいものを否定し伝統あるものしか認めない人間と。失脚して讃岐に流されたとこまでは知っていましたがその後の事は何も知らなかったです。この本で鳥居耀蔵の後半生の一部を知ることができました。古きものの中に...続きを読む
  • 輝山
    江戸時代、石見銀山の代官に赴任した岩田の身辺を探れと命じられた中間の金吾。銀山で働く危険性や人情を知り、成長してゆく。

    激しく面白かった。登場人物がすごく多いので、最初混乱したがじきに慣れた。

    銀山の経営とか、江戸幕府内の権力闘争や恋愛話などたっぷり詰め込まれており、コスパがいいと言えば良いだろ...続きを読む
  • 輝山
    石見の銀山に密命を帯びて赴任した金吾。密命自体、ほとんど関わりのない上役から、下っ端に突然降りてきたような不自然なもので、金吾は困惑しながら江戸から遠い石見での仕事を始める。
    銀山を知らない金吾の目線で紡がれていく生活が、まるでそこにいるかのように感じられる。章ごとに一つの問題が解かれていき、大命題...続きを読む
  • 火定
    今のコロナ禍を予知していたかのような小説。人は自分が理解できないものを恐れ、見えない敵を作り暴走する。作中の人名や役職など、最初は読み方が難しく戸惑うが、慣れてくると先が気になり、あっという間に読み進められた。病状や死骸の描写はかなりエグい表現だが、解説を読んで少し理解できたように思う。別の作品も読...続きを読む
  • 秋萩の散る
    奈良時代の話。
    弱くも強くもある人の葛藤や心底が伺える。
    澤田瞳子さんは素晴らしい!
    この本を読んでからの「弧鷹の天」お薦めです!
  • 輝山
    流石だ❗️澤田文学、第1章から最後の第六章まで余韻を読み手に残し銀鉱山で働く鉱夫の堀子達の人情味あふれる物語は流石ですね、第六章では思わず涙が出てしまった!大切にしたい一冊だ。
  • 火定
    奈良の平城京で起こったパンデミックの物語。
    新羅から帰ってきた使節の一人が発熱した。その後、亰では次々と病に倒れる者が続出する。発熱し、数日経つと一時的に熱が下がる。治ったかと思いきや、全身に豆粒のような発疹に覆われるのだった。
    本作は蜂田名代(はちだのなしろ)と猪名部諸男(いなべのもろお)という二...続きを読む
  • 与楽の飯~東大寺造仏所炊屋私記~
    食事とは生命維持だけでなく、人と人をつなぎ、仲間、仕事、社会を作り上げるもの。
    そして、仏とはあってなく、なくてある その意味が理解できた。
    物語の入りは、取っつきにくく読みきれるのか心配だったけど、15ページも進めば物語の世界にどっぷり入れる。
  • 泣くな道真 大宰府の詩
    なんだろう?
    この出演者が映像で浮かび動き出す感じの読書感覚。
    会話挿入のタイミングが優れている小説なんだろうな。

    菅原道真と小野小町。

    二人を軸に、色んな物語が描かれていて、なんとも微笑ましく、なんとも楽しげで、妙に人間ポイ。
    この人間ポイ、という点がスイスイと読み進ませてくれる。

    軽い気持...続きを読む
  • 与楽の飯~東大寺造仏所炊屋私記~
    うおー!「この設定、誰が喜ぶ?」=「この設定、誰しもが喜ぶ、楽しい!」にする力のある作家さんだ!出会えて良かった!!
  • 能楽ものがたり 稚児桜
    直木賞作家の作品ということで読んだ。時代小説のため、言い回しや漢字表記に馴染みがなかったが、そんなことが気にならないくらい、それぞれの人間模様に引き込まれた。他の作品も読んでみたい。
  • 泣くな道真 大宰府の詩
     ものすごく楽しかったです。

     唐物商で都で培った目で目利きをして、柳公権の書欲しさにちゃっかり菅三道という名前で目利きをすることを承諾してしまう道長。

     おーい! 大宰府についてから食事もろくに食べず、着替えもせず、いじけて毎日恨みつらみを書いていたんじゃないんかい!? と思わず思ってしまった...続きを読む
  • 能楽ものがたり 稚児桜
    能の名曲を元にした短編作品。
    元の作品をあまり知らないものが多かったので調べながら読んだが、元の作品よりこちらの物語の方が良いと感じてしまう。とても好き。
    能に興味が出てきたので見に行きたくなった。
  • 泣くな道真 大宰府の詩
    出先で読むには電子書籍が便利と思って購入したけど共感しきりで往きの新幹線で読みきっていまいそう。帰りの新幹線、どおしよお?他の本買わなきゃ、、、また、澤田瞳子先生の本にしよう、っと!
  • 火定
    綱手や名代が施薬院で必死に頑張ってる時に諸男、アンタは何やっとるんじゃ〜!と思いながら読んでました。
  • 火定
    天然痘の症状や、死後の人間の状態の描写が壮絶でした。想像が全然追いつかなかった。

    生きる価値と死んだ意味を一点集中で突き付けてくる作品で、葛藤の中から生まれる心理に有無を言わせない力強さがありました。希望の光が見えてくるまで、ゆるみがなく、どこまでも苦しかったです。見えた希望が、この先に、またある...続きを読む
  • 火定
    天然痘が猛威をふるい、多くの人々が病に伏し、亡くなっていく。なのに、治療法が見つからない。そのような状況下、寧楽の都はパニックに陥っていく。

    そして、偽りの神を信じた人々が、そそのかされ、略奪し、外国人の命を奪っていく。

    でも、そのような中にあっても、理性を失わず、医者として人のために尽くす綱手...続きを読む
  • 与楽の飯~東大寺造仏所炊屋私記~
    奈良の大仏を作る人たちとそれを支えるご飯どころのおはなし。この時代のゴハンなんて想像もつかなかったけれど、描かれる食事はどれも美味しそうでたまらない。時代は違えど、人と人とが交わりながら働いて、労働のあとのご飯に救われて、、というのはいつになっても変わらないのだなぁとしみじみ。面白かった。