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国際的な作家古義人(こぎと)の義兄で映画監督の吾良(ごろう)が自殺した。動機に不審を抱き鬱々と暮らす古義人は悲哀から逃れるようにドイツへ発つが、そこで偶然吾良の死の手掛かりを得、徐々に真実が立ち現れる。ヤクザの襲撃、性的遍歴、半世紀前の四国での衝撃的な事件…大きな喪失を新生の希望へと繋ぐ、感動の長篇!
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Posted by ブクログ
五良の自殺(≒伊丹十三の自殺)の根底にあったであろう“アレ”の正体を各々模索していく物語。 奇しくも、『万延元年のフットボール』と、自殺の原因の探究という点では同じなぞらえ方をすることとなった。 「取り替え子(Changiling)」という逸話を物語へ絡めこむ上手さ。 終章にて、モーリスセンダック...続きを読むの絵本からヒントを得て主題となるこの言葉は、それまで一切出てこない。 そしてまさにこの「取り替え子」の考えによって、五良の死を、次の世代の誕生に繋いでいく…。 『懐かしい年への手紙』でも感じた、終章に通底する独特の清らかさ。 ——もう死んでしまった者らのことは忘れよう、生きている者らのことすらも。あなた方の心を、まだ生まれて来ない者たちにだけ向けておくれ。
奇妙なスルメ小説 最後の千樫の推測のくだりで身震ひする気持になったが、なんとも奇妙な小説だと加藤典洋の書いてたままに評しよう。 どうも前半までは平坦だとおもってゐたが「覗き見する人」以降おもしろかった。ギシギシの挿話に熱中させられるものがあった。 かういふ小説は、事実背景を知ったうへで再読する...続きを読むとより面白く感じられるとおもふ。実際、いま再読して前半もおもしろい。 まあ評判を聞かずに読むのがいい。たぶん勝手に期待するとぴんとこない。斎藤美奈子や松岡正剛がぴんとこなかったのもわからなくはない。なにしろその続篇として『憂い顔の童子』があるのだから。
超良かったです。こんなのも書けるのかと驚いた、なんか初期作品読んだだけのイメージではもっと文章固くて泥臭くて何書いてるのかわからないけど力押しで読め!って押し付けてくる感じだったのが、だいぶ透き通った文体になってたのも衝撃。死者と「これから生まれてくる者」との間のChangeling。なんて優しい祈...続きを読むりのような小説なんだ…… 個人的には終章が白眉。性描写が尊い。千樫は強い。古義人がすっと物語から身を引いて女たちだけで結末を迎えるというのが美しいね。新たな生命が託されるものとしての女性。 時差ボケの深夜テンションで、いきなりスッポン解体しだすシーンも笑いましたが。
文体もそれほど込み入っておらず読みやすい。それにしても本多勝一(らしき人物)の攻撃の苛烈さ。後半はやはり大江文学らしいカーニバル性。
「おかしな二人組」三部作のスタートとなる作品。義兄である伊丹十三の死を経て書かれた作品ということで、吾良が大きな役割を持って描かれている。とも言えるし、いやいや、吾良は彼の他の作品でだって大きな役割をいつだって担っていたじゃないか、とも思うし。終盤がとても美しかった。モーリス・センダックの絵本を一つ...続きを読むの題材として展開される部分が。そうか、だから取り替え子なのか、と。(10/6/7)
初めて読んだ大江健三郎作品。なんか読みにくい、という噂を聞いていて読まずじまいだったんですが、最近の作品だからか、比較的読みやすかったです。 しかし久々に人間というものをここまで深く描いた作品に出会った気がした。一言でまとめれば「いろんなことが含まれている小説」 小説のタイトルがなぜ「取り替え子」な...続きを読むのかわかった時の感動はひとしおです。
この辺から後期オーケンとでも言うのだろうか。 文から角というかクセが取れている(それでも読み易い文ではないが)。 息子の光氏につき特に丁寧な扱いをしているが、唸る様な描写が少なく若干物足りなさを感じた。
以前に読んだ「水死」の前の時代の小説だ。「水死」を読んでよく分からなかった人物背景もよく分かった。義兄の塙吾良が、伊丹十三をモデルにしているというのも途中で気づいてからより面白くなってきた。そういえば、愛媛の「伊丹十三記念館」に行ったことを思い出した。そう考えると、いろいろなことがつながってくるのだ...続きを読む。
4日くらい、1章ずつ読み進んでいたのだが、5章目に入ったところで我慢できずに一気に読み終えてしまった。 義兄・吾良の自殺と遺されたカセットテープをきっかけに、主人公・古義人の少年時代の体験が呼び起こされる。 古義人らが少年時代に体験した森の中の練成道場での出来事。 そこでは、政治的な問題や思想を大き...続きを読むく含みながらその集団と進駐軍の軍人、少年時代の古義人と吾良のホモソーシャル、ホモセクシュアルな関係が描かれる。 最終章は主人公の妻の視点に切り替わる。それまで、男たちが主眼に置かれていたこの物語の中で、この章だけは女性が主役にすえられる。取り替えられた、あるいは失われた子どもを「生みなおす」存在として彼女らは表舞台に登場する。しかし、私はこの章について納得がいかない点ある。 一つは、無垢で美しい子どもが無条件に欲望されること。主人公の妻は、子どもの頃から美しく才能あふれる存在だった兄が、森の中の出来事を経て「向こう側」にさらされたことを悔やみ続ける。無垢さや完璧な美しさを失ったとき、子どもは「取り替え子」になるのだろうか。それはそんなにも悲しむべきことだろうか。そして、たとえば「取り替え子」として生まれた子どもは、欠けている部分を他の何かで補うことによって、いつか美しい自分を取り戻さなければいけないのだろうか。 もう一つは、そういう子どもを産むことを女たち自身が望むこと。この作品の中で、女は常に「母」である。「母」は美しい息子を産もうとし、息子は死んでまた「母」の胎内に戻っていくかのようだ。そして、「父」はほとんど不在である。 この作品から読み取ったものを確かな言葉にする術を私はまだ持たないけれど、もっと突き詰めて考えなければいけない作品だと感じた。
大江健三郎。 私小説というおうか、自分の人生が語られている。 どこまでが事実で、どこまでが小説としてのことなのか、気になるところではある。 登場人物はおそらくほとんど実在の人物。 古くからの友人であり、義兄である吾朗(伊丹十三)の投身自殺からはじまる。 本の中にたくさんのメタファー...続きを読むがあり、何となく読んでいた私は気付いたり気付かなかったり。 四国の森の少年時代の怖い体験や、 吾朗との「田亀」を通じた通信、ベルリンでの100日間を通して吾朗の自殺を追いかけていく。 最終章では千樫(大江ゆかり、大江健三郎の妻、伊丹十三の妹)が引き継ぎ、 センダックの絵本から妹としての立場で小説を閉じる。 あまりにもたくさんの要素が盛り込まれているため、 読んでいて難しいと感じるし、読み終わっても著者の意図が読めたのかどうかはわからない。 とにかく、読みやすいけれども重く、ずっしりとくる話。 背景についていろいろと説明があるわけではないので、自分である程度知ろうとしなくてはいけない。
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