小谷野敦のレビュー一覧

  • 面白いほど詰め込める勉強法 究極の文系脳をつくる
     著者が読者に、新しい知識の身につけ方を伝授する。本書のうち特に大事なのが第四章であろう。膨大な古典作品を読破した著者は、古典作品のうち、読むに値しない本や一部飛ばし読みを推奨する本について具体的に述べており、これから古典作品に挑戦する人にとっては参考となる。著者によると、古典作品に関連する入門書も...続きを読む
  • 評論家入門
     評論家になりたい読者を対象とする入門書。評論は金になるなら文章なら何でもいいとはいえ、学問的な手続きは大切だと説く。また、言葉の定義は正確に表す必要がある。そして、何よりも大事なのが読書である。作家なら読書嫌いでもかまわないが、評論家である以上、大量の読書が絶対である。それがたとえ内容が陳腐でつま...続きを読む
  • 日本の有名一族 近代エスタブリッシュメントの系図集
    昔広瀬隆氏が欧米の系図を著した時に、なんでも家系に結びつける(特にロスチャイルド家とか)との批判があって不思議に思ったのだが、こうして日本でもエスタブリッシュの関係がまとめられようになって、ようやく”こういう世界”では”陰謀論”とかではなく当たり前の関係だと認識されるのではないだろうか。閨閥関係にあ...続きを読む
  • このミステリーがひどい!
    ミステリファンのうるさいひとり言と思ってください。
    ご不快になられたのならごめんなさい。まず謝っておきます。

    まず、単純な事実誤認が多すぎます。
    例えば、『興奮』の主人公は「コックニー訛り」ではなく「オーストラリア訛り」、『シャム双子の秘密』でクローズドサークルになった理由は「火山の噴火」ではなく...続きを読む
  • この名作がわからない
    ざっと読みのつもりが、案外面白くて一気読み。
    1章が一番面白かった。
    小池さんのおかげで、小谷野さんのうんちく語りも鼻につかずに読める。
    しかし対談が文字になると自分とは違う倫理や嗜好を面白がる人か、そもそも許容するキャパがない人か、という差がはっきり読み取れて興味深い。
    小池さんの深沢七郎愛がとて...続きを読む
  • 俺の日本史
     本書は『日本人のための世界史入門』の続編にあたる。高校日本史のように、古代から明治までの歴史を、著者の見解を交えて進めていく。なかでも意外な箇所を挙げると、たとえば、清沢満之が、唯円『歎異抄』を発掘して、キリスト教に似ていると言った、烏帽子をとられることは、下半身をむき出しにすると同然である、南北...続きを読む
  • もてない男 ――恋愛論を超えて
     本のタイトルにあるように、本書は女性にもてない男(昨今でいう弱者男性)に向けて、著者が性にまつわる歴史やそれに対する独自の見解を示し、各章の末尾にそこで話題となった題材と関連した本を紹介する構成となっている。この本は、とにかく性にまつわる話を展開して、女性とはなにか、恋愛とはなにか、性欲とはなにか...続きを読む
  • 21世紀の落語入門
    「入門」とあるが、本当の落語の初心者には馴染まない。ある程度、落語を聞いて、本も何冊か読んで基本的な知識は身につけましたよ、という人向け。

    落語以外の芸能にもたくさん言及されており、歌舞伎・人形浄瑠璃・講談にストリップと幅が広い。

    筆者が一番伝えたいこととしては、現代文学ばかり読まず古典文学を読...続きを読む
  • 日本の有名一族 近代エスタブリッシュメントの系図集
    有名人の系譜を紹介されています。意外な方々が繋がっていることに驚きがありました。系統ってやはりあるなぁと思わせていただける一冊です。
  • 直木賞をとれなかった名作たち
    おもしろいけど散漫では?
     伏見つかさの『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』を挙げたところなど見所はある。
     しかし『芥川賞の偏差値』は芥川賞の受賞作と作家を評するといふ一本筋が通ってゐるが、こちらは散漫な印象だ。
     気になった点が三つ。
     まづ「……が、……が……が……」と、「が」の連続した文は小...続きを読む
  • 文豪の女遍歴
    本の帯がちょっと嫌ですが読んでみたらそんな下ネタの本ではないですw
    文豪と言っても普通の人間と変わりないので女性問題は色々あるでしょう。
  • 川端康成と女たち
    2022年10月に川端康成の再読を始めたとき、結構長いマラソンになりそうだから、中間地点としてこの本を読もうと考え、目次に現れている本を搔き集めた。

    ところへ作者が、津原泰水に対する中傷に近い文章をブログにアップした。
    私は作者の下劣な品性を心底から軽蔑することになった。
    もとより新書の「性と愛の...続きを読む
  • ウルトラマンがいた時代
     間違いだらけの本。円谷プロが写真を提供しなかったというが、別な意味で正解だろう。
     「岸田森と水沢アキがナックル星人に虐殺される」→水沢アキは榊原るみの間違い。後の方では直っている。
     『円盤を見た!』→『円盤が来た』
     『第三惑星の悪夢』→『第四惑星の悪夢』
     「ゴジラも、あれはジョンストン島と...続きを読む
  • 日本人のための世界史入門
    西洋では古代ギリシャ、東洋では三皇五帝、といった紀元前の時代から現代までを一気呵成に通貫した世界史読本。

    著者の印象は、いわゆる「むずかしい人」とされるタイプなのではないのかなあ、と読み始めからちょっと感じました。これはダメ、あれは良い、と端々で仕訳が始まるのですが、その判断基準の統一性がよくわか...続きを読む
  • もてない男 ――恋愛論を超えて
    『恋愛論アンソロジー ソクラテスから井上章一まで』中公文庫 
    がこのアプリになかったので代わりに記録。

    恋愛の民主化というワード
  • 日本恋愛思想史 記紀万葉から現代まで
    恋愛、結婚、性への放埓性の価値観は時代によって変遷している。
    現代は近代に確立した自由恋愛による恋愛結婚至上主義の価値観が強い。恋愛弱者につらい時代になっている。
    やはり明治以降の日本での価値観の変遷が面白かった。
  • バカのための読書術
    「バカ」のための読書案内。書名が衝撃的すぎて読み始めた。

    内容は、筆者の主張がガンガン出てて面白い。夏目漱石だろうが、今人気の作家だろうが、面白くないと思ったものを面白くないとバシッと言い切っちゃうとこなんて、自分と意見が合わなくても、その書き方で笑える。特に歴史に関しては、わかんないよりわかって...続きを読む
  • このミステリーがひどい!
    ただつらつらとミステリのタイトルが並べられて、よくない、わからない、わからないとはつまらなかったということだ、などのぼやきが続くばかりなんだけどさ。読み進めていくと、これが意外と面白い。膨大な量のタイトルが出てきて、中には雑読みしたり、途中でやめたり、読んだけどわすれてしまった、というのもあるものの...続きを読む
  • 日本の有名一族 近代エスタブリッシュメントの系図集
    自分の一族に有名人が一人くらいだったら、「私の親戚あの有名な●●だよ~」と自慢できそうだが、一族中あっちもこっちも有名人だらけだったらプレッシャーが凄そうだ。学者一族の箕作家とか。あと、坪内祐三は坪内逍遥の親戚だと私も思っていたが、柳田國男の親戚でした。
  • 『こころ』は本当に名作か―正直者の名作案内―
    またタイトルに惹かれて、つい読んでしまった小谷野作品。相変わらずの辛口批評が満載で、自分も受け付けなかった文学作品がけなされていると、何となく拠り所が見つけられたように感じてしまう。それが極論の効能なんだろうけど、何だか辟易としてしまう自分もいて、正直、読んでいるうちにだんだん疲れてきました。