澤田瞳子のレビュー一覧

  • 月人壮士
    螺旋プロジェクト 奈良時代編。
    対立する天皇家と藤原家の両方を血を持つ聖武天皇が苦悩するお話。死後に周辺の人たちの回想によって、主人公を多面的な角度から描いていく手法を取っている(「阿寒に果つ」が同じ手法だったような)。

    奈良・平安のドロドロとした争い。誣告、密告、呪い、毒殺、放火…。高校生の時か...続きを読む
  • 時代小説アンソロジー てしごと
    春雀二羽:澤田瞳子/藍の襷:志川節子/
    掌中の天:奥山景布子/姉妹茶屋:西條奈加/
    浮かれの蝶:小松エメル/おもみいたします:あさのあつこ

    薬師、麹造り、根付職人、そば打ち職人、口寄せ、揉み屋

    様々な職を持つおんなたち。
    手の仕事は人の息と想いがほんのり薫るのが良いなぁ
  • 名残の花(新潮文庫)
    202210/面白かった!鳥居耀蔵になんならちょっとした愛嬌も感じるほど、さすが澤田瞳子うますぎる…。感涙と胸アツの読後感、名残の花というタイトルも納得、見事だ。
  • 恋ふらむ鳥は
    分厚いので躊躇していたが、とても面白かった。
    思えば、額田王が主人公の物語を読むのは初めてだったかも。
  • 鎌倉残影 歴史小説アンソロジー
    朝井まかて、諸田玲子、澤田瞳子、武川佑、葉室麟、5名の作家による鎌倉時代アンソロジー。

    大河ドラマ『鎌倉殿の13人』の影響で、今年ほど鎌倉時代にハマった年はなかった。
    こんなにたくさんの作家陣が鎌倉時代を描いていたとは。同じ人物のことでも、各作家さんの視点も少しずつ異なって、読み比べることも面白か...続きを読む
  • 泣くな道真 大宰府の詩
    歴史小説のしっかりした史実の中で道真を始め登場人物が生き生きとこんな風であったかもというように動いている.小野小町まで出てきたのにはびっくりしたけれど,自然でこんな女性だったかも.
  • 吼えろ道真 大宰府の詩
    さすが澤田さん、ユーモラスな中に人間くさい道真公(神的凄さも)が描かれていて、いろんな意味で感心した。
  • 若冲
     澤田先生の代表作、満を辞して読破。
     若冲についてはほぼ予備知識のない状態で入ったため、全てが新しく感じられた。澤田先生が描くからなのか心境への影響を与える事件は多かれど、人生への大打撃は天明の大火くらいだったのだなという印象。
     本作は妹の志乃と若冲が章ごとに交互に一人称となり話が進む。1章ごと...続きを読む
  • 吼えろ道真 大宰府の詩
    道真の太宰府ライフに危機?

    京から役人が来る。流人の道真が唐物商に出入りして目利きをしている暮らしがバレては一大事と頭を抱える小野葛根。京から来る役人は宮廷に献上された品が贋物だったことを調べに来る。もしかすると義父・小野葛絃が危ないかもしれない。世話になった伯父のためになんとかこのピンチを切り抜...続きを読む
  • 恋ふらむ鳥は
    額田王の物語であるのだが、読み終えた直後の感想としては讃良王女の物語を読みたくなってしまっている。

    葛城王子、額田王、中臣鎌足ら3人が追い求めた理想を、1人の思いが打ち砕いてゆくという破壊の物語になってしまうから、読後は良くないものになるのだろうけど。
    彼女の野望を達成するだけの、ただそれだけに至...続きを読む
  • 日輪の賦
    この時代の歴史小説は久しぶりで、作者も初読みでしたがとても面白かった。日本と天皇の始まりはこういう事だったのかと納得した。ストーリーや人物描写も入り込めるところがよく脇役として歌人も登場し彩りが加わった。この作者の他の作品も読んでみたいと思った。
  • 吼えろ道真 大宰府の詩
    「泣くな道真」の続編。道真が太宰府に流されて5ヶ月。唐物の目利きという愉しみを覚えて落ち着いてきたかと思っていたら、延喜への改元の詔を読んで、あろうことか天皇の正式文書を怒りに任せて破り捨てて仕舞う。道真今日も元気です。

    集英社「いきなり文庫」シリーズ。元はWEB連載だったらしい。前回は、キチンと...続きを読む
  • 吼えろ道真 大宰府の詩
     今回はうたた寝殿こと、龍野保積の出番があまりなくて残念(´・ω・`)ショボーン

     その代わりに活躍するのが小野小町の兄である小野葛根。大宰府長官である小野葛絃の甥で彼の補佐をしている人物。

     改元の詔に怒り心頭のあまり、それを破り捨てた道真に伯父に迷惑が掛かると思い、唐物の目利きを楽しむ彼を...続きを読む
  • 名残の花(新潮文庫)
    鳥居耀蔵を主人公にしたら、一筋縄ではいかない作品になるだろうと思ったけど、さすがに、澤田さん、非常に面白い話だった。歴史は一面からばっかり見てはいけないということだろう。
  • 恋ふらむ鳥は
    額田王は超有名人だが、和歌を詠むということが
    こういった状況で生まれているのが面白い。
    長さを感じさせず、生き生きとした描写だった。
  • 名残の花(新潮文庫)
    レビューに入る前に少しばかり前置きを。

    以前読んだ『咲かせて三升の團十郎』にて、歌舞伎など娯楽全般を取り締まった南町奉行 鳥居耀蔵。『咲かせて…』ではさすが團十郎一座の天敵とだけあって、話し方は陰湿、目つきや顔色もとことん悪かった。舞台であれば、青い隈取りが施されているに違いない…
    しかし意外にも...続きを読む
  • 名残の花(新潮文庫)
    明治初期の 負け組となった人々の矜持

    古いとき新しいとかではなく 自分の信じることをすれば良い

    物事を大局から見ることができる人が どれぐらいいるだろうか。
  • 恋ふらむ鳥は
    飛鳥時代に生きた、額田王(ぬかたのおおきみ)を描く。
    「大海人王子(おおあまのみこ)の妻となり、十市王女(とおちのひめみこ)を産む」
    という、日本書紀の確実な記録のみを尊重し、澤田瞳子の額田像を作り上げている。
    額田をめぐって、天智・天武が三角関係だった、とか、絶世の美女だった、とか、カリスマ歌人だ...続きを読む
  • 火定
    頼れない国
    感染病、パンデミックに対する藤原時代の官民の動き。現代と変わらず、国を司る医事薬事等は病人から退避、健闘するのは庶民の医者と看護する下働き者だけ。現代で風で言うならば国から補助金をもらっている医療機関はほんの一部が治療するだけで、国民が頼れるのは民間の医者と看護婦だけだ。さらに最終的な感...続きを読む
  • 火定
    鎌倉殿と同世代に奈良では、こんなことがおこっていたとは!
    見る方によって 事実もいろいろな捉え方ができる。
    勉強になった