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紫式部が生きた時代の豪華絢爛宮中絵巻
日本初の女性による女性のための歴史物語『栄花物語』の作者である朝児(赤染衛門)からみた宮廷はどんな姿をしていたのか?
宮中きっての和歌の名手と言われる朝児(あさこ)は夫を亡くしたばかり。五十も半ばを過ぎて夫の菩提を弔いながら余生を過ごそうとしていたが、ひょんなことから三条天皇の中宮妍子の女房として再び宮仕えをすることになる。
宮中では政権を掌握した藤原道長と、あくまで親政を目指す三条天皇との間には緊張が入っていた。道長の娘の妍子が、将来天皇となるべき男児を出産することが、二人の関係に調和をもたらす道だった。しかし、女児が生まれたことで、道長は三条天皇の排除を推し進めていくことになる。
朝児は、目の前で繰り広げられるきらびやかながらも残酷な政争に心を痛める。なぜ人は栄華を目指すのか。いま自身が目にしていることを歴史として書き記すことが自らの役目ではないのか。そこで描かれるのは歴史の勝者ばかりではない。悲しみと苦しみのなかで敗れ去った者の姿を描かねばならない。その思いの中で朝児は筆を取る。
Posted by ブクログ 2024年03月19日
人はとかく、目を惹くものばかりを信じがちである…人目にはつかねど内心で案じている者は幾人もいる…p.336
順調でなかったり不幸だったりどん底では辛く悲しく孤独に陥ったりしたこともあり、そんなこともあったときには静か〜
に寄り添ってくれる優しさもあったなと…この本を読み終え改めて思い心温もる。
頼賢...続きを読む
Posted by ブクログ 2024年03月06日
澤田瞳子さんの文章は、とても素敵でグッとくる表現が多い。本作も物語や史書の在り方の箇所は、とても良かった。
内容は赤染衛門を中心に据えて、生い立ちとか『栄花物語』を書くきっかけといったような内容かと思い読み始めてしまったので、頼賢がメインになったり謎解きのようになってしまったりと、少し自分の読みた...続きを読む
Posted by ブクログ 2024年02月17日
許される限り、この世のありとあらゆる物をこの目で見ておきたい。
そしてそれを書き記して世の人々に知らせたい、という「物書きの業」
人々はどのような読み方をしてくれるのか、密かに込めた真意を汲み取ってくれるだろうか?
紫式部が、清少納言が、そして赤染衛門が抱いたそんな思いを、作者も胸に抱いているに違い...続きを読む
Posted by ブクログ 2024年02月05日
初めて澤田瞳子さんのこの本を読みました。
そこに居られた人々の懊悩や優しさ、その時代の設いが文章が流れるように美しいですね。
物語をどう伝えようかが 作者と朝児が交差している様子が垣間見られ 一体化していくようで素晴らしかった。
三条天皇のことや栄花物語、他の読みつがれいる物語を是非読んでみようと思...続きを読む
Posted by ブクログ 2024年01月29日
夫の大江匡衡を亡くした寡婦の朝児は一年の喪に服していた。朝児は結婚前は実家の苗字を取って赤染衛門という局名で宮勤めをしていたことがある。夫の匡衡は文章博士であったし、朝児自身も和歌で名を知られていた。義理の息子の挙周や娘の大鶴は出仕しているし、末の娘の小鶴は書籍三昧をしている。朝児本人は再度宮使いを...続きを読む
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