大江健三郎のレビュー一覧
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単純に好みや自分へのフィット感の問題なのかもしれないけれど、個人的に「生きるために書かねばならぬ」という逼迫性が感じられる作家は少なくて、ある時期までの村上春樹もそうだったと思うのだけれど、もうここ10年以上彼は自分ではなく他者のために小説を書いていて、そういうのを成長と呼ぶのかもしれず、ある程度ま...続きを読むPosted by ブクログ
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レビューすることを放棄したくはないけれど、
この作品を的確に言い表すのは難しい。
中盤まで文章は深く淀み、息苦しい。
得体の知れない嫌悪、不安がまとわりつく。
後半は物語が展開して文章的には読み進めやすくなるが
不安はますます確信めいて目を離すことも出来ない。
寝取られとか読んでるだけでも辛いよ...続きを読むPosted by ブクログ -
彼自身の状況を象徴するような「どん詰まり」の谷間の中で、最後に思いもかけない地下室を発見するところがなんとも言えず爽快。この頃から円環の要素が出てくるのか?万延元年の出来事に似たことが再び繰り返されるならば、出来事というものが反復されるならば、万延元年の事件の思いもかけない「抜け道」であった「地下室...続きを読むPosted by ブクログ
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短編集「性的人間」「セブンティーン」「共同生活」。「セブンティーン」は日本社会党委員長・浅沼稲次郎刺殺事件を題材にしていて、主人公の青年が右翼に目覚めていく様子が、迫力の筆力で描かれいます。Posted by ブクログ
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非常に難しい内容が多い本でした。
しかしながら僕が「期待した地平」以上のものが確かにあった気がします。
改めて、大江健三郎さんは頭が良いのだな、と思いました。
また、「小説」を読むことの重要性を改めて感じました。Posted by ブクログ -
「おかしな二人組」三部作の真ん中にあたる作品。ドン・キホーテをモチーフに作品は進んでいく。そして、毎度のことながら面白い。やはりアカリのキャラクターが彼の作品の中ではとても大事な、光になっている。彼の何気ない一言で、作中にパッと灯りがともる。(10/6/7)Posted by ブクログ
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P.213
子供じみたいい方と受けとめられるかもしれないが、希望か絶望か、と問われる際には、僕はとりあえず希望の側に立ち、人間の威厳を信じる側に立つ。
P.216
想像力とは弦にあたえられているイメージ、固定しているイメージを根本から作りかえる能力である。Posted by ブクログ