芽むしり仔撃ち

芽むしり仔撃ち

484円 (税込)

2pt

絶望的な"閉ざされた"状況にあって、疎外された少年たちが築き上げる奇妙な連帯感。知的な抒情と劇的な展開に、監禁された状況下の人間存在という戦後的主題を鮮やかに定着させた長編。ノーベル賞を受賞した大江健三郎の処女長編。

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    ー 土間の焚火は殆ど消えかかろうとし、谷を囲む森の獣の吠え声、鳥の不意の羽ばたき、そして樹皮の寒さにひびわれる音が響いた。僕は眠るために苦しい努力をしながら、腹立たしく絶望的に重苦しい死のイメージに圧倒されていたので、安らかに天使的な弟の寝息が聞えはじめると嫉妬のあまりに弟への優しい感情をすっかり無

    0
    2023年09月09日

    Posted by ブクログ

    戦争末期
    山奥の谷のむこう側に、外界と隔絶された村があって
    そこに町の「不良少年」たちが集団疎開する
    村人たちからしてみれば、厄介者を押しつけられる形だった
    しかし数日後、村に疫病が流行ったため
    村人はみんな隣村に逃げ出してしまい
    少年たちは全員取り残されて
    それだけならまだしも
    線路の橋をバリケー

    0
    2019年08月22日

    Posted by ブクログ

    大江健三郎の初期の傑作。共同体からはじき出されたものたちのアジールの出現とその崩壊という本書の主題に対して、観念的すぎるとの批判は当然あるだろうが、荒々しいほどに研ぎ澄まされた文体と濃密な暗いエネルギーに圧倒される。現在の穏やかな文体とはなんと違うことか。自分自身をつくりかえてきた作家の原点に触れる

    0
    2013年01月06日

    Posted by ブクログ

    世界で一番好きな作品。何度読んでも自分が経験したことのない時代、場所、興奮に出会うことができる。完璧に世界をパッキングした作品。ぜひ読むべき。

    0
    2021年10月25日

    Posted by ブクログ

    大江健三郎さんの本は亡くなってから読み、これがまだ4冊目だが、こんな面白いとは思わなかった。難しくて自分には合ってないと思ってたのかもしれない。恥ずかしい。
    この作品も、人間の嫌なところ、人間の習性を、独特の文体でこれでもかと、読み手の心に刻み付ける。
    大江さんはそんなに人物に感情移入させないので、

    0
    2023年07月08日

    Posted by ブクログ

    疫病などに接した際の人間の暴力性が見事に描かれている。最近のコロナの中の同調圧力でも分ったように人間は閉塞された環境ではこういうことをする生き物なんだなぁと、そういう本質を突きつけられた。

    0
    2023年05月26日

    Posted by ブクログ

    ちょっとクレージーな男の子の自立の物語。と言っても、読書会で賛同は得られなかった(^_^;)

    凶暴化した社会は主人公の凶暴と呼応している。その中で、純粋なものを失っていくのは、暴力と直接リンクしているわけでなく、暴力の周縁で発生し、主人公を揺さぶる。

    現代の10代にもそうしたことがあるのか、私に

    0
    2023年03月02日

    Posted by ブクログ

    大江健三郎作品は短編以外では初でした。大江健三郎さんの文章を読んで自信を無くし小説を書くのを諦めた人も多いと言う話を聞きました。
    少し回りくどく慣れるのに時間がかかったのですが、慣れてしまうと、こんな事まで文章で表現出来てしまうんだと驚きます。
    自然の描写、人間の心の動き、複数の人間の間に流れる空気

    0
    2021年05月16日

    Posted by ブクログ

    太平洋戦争末期の感化院の集団疎開のお話。もちろんこれは小説で、本当にこんな世界があったとは思いたくはないが、情景描写が生々しく、ノンフィクションとしてさせ感じられた。孤立は自由を与えてくれるが、不安や恐怖がその大半を占めていると感じた。ただ、孤立の不安や恐怖を乗り越えてとった行動によって、新しい世界

    0
    2021年01月02日

    Posted by ブクログ

    想像の世界を実に現実的に感じるのは、自然描写といい、心象表現といい、卓越した筆力にあるようだ。20代での作品というのも驚かされる。「擬する」を銃を突きつけるという意味でさらっと使う人はあまりいないんじゃないか。2020.8.13

    0
    2020年08月13日

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