大江健三郎のレビュー一覧

  • われらの時代
    大江氏の初期の作品はなんて面白いんだろう。われらの時代、万延元年のフットボール、セブンティーン・・・・・。特にこの作品で、天皇を暗殺しに行き、未遂に終わる場面の官能性はとても印象的です。しかし、初期以降の作品はとても(私としては)つまらない。
  • 見るまえに跳べ
    大学時代、かなり影響を受けました。

    乱暴な言い方をすると、
    太宰や安部公房、カフカなんかと違って、
    どこか文章に救いがある。
    そこが好きです。
  • 「雨の木」を聴く女たち
    荒廃しきっていた自分の魂が救われた一節がある。

    読んでから何年も後の話。
    石垣島でブーゲンビリアを触った時に
    急に涙が出て止まらなくなった。

    この本が根っこにあったのだと、更に後になってから気付いた。

    この人の作品は
    深く深く深いところで、ひっそりと息をしている。
  • 性的人間
    「性的人間」「セブンティーン」「共同生活」の短編3作。
    いずれも1960~1963年(昭和30年後半)の作品。

    2010年にもなろうという現代にあっては、これはどこかで読んだような・・・と思わせる人物像だったり状況設定だったりするのですが、これが昭和30年代後半の作品だと知ると、もう簡単に言葉を綴...続きを読む
  • 空の怪物アグイー
    死者の奢りあたりの文体の個性、
    迫ってくるような閉塞感はやや影を潜め、
    いろいろなパターンの小説が増えてきたな、という感じ。
    でも相変わらず短編はおもしろい。引き込まれる。
  • 万延元年のフットボール
    濃い話だった。読むのは難しい・・・。
    しかしこれこそ本気の青春の終わり、青春というか時代も同時に終わったみたいな感じがしました。よかったねっていう感じと、あ、終わっちゃったという悲しさ。
  • 懐かしい年への手紙
    スイスへの旅の道すがら、3回目か4回目かの再読。なぞるような速度での今回の再読で、浸み出るみたいにして広がってくる感覚がもたらされた。
  • ヒロシマ・ノート

    64年
    あの夏の日からの、永い永い時間

    ヒロシマを生き延び続けている
    「日本人」の名に於いて、
    否定的シンボルであるあの日の原爆を、私たちは
    世界へ発信することが出来ているだろうか

    あの夏の日から
    すぐさま活動を開始した医師たちの努力が
    原爆そのものの悪の重みに匹敵する為
    広島を...続きを読む
  • 洪水はわが魂に及び(下)
    わたし、自由航海団の思想がまっったく理解できなくて、
    「結局は暇を持て余したおバカさんたちの誇大妄想やん」
    なんて思っていたのですが・・・
    なんだかあそこまで必死になられると、もう認めざるを得ないというか。

    ラスト10Pまでは、今回イマイチかなーなんて思ったりもしましたが、もうやられました。
    最後...続きを読む
  • 洪水はわが魂に及び(上)
    ジンかわええなー。

    もうこの人の作品については、言葉がありません。毎回思うけど、本当に無い。すごすぎる。そしてタイトルが格好良すぎる。

    09.06.18
  • われらの時代
    虚栄と汚辱の話。
    気に入ったページの端を折ってたらえらいことになりました。折り過ぎ。特に妊娠したのパリに行くだのの言い争いのところ。
    最低なわれらに似合うのは、最低な時代なのでしょう。

    09.06.09
  • 見るまえに跳べ
    もう夢中です。大江健三郎に夢中。
    私の中で村上春樹と太宰治を超える作家は出てこないと思ってましたが、もうなんか一番かも知れん。三人とも一番だわ。

    ただ「上機嫌」がちゃんと消化できなかった。気合を入れ直してもう一回読もう。

    大江健三郎を読むと、サドが読みたくなってくるー!

    09.05.25
  • 性的人間
    何度読んでも、このドロドログズグズ具合がたまりません。
    どのお話も凄すぎます。

    12.05.07

    なんてこった!こんなのが読みたいと思っていた、そのままの作品に出会ってしまった!

    暴力っていう安易な表現を使わずにグロさと病んだ雰囲気を描いた本ってなかなか無いから狂喜しました。
    これ、星10個く...続きを読む
  • 取り替え子
    初めて読んだ大江健三郎作品。なんか読みにくい、という噂を聞いていて読まずじまいだったんですが、最近の作品だからか、比較的読みやすかったです。
    しかし久々に人間というものをここまで深く描いた作品に出会った気がした。一言でまとめれば「いろんなことが含まれている小説」
    小説のタイトルがなぜ「取り替え子」な...続きを読む
  • 治療塔
    <poka>
    未来への希望なのか絶望なのか…。何度も読み直したくなる一冊。

    <だいこんまる>
    ノーベル賞は敷居が高いですぅ…。
  • われらの狂気を生き延びる道を教えよ
    われらの狂気を生き延びる道か術かがこの本(とかこうする行為)、ていう話。(しらんけど)実は意味もなく恥ずかしいけど大江健三郎の作った言葉の端々にはハッとこれだよと気付かせられるおれなので、恥ずかしいけど(にかいいった)☆5つにしまつ。恥ずかしいのはシャイだからです。しるかー
  • 叫び声
    人種も年齢も違う4人の青春劇。

    最初は本当に明るい青春劇のような始まり方なのですが、(一人のアメリカ人青年の呼びかけで、ヨットでアフリカに行こうという計画の元に4人が集まる)少しづつ、それぞれの倒錯している部分が事件を引き起こしていって、それがすべて最初にアメリカ人青年が起こしたある事件に起因し...続きを読む
  • 空の怪物アグイー
    『不満足』では『個人的な体験』の菊比古とバードが…。
    『空の怪物アグイー』は、『個人的な体験』のテーマ性をそのまま引き継いだ、別バージョン。

    「僕はアグイーの存在を信じようとしてたんですよ!」とかいうせりふがあって、それが響いたなぁ。


    短編集です。どれもよかった。
    『敬老週間』も面白か...続きを読む
  • 万延元年のフットボール
    大江健三郎って本当にすごい作家だと思う。
    小説の中で彼独特の世界を完璧に作り上げてる。

    これもまた大江健三郎らしい作品。
    もうどうしようもないところまで皆で堕ちて行くけど、
    最後には希望の光が見える。
    しかも鼻につかないギリギリの微かな光。

    読み終わってなんかもう感心するしかなかった。
    尊敬です...続きを読む
  • 憂い顔の童子
    びっくりしました。

    大江健三郎は過去の作家ではなく、今でもかつて「同時代ゲーム」を書いた時と同じ意味で同時代性を持った作家であることが、この本から確認出来ます。
    興味のある人は、村上春樹の「海辺のカフカ」と本書を丹念に比較して見るといいでしょう。
    2つの小説の構造を丹念に解き明かしていくならば(本...続きを読む