澤田瞳子のレビュー一覧

  • 泣くな道真 大宰府の詩
    フォローしているレビュアーさんのレビューで知った本。
    ありがとうございます。

    太宰府に左遷された菅原道真を慰めるため、お相手役として派遣された怠け者役人・龍野保積。そこへ才色兼備なお騒がせ女房で歌人の小野恬子(しずこ)が加わり博多津の唐物商へ連れていったことから道真は少しずつ変わっていく。

    博多...続きを読む
  • 泣くな道真 大宰府の詩
    初めての作家。文庫書き下ろしではあるが、ラノベに近い時代小説が多い中で、しっかり時代考証をしていて好感を持った。ただ、キャラは現代によせている。そのせいか、十分エンタメ小説になっていた。買ったのは、ナツイチのブックバンドが欲しかったタメ。

    菅原道真が左遷された太宰府での赴任先半年の日々がテーマ。 ...続きを読む
  • 能楽ものがたり 稚児桜
    元になった能の解説や、さらにその元になった史実や伝説と合わせて読むと面白い。
    能の世界って(理解できると)こんなに彩り豊かなのね~と思った…
  • 日輪の賦
    主人公をはじめとした何人かの架空の人物、および『日本書紀』、『続日本紀』、『万葉集』、『懐風藻』に登場する(多分)実在の多数の人物(ただし、それらに名前しか出てこない人物も多い)が登場し(架空の人物もそれぞれの出自が史実や古代史の説などに基づいてます)、書紀や続紀などに記された史実を巧みに読み替えて...続きを読む
  • 能楽ものがたり 稚児桜
    能の曲目を題材とした短編集。小説のタイトルだけでなく、能の曲目が記載されているので、時代小説などを読んだことがない人は、あらかじめ曲目で検索して、あらすじを確認してから読んだ方が良い。小説は完全に曲目と一緒ではないので、あらすじを読んでいてもネタバレにはならない。

    作品としては、身分の差や貧富の差...続きを読む
  • 若冲
    各章ごとに主題となる絵が存在する。
    その一つ一つの作品が放つ印象に、物語を創造していく作業は、小説家ならでは。

    金に糸目をつけず、惜しげもなく色彩を際立たせる若冲の作品は、同時代の主力「狩野派」とは、素人目でも異質と感じる。

    単なる金持ちの道楽か、アバンギャルドな目立ちたがりやか…

    立場は違え...続きを読む
  • 能楽ものがたり 稚児桜
    すっごくドロドロした人間関係の短編集なのに、幻想的な感じ(^^)能が下敷きになっていると思って読んでいたからかな?(^^;)一番印象に残っているのはタイトルにもなっている「稚児桜」♪短編も良いけれど、長編でガッツリ読んでみたいな~(^-^)
  • 火定
    平城京を襲う天然痘の発生から収束までを2つの目線から描いた物語。1,300年前の話なのに今と同じ現象が起きていたという点は学術的にも歴史的にも面白い。また、名代・師男の「医師」という職業に対する認識の変化や成長が、グロテスクで地獄絵図の環境下で爽やかに描かれている。

    ★現代との共通点
    ①変な噂やデ...続きを読む
  • 日輪の賦
    「7世紀末。迫り来る唐・新羅に立ち向かう女王がいた。」という帯に惹かれ手に取った。なるほど歴史の教科書に何度も出てきた大化の改新や大宝律令等も、このような深遠な意味があったのかと驚いた。しかも、令和で一躍脚光を浴びた梅花の宴の作者で万葉集の編集に大きく関わった大伴旅人・家持親子が、「倭国」「大王」に...続きを読む
  • 火定
    思わず
    惹きこまれて
    読み込んでしまう
    澤田瞳子さんの作品に
    いつも感じてしまうことです

    天平期に実在した
    豌豆瘡(天然痘)流行禍を
    当時の薬師からの視点で
    描かれる

    今でこそ撲滅された天然痘
    ですが
    当時の庶民の不安、怖ろしさが
    見事に描かれる

    ちょうど、今の
    連日の「新型コロナウイルス禍」...続きを読む
  • 能楽ものがたり 稚児桜
    短編集8編
    能の本歌取りで,本歌のようなカタルシスが無く,こんな現実があったのだと説得力ある展開.「稚児桜」「秋の扇」が良かった.
  • 能楽ものがたり 稚児桜
    能の曲目に題材をとった短編集ということで、サブタイトルに、元になった曲目が添えられている。
    生で能を観たことが無いけれど、興味はあって、少し本など読んだことはある。

    個人的に能のイメージは、途中で世界が一転するということ。
    目の前の老婆がいきなり美女の霊になったり、人が精霊の姿を現して舞ったりする...続きを読む
  • 泣くな道真 大宰府の詩
    道真、へんくつじじいでかわいい。こういうのもありかも。
    東風吹かば…の歌が好きなので大宰府行ってみたいなぁ。
    そして小町か!ってとこに気づいてなかったのが悔しい。
  • 火定
    藤原四兄弟が天然痘で亡くなった。光明皇后の異母兄である藤原房前は、朝堂を支える藤原四兄弟の中でも最も聖武天皇の信頼の暑い人物。そんなひとでさえ、疫病の跋扈には無力である。
    その時の市中を救うのに尽力した、施薬院ではどのような状況だったのか。
    死を前にして、みなはどう動き、どう死んでいったのか。何が正...続きを読む
  • 火定
    天平9年の疫病流行の時代。
    ちょうど新羅使について調べていたときだったのでタイムリーだった。
    時代小説でありながら、医療小説でもあり、さらには謎解き要素もあって楽しめる。生きる意味や医療で人を救う意味、救えなかった命の意味を問うてくる、読みごたえのある物語。
  • 若冲
    連作短編集?という気もしなくもない。
    若冲の隠居の頃から、八十を超す高齢での死の後までが、間歇的に描かれている。
    短編間では描かれる時間に少し間があるが、その間何があったのかはわかるように描かれている。
    物語の結末は、こう言っちゃ何だが、半ばくらい読んでいくと見えてくる気がする。
    けれど、その結末に...続きを読む
  • ふたり女房 京都鷹ヶ峰御薬園日録
    澤田瞳子にしては珍しい時代小説。とはいえ、舞台が京都となれば彼女の土俵という感じ。関西在住、京都にもほど近いところに生活圏をおく俺にとって、出てくる地名や方言が身近に感じられるのが嬉しい。

    人情モノでミステリー仕立てではあるんだけど、あっさりした感じ。所謂江戸市井人情物に比べたらベッタリ感はなく、...続きを読む
  • 火定
    奈良時代のパンデミック。すでに根絶に成功している天然痘の恐ろしさを垣間見る。
    病に倒れる人々の描写が強烈だが、現代から1000年以上も遡る時代では、人の命はずっと軽く、死もより身近ではあったのだろう。今の自宅に生まれてよかったと思いつつ、西暦3000年ぐらいには、「2000年ごろはガンも治療できず最...続きを読む
  • 若冲
    多くが明らかになっていない江戸時代の画家、伊藤若冲の生涯を、独身ではなく妻がいたのではないか仮定して物語られる。

    色彩豊かでありながら、テーマや絵の雰囲気になんとなく影があるように語られる理由を、妻がいたこと、その妻が自死したこと、その妻の親族に恨まれること、などを背景に結びつけることで妙に納得さ...続きを読む
  • 満つる月の如し 仏師・定朝
    仏像は大好きだけど、じゃあ仏師は当時どんな暮らしをして、どうやって仏像を作っていたのかはほとんど知らなかったなと思った。平等院に行くといつも飛天にばかり心を動かされてしまっていたけど、今度はちゃんとご本尊も拝観しよう。それにしてもこの時代の系図は複雑で誰が誰だかちょっとわからなくなった。