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「選ばれた者」たちが「新しい地球」に移住した。「残留者」たちは、資源が浪費され、汚染された地球で生き延びてゆく。出発から10年後、宇宙船団は帰還し、過酷な経験をしたはずの彼らは一様に若かった。その鍵を握る「治療塔」の存在と意味が、イェーツの詩を介して伝えられる。著者初の近未来SF小説を復刊。
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Posted by ブクログ
<poka> 未来への希望なのか絶望なのか…。何度も読み直したくなる一冊。 <だいこんまる> ノーベル賞は敷居が高いですぅ…。
「著者初の本格的近未来SF」と銘打たれているが、発表当時の評価はあまり芳しくなかったような記憶がある。スペースシャトル「チャレンジャー」事故など、1980年代後半の出来事から作り上げられた世界観なので、古いと言えば古いのだが、東京電力福島第一原発事故を経た現在から見ると、作中に描かれた核戦争後の「...続きを読む残留者」たちの生活が奇妙なリアリティを持って迫って来るから不思議である。 ストーリーとしては決して起伏がある作品ではない。エクリチュールの緊張感という意味でも、直前に読んだ『万延元年のフットボール』に比べるべくもない。しかし、核に汚染された土地にうっそうと生える木々や雑草の力強い様子が、なぜだか印象に残った。「残留者」たちのしたたかなたくましさを重ねて読んでしまうからだろうか?
治療塔とは、「もうひとつの地球」に発見された遺跡である 先史文明など存在しえなかったはずの星になぜ そのような人工物が建っていたのか 誰にもわからなかった しかも不思議なことに 治療塔の内部空間には人間を若返らせる力があった そのためキリスト教徒たちは、それを「生命の樹」とも呼んだ 宇宙移民の失敗...続きを読むで「古い地球」に帰還したエリート達は 非エリートを労働力に用い あらたな貴族社会の建設を目論んでいる 「大出発」の後、古い地球の混乱を生き抜いてきた残留者には そのように信じて 帰還者に反感を持つ者も少なくなかったが 一方では、帰還者と残留者との間に 禁断の愛が芽生えてしまうこともあった そこで帰還者たちは、残留者との婚姻を禁止し 厳しい取り締まりの対象とした 治療塔によって変質した「新しい人々」の血統を 保護するためである 治療塔の力を、人類の手で再現するまで そのようにして純粋な血を守っていかなければ 破壊と汚染の泥沼に落ち込んだ地球を救うことはできない 帰還者たちはそのように考えていた 治療塔とはいわば 生きた人間の「生まれ直し」を実現するための 人造メイトリアークである しかしそんな大層なものではなく ただの若返りエステサロンにすぎない、という見方もあろう バブル期に発表されたこの作品では いずれの暗示ともとれるあいまいな段階で終わっている
結局何を言いたいのか…なかなか難しい小説でした。 20年程前に発表された近未来SFということでしたがなんかいまいちピンとこない設定だなと思いました。
わたし大江健三郎と同郷なのに初大江でした。 近未来、人類が「新しい地球」に移住する「選ばれた者」と、資源が枯渇し汚染された地球に残る「残留者」に分かれた世界を描く。それも「残留者」側の女性からっていうところが面白い。考えるSF、議論するSFで、冒険譚などではないので、レツゴー宇宙移民!!みたいな...続きを読むのを期待して読み始めるとガッカリするに違いない。 階層社会とか科学文明とか近現代の人類をとりまく様々な要素を取り入れながら、宇宙に出て超常現象的な恩恵を受けてまで人類が存続する価値があるのか、とか、そもそもそういう人間は「人間」と呼べるのか、じゃあ人間ってなんだよ、とポロポロ疑問を投げかけてこられたけど、あまりすっきりしない感じで終わった。 文章がそんじょそこらの作家とは格が違うよな。しかし噂通りのねちっこい文章で最後の方はかなり疲れてしまった。有名な純文学系の作品を読んでからにしたらよかったかも、と少々後悔。 敬語なのか受け身なのかわかりづらい「〜される」の言い方が愛媛っぽい。「〜ですが!」の語尾でしゃべり、息子にレーザーガンをつきつける南予生まれのおばあちゃんがかっこよすぎませんか。
大江健三郎の20年近く前のSF小説。とはいっても、SF的な設定・話は最初と最後(特に最後)に出てくるだけで、多くはそれとはあまり関係ないところで話が進んでいく。チャレンジャー号爆発事故とイエーツの詩から主要なイメージを得ている。宇宙開発競争や階級分化に代表される科学主義と資本主義という現代の進化の方...続きを読む向と、それとは反対の「人間主義」(とでも呼びそうなもの)や自然主義との相克が描かれる。そして、その中に人類に対する「悲しみ」が漂う。ただ、宇宙開発、科学主義、階級、工業化といった色々な問題の一つ一つは簡単に触れられる程度で、何らかの主題が深められることはない。(著者自身による感想でも強調されている)「悲しみ」、の雰囲気を味わう(だけの?)小説。
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