小谷野敦のレビュー一覧

  • 忘れられたベストセラー作家
    まあ悪くない本だと思ふが
     明治以降の人気だった小説家については勉強になった。かういふ平易に書いた本はなぜか評価は低いのだが、地味で情報ばかりに感じるからかもしれない。私はなぜかこの著者の文章は堅苦しくなく、すらすら読める。
     むしろベストセラーの動向についてはあまり立体的につぶさに分析できてをらず...続きを読む
  • 芥川賞の偏差値
    筆者は学者だったけど今は作家で、やはり実践者・作る側の人だけに説得力がある。そのかわりに随分と偏っている。そこを楽しむ本。

    その作家でもある作者が自ら「文学」は終わりに近づいているという。単なる個人の感想だが、文化・
    芸術の中で、絵画や音楽、演劇でさえもまだ国民から尊重されているように思えている。...続きを読む
  • もてない男 ――恋愛論を超えて
    このくだらない感じで盛り上げてくるところは好きなもので、ぶっちゃけ出てくる学者連中のほとんどは名前も知らんがなってなとこだけど、勢いで楽しめる。自慰行為というものに対して大っぴらに語れない程度にムッツリでも嫌いではないという場合においてはこの本を一人で読みながらニヤニヤするのが吉でしょう。
    とは言え...続きを読む
  • 「昔はワルだった」と自慢するバカ
    著者の本ではまとまってゐるほう
     意外と論理的に書いてあって、なるほどと思った。最後のあとがきで、実は著者自身も悪者俗物なのではないかと思はせる。
     しかしこの本に怒ってゐるのは、金井美恵子の文章教室と同様に、バカや俗物だと分類されて不愉快になった人物ではないだらうか。
     私も一種の文学俗物、知的俗...続きを読む
  • 私小説のすすめ
    私小説の意義
     私も高校のころは丸谷才一に啓発されて、私小説なんてくだらないものだと思ってゐた。
     しかしさうではないのである。ある種のリアリズムや私小説には凄味はあり、もっぱらそれは想像力ではまかなひきれない、事実から来るからだ。私は石原慎太郎の『弟』を読んだりしてそれを痛感した。たしかに絵空事の...続きを読む
  • 友達がいないということ
    小谷野氏のエッセイとして読んだ感じですかねぇ…社畜死ね!!

    ヽ(・ω・)/ズコー

    「もてない男」も読んだんですけれども、何も覚えちゃいない…僕的にはこの作品の方が面白かったような気がしなくもないですねぇ…。

    便所飯ですか…僕はしたことありませんけれども…てか、僕が学生の頃にはこのような単語は...続きを読む
  • バカのための読書術
    書いてあることにはおほむね賛成
     一部、統計学がなぜ信用に価するのか理解してゐない人による感想が見受けられた。統計学が用ゐてゐるものは統計といふ実證的な方法で明かにされた事実だ。その事実はすべて蓋然性が高い。しかしその事実にもとづいた意見(推測など)は事実かどうかわからないから、また別に蓋然性が高い...続きを読む
  • 『こころ』は本当に名作か―正直者の名作案内―
    おもしろかった。突飛な意見もあるが、私には著者の意見は的を射てゐると思った。高校の時に買はされ、教科書で読まされたこゝろはつまらなかった。昔私は、自身にとってつまらなかったり理解できなかったりしても良い作品はあると思ってゐた。いま考へると自己欺瞞だったのだらう。書き方がいやといふ他人の感想も解るが、...続きを読む
  • 文豪の女遍歴
    各作家たちの恋愛遍歴は

    ほぼ4ページくらいで さっとまとめられていますので

    簡単に恋愛模様の 概要を知ることができます

    どの作家も なかなかの暴れっぷりですね
    そして嬉しいのが

    作家たちの写真もちゃんと載ってる



    それも 恋愛を大いにしたころ

    若いころの写真を載せてあるんですね



    ...続きを読む
  • 頭の悪い日本語
    著者が鋭い口調で誤用されている日本語を喝破していく一冊。「自作自演」や「大盤振舞」など、私も誤用していた言葉があったので大変勉強になった。
    「看護婦」のくだりは"爆"笑した。
  • 日本人のための世界史入門
    歴史を語るにあたって著者の主観が大いに入っていてかえってわかりやすくなっている。
    宣教師たちはヨーロッパでは磔刑にされないので秀吉によって磔刑に処されてさぞ喜んでいただろうとか笑える。

    各章でさまざまな歴史本がさらさらと紹介されていて、ガイド本としても優れた一冊。巻末にまとめてほしかったなぁ!
    ...続きを読む
  • 帰ってきたもてない男 ──女性嫌悪を超えて
    小谷野氏の代表作「もてない男」の続編。ざっくり言えば女性にもてないことを根源とした恋愛論、女性論であるが、著者の主張には肯首できる部分とそうでない部分があるものの、論旨は明解で面白い。要所要所で著者の実体験を記しており、それらに裏打ちされた主張は単なる言葉の羅列よりも重く感じる。
  • 純文学とは何か
    書店に並んだときにも気にはなったけど、いったんスルー。この度、中古で安価に入手。やっぱり本著者、題材の設定が上手。というか、個人的にツボ。かといって、手放しで絶賛したくなるほど好きな訳じゃなく、それなりに楽しめはするけど、っていうくらいなんだけど。まあでも、書店で数多並んでいる本の中から、題名を見て...続きを読む
  • 美人好きは罪悪か?
    「美人好きは罪悪か?」というタイトルから、一部の急進的なフェミニズムを批判する内容を予想したのですが、美人についての著者自身の所感を自由につづったエッセイというべき内容でした。とはいえ、古今東西の文学や歴史、さらにサブカルチャーにいたるまで、あらゆる知識を総動員して著者がみずからの趣味を語りつくして...続きを読む
  • 帰ってきたもてない男 ──女性嫌悪を超えて
    正直、眉を顰める向きも少なくないんじゃないかって内容ではある。でも、それは本作者に関しては折り込み済みな訳だし、ここで目くじら立てても仕方ない。という訳で、個人的には純粋におかしみました。これをかいているときの著者と、今の小生がちょうど同い年ってのも奇遇で、より楽しめたって部分もあるのかも。とはいえ...続きを読む
  • もてない男 ――恋愛論を超えて
    色んな文学作品にかこつけてのモテ論。ところで、気付けば本筆者の作品を結構読んでいる。今回もそうだし、毎回その主張に対しては首を傾げる部分が少なからずあるんだけど、どこか惹かれてしまう。題材の求め方が秀逸なんですね。巷の恋愛論なんて全く興味ないんだけど、上記の理由で本作も紐解くことに。相変わらず独特の...続きを読む
  • 文豪の女遍歴
     高名な小説家のスキャンダルが下世話でよかったのだが、作品についてとてもあっさりと評価を下しているところもよかった。有名なだけで実際読んでも全く面白くない上に、読んでないことでなんだか後ろめたいような気持ちを抱き続けてしまうことがあり、このように言ってもらえると助かる。
  • 純文学とは何か
     文学と大衆小説があるというのを知ったのは予備校の現代文の授業で、人によって定義があるようだ。この本では「純文学」に限っては、明確に私小説に限定していてとてもすっきりする。「文学」と「純文学」でまた違うのかもしれない。ノベルズを出版すると、純文学作家に入れてもらえないといった因習があるのが面白かった...続きを読む
  • 頭の悪い日本語
     言葉には五月蠅い方だと思っていた自分だが、教わることが多かった。
     「ひもとく」は本来「繙く」と書く。これは知っていたが、「ぬきんでる」を「擢る」と書くのは知らなかった。
     ほか「キャスティングボート」も「〜ボード」と思い込んでいた。嗚呼、日暮れて道遠し。
     ただ、これだけ間違いに拘泥する小谷野氏...続きを読む
  • このミステリーがひどい!
    いつも思うのだけど、なぜ小谷野敦は全方向に敵を作るような書き方をするのか。
    推理小説嫌いと言いながら、それなりには読んでいるのだ。
    そしてほぼボロクソにけなしている。
    嫌いなら読まなきゃいいのに。

    彼は純文学の人だ。
    だからトリックのためにストーリーやら人物造形やらが不自然にゆがめられるのが許せ...続きを読む