個人的な体験

個人的な体験

605円 (税込)

3pt

わが子が頭部に異常をそなえて生れてきたと知らされて、アフリカへの冒険旅行を夢みていた鳥(バード)は、深甚な恐怖感に囚われた。嬰児の死を願って火見子と性の逸楽に耽ける背徳と絶望の日々……。狂気の淵に瀕した現代人に、再生の希望はあるのか? 暗澹たる地獄廻りの果てに自らの運命を引き受けるに至った青年の魂の遍歴を描破して、大江文学の新展開を告知した記念碑的な書下ろし長編。

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個人的な体験 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ 2023年08月08日

    素晴らしかった。
    読み終わった後のなんともいえない余韻。これだから読書はやめられない。
    作者によるとこれは青春小説ということだが、なるほど、テーマは大変なことだが、青年が悩み、葛藤し、迷い、経験し、蘇生し、決断する。
    まさにこれは青春小説か。
    主人公をバードと一貫して、表現したり、独特の病み付きにな...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2023年05月14日

    大江健三郎が後書きでこの小説を「青春の小説」だと言っていた。書いている時はバードを青春とは切り離した存在としていたようだった。しかし、自分の子供のことで悩み、堕落し、逃げようとしながらも最後は自分のために子供を受け入れていこうとする姿はまさに青春だった。どんな国際問題よりも自分の子供をめぐる家庭の問...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2023年03月25日

    素晴らしかった。
    小説を読んだ後に呆然となるあの感覚に久しぶりに襲われた。その感覚にしばらく呆然と身を浸していた。

    読んでいてとても苦しかった。
    主人公の異形の赤ん坊に対する心の動き、つまり直接は手を下さず彼を死に追いやろうとすることへの渇望と恐怖と欺瞞とに苦しめられている様子が克明に描かれすぎて...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2022年09月09日


    若々しいオーケンの漲るパワーが籠った一作。
    結末の纏め方は賛否あり、作者本人も葛藤があったとコメントしているが、それを差し引いても当時の文学作品の中ではインパクトと熱量で抜けている作品だと感じる。

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    Posted by ブクログ 2013年06月07日

    とっつきにくいが、我慢して読み進めていくとどんどん引き込まれた。

    「なにをさがしているの?沢蟹をさがしまわる熊みたいな格好で」
    という部分で、その表現力にうならされた。

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    Posted by ブクログ 2023年12月17日

    大江健三郎の2冊目。昭和39年8月に出版されたこの小説の20代後半の主人公と大江とは合い重なる設定。大江の子供「光」も脳瘤によって知的障害者として生きている。新潮文庫の巻末には大江が昭和56年1月に書いた一文が置かれている。その中で小説の終幕への三島由紀夫などの批判に対して、「経験による鳥(バード)...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2023年10月04日

    子どもが産まれる前の「自分の生活が変わってしまう」という不安、障害があるってわかってからの「道徳的には育てるべきだが育てられる自信がない」という葛藤が、非常に巧みに言語化されている。自分がすでに子持ちだから、共感できる部分は大いにあった。

    子どもが産まれるのはすばらしいことだけれども、障害の有無に...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2023年04月12日

     鳥は邪魔者だと思っていた赤んぼうを最終的には受容し自らに父親としての責任を感じるが話はそんなに簡単なのか?
     私は常に子供から逃避していた人間が最後にケロッと父親とならねばならないと、この赤んぼうと生きねばならないと思えるようになるとは素直に納得できない。本当にその責任を感じられる人間とは、赤んぼ...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2020年11月25日

    はじめての大江健三郎作品を読みました。
    1964年に発表された作品です。

    作者の子どもが、脳瘤のある障害を持って生まれたことをきっかけにして書かれた作品。主人公は同じ立場で描かれますが私小説ではなくあくまで体験に着想を得て書かれた小説です。

    最初から半分くらいまで読むに耐えない話で、主人公の自意...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2020年10月31日

    自身の体験を基にした小説、なのだろうか。脳ヘルニアの子供の出産を受けて本作品を執筆した大江氏であるが、作中の様は子供に対する愛情や希望ではなく嫌悪である。脳ヘルニアを抱えた子を出産した青年の葛藤や苦悩ではなく逃避である。極めて衝撃的な独白である。それは小説のなかの話であったか私小説であったのか。三島...続きを読む

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