大江健三郎のレビュー一覧
-
著者のこれまでの読書歴や交友歴。特に息子、光氏の事や、義兄の伊丹十三氏との交流については興味深く拝読。丁度、東日本大震災、フクシマを前後に書かれたエッセイで、反原発集会についての記述も多々あり、時代の変化を感じてしまった。Posted by ブクログ
-
大江の本の中で、エロも酷薄な殺人(描写)も出てこない、珍しい作品。だからこの文庫の裏に紹介されているように「海外で最も読まれている大江作品」なんだな。乱歩が少年探偵ものに自作を書き換えたようなところがあって、もとの『同時代ゲーム』とくらべると、熱がなく、こじんまりとまとまってしまっている感がある。た...続きを読むPosted by ブクログ
-
「人生の親戚」を読みました。
知的障害のある長男ムーさんと、事故で半身不随となった次男道夫君を、自殺で亡くしてしまった女性まり恵さんの話。
到底了解することの出来ないような悲惨な現実と真っ向から組み合い、最期にVサインをした彼女の姿が印象に残った。
彼女の生涯を「了解可能な」物語として書いてしまった...続きを読むPosted by ブクログ -
キルプの軍団の主人公や本作の主人公など、もちろん当人ではないにしろ、ある部分大江の子どもをモデルとしていると思われる細部は生き生きしていて素晴らしい一方、どこかお行儀が良過ぎるのではないかと思ってしまう。ただ、いつもにもまして小説家に対しては手厳しいところがあって笑える。Posted by ブクログ
-
死者の驕りはすれ違った老人のシーンがビシッと印象に残ってる。1番好きなのは飼育で、短編として完璧すぎると思ったのは他人の足、最後の一文が忘れられないのは人間の羊、でしょうか。Posted by ブクログ
-
初期の短中編5編が入っている。この大江健三郎さんの独特の文体は初めて読んだときはまどろっこしくて戸惑ったが、慣れてくると逆にこの詳細な遠回しな比喩含めた文体が、気持ちよくなってきてこれじゃないと駄目だなと思ってしまうほどだ。
どの作品も興味深かったけど、「走れ、走りつづけよ」が自分的にはブラックユー...続きを読むPosted by ブクログ -
自身は一般的に言われている程難解ではないと感じた。
“転換”という要素も、作者が息子との関係に求めたifの一部分に過ぎない気がする。
息子の光氏が題材にされている作品群の中でも、SFや動きを加えた大江流エンタメ小説として読むと割合違和感を感じず楽しめる。Posted by ブクログ -
各章は時系列に分割した複数の作品をテーマにしている。私は彼の作品を全て読んでいるわけではなく、特に万永元年のフットボール以降の作品はほとんど読んでいないので、読んでいない本がテーマになっている章は読み飛ばした。
尾崎真理子さんという聞き手もとても力を持っている人物である。彼女の質問によって彼が気...続きを読むPosted by ブクログ -
1文が10行にわたることもあり、さらに側から見れば発狂した者の口述記録でもあるため、完全に排他的な文体となっており、私も数ヶ月前に一度読み始め、途中で断念することとなった。
今回また読み始めたのは、大江の晩年の作品『水死』を読むことを目指すにあたって避けては通れない作品だからである。
「純粋天皇」...続きを読むPosted by ブクログ