永井路子のレビュー一覧

  • 北条政子
    学生の頃から存在は知っていたんですが、「女性が書く戦国物(鎌倉ですが)は女性寄りの恋愛絡みのものになるから読みたくない」という偏見のもと、読まないままでした。炎環を先に読んでたら、絶対に読んでた、とは思う。
    とはいえ、偏見はそんなに外れてなかったかな、と。
    今、自分が歳をとったから、夫との関係、子供...続きを読む
  • 山霧 毛利元就の妻 下
    毛利元就は正室おかたが存命中は側室をもうけないほど仲の良い夫婦であった。
    大内氏と尼子氏にはさまれ、小領主として大変な時代に毛利元就を支え、3人の息子、1人の娘を立派に育て上げた。
    当時の生活感あふれる小説であり、読み応え充分てあった。
  • 山霧 毛利元就の妻 上
    戦国大名と言われるほどの実力のない小さな国人領主であり、家督を継いでいるわけでもない。このような小領主であった毛利元就のもとに、鬼と言われる吉川国経の娘が輿入れしてくる。
    輿入れしても、実家吉川のため、情報流したりする戦国の世。
    毛利元就と妻のおかたは、戦国の夫婦として、協力し合い、生き抜いていく。...続きを読む
  • 女帝の歴史を裏返す
    推古天皇から始まる女帝の歴史。
    男性天皇の中継ぎではなくゴッドマザーとして君臨した女帝たちの姿が描かれる。
    中でも持統天皇と藤原不比等の攻防はすごく面白かった。
    血で血を争う覇権取りの中、不比等だけは血を流さなかったというのも興味深い。

    著者の作品はいくつか読んだことがある。
    生き生きとし逞しい女...続きを読む
  • 平家物語の女性たち
    全くの理系人間だった私は古文だの日本史だのに苦しんだ思い出しかない。だけど、本文を現代語に訳しては状況が伝わりにくいんだという永井路子さんの言葉を読んでから、古文解読や時代背景を知識として持ってこの本を読めてたら、もっと楽しめたかもしれないと思った。

    それでも、夫と離れて悲しいと涙する妻や、尊厳を...続きを読む
  • 美貌の女帝
    元明・元正両天皇は日本史上初めて母から娘に皇位が譲られた稀有な例の証人であり、かつ元祖スーパーキャリアウーマン親子である。

    飛鳥・奈良時代に異常に女帝が多い理由を、「母系の通じて天皇家における蘇我氏の血を死守したかったから」という点から繙いた永井氏の観察眼には驚かされた。そうか、そういう見方があっ...続きを読む
  • 流星 お市の方(上)
    織田信長の妹。当然だがお市の方を中心にはじまる。勝家は暑苦しい信長の家臣程度、秀吉などは殆ど登場しない。当時のお市の方の立場からすれば秀吉の存在などこの程度なのかもしれない。兄信長、義姉濃姫も尾張時代はとても近い関係だったが浅井家に嫁いでからは心の中存在になり信長の意向を考えながら浅井、織田の橋渡し...続きを読む
  • 美貌の女帝
    氷高の皇女ーのちの元正天皇の物語。
    話は、氷高の祖母である持統天皇の晩年から始まる。弟である文武、母である元明、そして自身の元正、甥の聖武の時代にかけて綴られている。

    天皇家の女性たちを中心としながらも、やはり政治の面になると欠かせないのが藤原氏。
    天皇家VS藤原氏の行く末に、歴史を知っていながら...続きを読む
  • 美貌の女帝
    のちに元正天皇となる氷高皇女が主人公である。
    著者によると、歴史的には地味な人物であるようだ。
    それでも、奈良時代に生きた彼女の壮絶な人生は小説にするに値する。
    妹吉備と長屋王の結婚、側近の裏切り、為政者であった当時の天皇の苦悩は計り知れない。
    自身の血筋を守るという大きな使命を背負い、巧妙な駆け引...続きを読む
  • 岩倉具視 言葉の皮を剥きながら
    言葉の皮を剥きながら…。日本の言葉の7割は皮を被っている。だからその本質を知るためには丁寧な解釈が必要。そういうことか。


     永井路子が40年の構想の時間をかけて書いた、長期熟成歴史小説。ストーリー仕立てではなく、解説なので、硬い文章を読みたくない人にはお勧めできない。岩倉具視の概要を知った人が改...続きを読む
  • 美貌の女帝
    これは藤原氏が権力を獲得するようになる原点だと読める。蘇我の力が霞んでいく、そんな歴史物語。おもしろい。


     美貌の女帝:氷高の物語。持統天皇の孫で阿閉の娘である。



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    p40 蘇我の血
     蘇我家の繁栄の始まりは蘇我稲目からである。欽明天皇以降約150年の天皇は蘇我の血を引く女を妃...続きを読む
  • ごめんあそばせ 独断日本史
      めちゃくちゃ面白いです、永井路子、杉本苑子といういずれも1920年生まれの大熟女がかしましくも語る「ごめんあそばせ 独断日本史」。まるでその時代に生きて、まるでその人たちとしょっちゅう会っていたかのように語る、歴史上の人物の悪口三昧、こき下ろし。女たらしだの愚図だの、自己チューだの、デリカシーが...続きを読む
  • 美貌の女帝
    百数年続く、天皇家の妃として名高い蘇我の女帝たちと、その皇位を奪おうとする藤原氏のお話。

    後に元正天皇となる氷高ひめみこを主人公に
    持統天皇、元明天皇、元正天皇、3人の女帝たちが活躍し、そして滅びるまでが
    壬申の乱、藤原京から平城京への遷都や、薬師寺建立などの史実とともに描かれていて大変面白かった...続きを読む
  • 流星 お市の方(下)
    戦国時代を生きる女性、信長の妹、お市の方の物語下巻。

    兄の手によって夫長政と息子万福丸は壮絶な最期を遂げ、三人の娘とともに織田家に戻ったお市の方。信長が本能寺の変で倒れた後、かつて毛嫌いしていた柴田勝家のもとに、織田家再興を心に期して再び嫁いでいきます。その後は歴史が語るとおりの悲劇。

    現代日本...続きを読む
  • 流星 お市の方(上)
    夏休みの読書。このごろ実用書ばかり読んでいたけれど、たまには歴史物でも読もうかなと思って手にした一冊。物語の世界に一気に引き込まれ、久しぶりに心から読書を楽しめました。。。

    織田信長の妹としてうまれたお市の方。戦国時代を生きる女性は、戦にこそ参加しないものの、政治的な駆け引きや情報戦において重要な...続きを読む
  • 流星 お市の方(上)
    戦国時代の各大名は、自分はこの大きさでよく、このまま安心していたくても、留まること許されなくて、成長し続け、進み続けなければ生き残れないところが、現代の上場している株式会社のようだと思いました。

    織田信長が決してスムーズに天下を取ったのではなく、とても危うい道をなんとか切り抜けてのし上がっている様...続きを読む
  • 乱紋(上)
    織田信長の妹・お市と近江の雄・浅井長政の間には三姉妹がいた。長女・お茶々は、秀吉の側室として権力をふるった後の淀君。次女・お初は京極高次の妻となり、大坂の陣で微妙な役割を演じる。そして、最も地味でぼんやりしていた三女・おごう。彼女には、実に波乱に満ちた運命が待っていた—。おごうの生涯を描く長篇歴史小...続きを読む
  • 乱紋(上)
    女のじめっとしたところがすごく書かれている。大河ドラマとは全然違うが人間ってこうかもなと思わされる。とくに女きょうだいはこうなるんじゃない。おもしろかった。
  • 乱紋(上)
    永井路子による「お江」は、華やかな歴史のヒロインとしての一般的イメージからはほど遠いかもしれない。初めて読んだときはわたしも意外に思った。がしかし、元々少ない資料しか残っていない彼女の姿が、戦国という時代背景をいちばんの手掛かりとして十分に考慮し、淡々と、それでいて生々しく描かれているのが、永井路子...続きを読む
  • 乱紋(上)
    お江さま。。。大河ドラマとは随分違っておりました。でも興味深い。浅井三姉妹の仲良し物語では終わらない深さを感じました。