永井路子のレビュー一覧

  • つわものの賦
    炎環、北条政子と読み、すっかり永井路子さんの書く東国武士の世界に引き込まれている。
    本書は小説ではない。頼朝の挙兵に始まり、周囲の東国武士達についての彼女なりの考察書のようなもの。
    彼女も中で何度も言っているが、吾妻鏡やその他の資料を何度も読み返し、歴史学者とは違う小説家として、その時代の背景や心情...続きを読む
  • つわものの賦
    鎌倉草創期、頼朝から義時までの、東国の独立と基盤づくりに伴う駆け引きや血の応酬、読んでいると古今東西、時代の変わり目に繰り返される一つの雛型のように思えました。文中で著者みずから何度も言及されているとおり、(細かな史書の読み込みを踏まえてはいるものの、)学者としてではなく小説家としての想像的視点で書...続きを読む
  • 北条政子
    頼朝の妻として、大姫、頼家らの母として
    そして女としての政子。悪女との誉れ高き政子の生涯を永井路子先生の本で読んでみて益々2022年の大河ドラマが楽しみになった。

    時代は平安末期の伊豆、あの政子にも女の子らしい悩みもときめきもあった。そして妻になり嫉妬に燃え、母としての様々な怒濤のような悩み、出来...続きを読む
  • 朱なる十字架
    「信と不信」の狭間で揺れ動くガラシャの描写がとても好きです。「信と不信」はこの物語の核でもあり、光秀、忠興、キリスト教、そして最後に自己を信じるか否か、その心理描写が内省的でありながら軽やかな筆致でつづられています。
    「見つめることは傷つくこと」、「互いに愛し合っていた故に別の世界にいることを確かめ...続きを読む
  • 美貌の女帝
    なぜ遷都が繰り返されたのか、なぜ四代だけ女性天皇だったのか、その答えかもしれないと思いながら読むとハマる。それにしても血統が複雑。それも原因だったのかもしれないが。元正天皇だけは独身で突出した美貌。井伊直虎のときのように妄想してしまう。こんな見方、不謹慎だろうか(笑)
  • 山霧 毛利元就の妻 上
    面白くて、上下巻3日で一気読み。
    「天璋院篤姫」と今年の大河「花燃ゆ」で、女性が主人公の時代物のおもしろくなさに辟易していたところで、用心しながら読んだにも関わらず、面白かった。

    サブタイトルが「毛利元就の妻」だし、物語は元就が名将と呼ばれる道を駆け上がる途中までのみを描き、妻の死去とともに物語は...続きを読む
  • 朱なる十字架
    細川ガラシャ。戦国時代を生きた女性の中でも好きな人だ。やはり凛としていて潔い。

    随分前だが、ガラシャが幽閉されていた味土野に行ったことがある。行き着いたところは道の終わり…山の中。ガラシャがいた証の碑がそっと建てられていた。こんなところに何年もいたなんて…とガラシャの気持ちを思わないではいられない...続きを読む
  • 美貌の女帝
    永井史観は説得力がありますねぇ。元明・元正帝は中継ぎとして存在感が乏しかったのですが、永井路子は蘇我系天皇としてキャラをたて、藤原系天皇との対立項とします。滅びゆく蘇我氏のプライドを守る女帝たちの生き様が凛としています。
  • 美貌の女帝
    悲しくも気品のある女帝の姿にうっとりといたしました。それはなにも華やかで豪華絢爛だからではありません。むしろこの作品の主人公、元正天皇の生涯は苦難に塗れています。孤立を深めていく中、蘇我の娘としての誇りと意地をよりどころに己を滅し政(まつりごと)の世界で痛々しいまでに戦い抜く姿は感情移入をしないわけ...続きを読む
  • 朱なる十字架
    細川ガラシャ。旧版蔵書。
    永井路子の本はほぼ読破しています。最も好きな時代作家。残念ながら手元に残っていない本を「読みたい」カテゴリ登録してるけど、かつて一度は読んだ(笑)。
  • 流星 お市の方(上)
    いい!最後は京浜東北線の中で涙がこぼれそうになった。。。
    信長の「鳴かぬなら、殺してしまえホトトギス」というイメージが、ちと違う。
    お市の方も、「お江」の時のイメージと全然違う。
    ま、どんなに違うかは読んでのお楽しみ♪
  • 平家物語の女性たち
    本棚から引っ張りだして再読。大河ドラマを見るために読み返す。
    古本市で買ったので、かなりの古さ。昭和47年に書かれたもので、戦争を体験した女性たちと平家の女性たちをダブらせて書いてある。
    平家物語にはあまり女性がでてこないらしいが、その少ない人たちにスポットを当てて書いてあり、かなり興味深かった。
    ...続きを読む
  • 乱紋(下)
    物語の最後の数ページは私の人生をゆさぶった。

    そして、夜寝る前にその数べージを読みたくなって本を手に取る日々が続いている。
  • 朱なる十字架
    歴史小説ではありますが、心理描写が多くて読みやすかったです。
    主人公のガラシャは、この話では現代人にすごく近い感覚を持っている女性。
    決して自由とは言えない身分ある立場でいて、それでも己の信仰を貫かんとする姿勢が眩しく美しかった。
    しかしそれ故に相容れなくなっていく忠興との愛の擦れ違いが切ない。
    ...続きを読む
  • 流星 お市の方(上)
    (09/06/09)

    お市さまの幼少期から初婚生活中期くらいまで…かしら。
    主要な男性人がイケ☆メン変換されるといふ、素敵永井さんマジック満載です。
    何気に天然キザっこなながまささま。多少なりとも先入観在りきでしたので、どーにもこーにも…だがしかし不器用すぐる。
    結末が分かっているからこそ、余計に...続きを読む
  • この世をば(下) 藤原道長と平安王朝の時代
    古典を習い大鏡に面白さを見出す才女が描く王朝小説
    タイトルになっている「この世をば 我が世とぞ思ふ 
    望月の 欠けたることも なしと思へば」でラストを
    飾る構成、本書は上下巻の下巻・・・上巻は後日w
    歌は、長女彰子(一条天皇)二女研子(三条天皇)四
    女威子(後一条天皇)五女嬉子(春宮嬪=御朱雀天皇)...続きを読む
  • この世をば(上) 藤原道長と平安王朝の時代
    大河ドラマとはまた違う道長像でしたが、これもまた良いと思いました。上巻は道長が左大臣になるまで。
    個人的にはこっちが大河になったら面白そうだな、と思いました。政治中心の人間模様ですが、解説もわかりやすく読みやすかったです。
    大河ドラマ見てる人は是非読んでいただきたいです。
  • 寂光院残照
    鎌倉は大好きな場所で鎌倉にまつわる歴史も大好き。
    源頼朝や義経、後白河法皇、建礼門院、土佐房昌俊はじめ彼らにまつわる人々からみた権力の世界や駆け引きの様子がとてもおもしろいです。
    題名にもなっているお話、寂光院に隠棲した建礼門院と後白河法皇とのやりとりが目に浮かぶようでじわっときました。
    駆け引きや...続きを読む
  • 炎環
    1964年下半期の直木賞受賞作で大河ドラマ『草燃える』の原作のひとつになった作品だそう。鎌倉幕府創成期のお話。
    『草燃える』は観てないので、やっぱり『鎌倉殿の13人』が思い浮かぶ。人物像が全然違うのかな?と思っていたけど、案外、自分の持っていたイメージと遠からずだった。
    章ごとに主役が変わり、それぞ...続きを読む
  • 炎環
    1964年の直木賞受賞作品。鎌倉時代の歴史小説。物語は四つに分かれそれぞれ阿野全成、梶原景時、北条政子と保子姉妹、北条四郎義時を中心に描かれている。冷静な描写と表現は歴史小説というより、ノンフィクションを読んでいるよう。全てを読み終えると鎌倉幕府、源頼朝、北条家などが立体的に浮かび上がってきて面白い...続きを読む