大江健三郎のレビュー一覧
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読み終えたとか言ってますが、正確には、今回読み終えたのは「芽むしり仔撃ち」だけです。
初期の大江作品を読むのは、40年前の自分と出会うようなところがって、懐かしいとか面白いとばかり言っていられない、なんだかめんどくさい作業です。ああ、それから、この第1巻に収められているほどんどの作品が、20代の...続きを読むPosted by ブクログ -
短編集ですが、後の作品になるにつれてどんどん面白く感じました。主人公は、みんな怒っていますね。最初の方の作品は、読点の位置が変わっていて読みづらく感じました。Posted by ブクログ
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「火をめぐらす鳥」を読んだ時点で。
大江健三郎という小説家を表すいくつもの側面があるけど、そのうちの一つは「小説の言葉で『詩』を書く作家」というものがあるだろう。この短編はその側面の最良の一つではないか。
読み終わって
大江の最後の短編集であり、まさに円熟の筆致ということもあるが、語り直し、捉...続きを読むPosted by ブクログ -
疫病などに接した際の人間の暴力性が見事に描かれている。最近のコロナの中の同調圧力でも分ったように人間は閉塞された環境ではこういうことをする生き物なんだなぁと、そういう本質を突きつけられた。Posted by ブクログ
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人間の内奥に居座る、根源的な黒いものを「狂気」として捉えている。
福永光司著の「荘子」にて、人間は非合理で混沌な存在であると述べられているのを思い出したが、この説明のつかない非合理性は「狂気」の表出ではないだろうか。
詩、私小説、エッセイを総合した、40年前の短編・中編集でありながら、「新しい」文...続きを読むPosted by ブクログ -
大江健三郎氏の訃報を受け、ずっと積読となっていたこちらを。
終戦後何年も広島の原爆被災者から、その苦悩や悲惨さは語られなかった。ずっと存在していた被爆者に対する差別。誤った原爆症に関する情報。。。
忘れてはならない事、持ち続けなければならない信念がある。
大江氏のご冥福をお祈りします。Posted by ブクログ -
かつて、繰り返されるモチーフや同じテーマに新鮮味を感じなくなり、次第に飽きてしまった。
今読み返すと、社会の閉塞感や戦後のどうにもならない感情の息詰まり、それらと青年が対峙する世界をひしと感じる。
他の作品も読んでみようかと思う。Posted by ブクログ -
半分くらいは自選短編集に掲載されていたが、表題作が読みたくて購入。
なるほど、自選短編集には選ばないだろうなという完成度だったが、好みの構成で「やりますか!」「ギルティ」などの迷言、迷フレーズもあって楽しく読めた。Posted by ブクログ -
行動しないことの絶望、行動したらしたでまた次の選択を迫られて結局行き詰まりとなる絶望、閉塞感。戦争に敗れた国を覆うそれらが性を通じて個人の不能として襲いかかる。言葉もまた、国語であるという点においても不自由をもたらす。プールの犯罪者が捕らえられたのちの静けさが好きだった。Posted by ブクログ