永井路子のレビュー一覧

  • この世をば(下) 藤原道長と平安王朝の時代
    「この世をばわが世とぞ思ふ望月の〜」と有名な歌を残し栄華を極めた藤原道長の物語。平凡で気分の浮き沈みが顕著で容姿もパッとしないという人間味ある道長が描かれていた。姉の詮子をはじめ、妻の倫子、娘の彰子と女性も政治に与える力が大きかったのですね。女房や乳母も。この世のすべてを手に入れたような道長ですが、...続きを読む
  • この世をば(上) 藤原道長と平安王朝の時代
    大河ドラマに触発されて手に取りました。
    大河もですが、苗字が藤原で分かりづらい(笑
    ところどころにある家系図が一部分で、この人誰だっけ?状態で、自分で家系図作りながら読み進めました。後、頭の中では大河の俳優さんのイメージで。
    道長像が思っていたのと違って面白かったです。どっぷり平安時代にはまれました...続きを読む
  • この世をば(下) 藤原道長と平安王朝の時代
    平安時代は政争の時代と思っていたが、その通りの展開。武器を持って戦う描写はなくとも、めくるページめくるページに戦いの跡がある。その中でも栄華を勝ちとったのが、自らを平凡と称する本作の主人公なのも歴史小説の面白いところ。光る君へを見るにあたって読んでおくと、更に感情移入しやすくなるかも。
  • 雲と風と ――伝教大師最澄の生涯

    小説というより研究発表

    昔日本史の暗記にてんさい・しんくう(天台宗最澄・真言宗空海)と覚えたのが懐かしくて購入してみました。
    読んでみると様々な文献や仏教系の大学、中国現地にまで足を運んだ日本史の研究発表の様相でした。
    しかし、つまらないという訳ではなく宗教とは何か日本国はどのように出来上がってきたのかと考えさせられ深く心...続きを読む
  • つわものの賦
    鎌倉殿の13人の復習である。
    御恩と奉公は奴隷的な無償奉仕からの決別である。ビジネスライクな民間感覚である。
    源頼朝の旗揚げに賛同した武士団は海沿いのものが多かった。北条や三浦である。平家の時代が長くないという情報を得やすい位置にいた。44頁。
  • この世をば(上) 藤原道長と平安王朝の時代
    今まで勝手に思っていた藤原道長像と違って、どことなく頼りなく、純朴な青年といった印象で新鮮だった。テンポもよく混乱しがちな平安時代の人物もわかりやすく整理してくれているので読みやすいが、ところどころ入る現代政治家への批判が蛇足だと思う。
  • 炎環
    武士政権として誕生した鎌倉幕府ですが、これまでは源頼朝が「坂東の武士たちよ我についてこい」的につくったとものだと思っていました。
    しかし、この本を読んで頼朝の辣腕以上に頼朝の取り巻きの者たちの権謀術数が幾重にもかさなり、それがつながった結果できた幕府なんだと自分には思えました。
  • この世をば(下) 藤原道長と平安王朝の時代
    この小説では、強運に恵まれながらも、苦悩する道長が描かれます。
    当時の貴族達の苦悩が分かります。
    決してきらびやかなだけではなかったようです。
    来年の大河ドラマ「光る君へ」の予習にはもってこいの小説でした。
  • この世をば(上) 藤原道長と平安王朝の時代
    来年の大河「光る君へ」の予習として読みました。
    この本は、絶版だったようですが、復刊されたものを購入しました。
    主人公は、藤原道長です。
    平安時代に権力を欲しいままにしたイメージがありますが、上巻では、兄達に一歩も二歩も遅れを取ります。
    おっとりしていた道長が、処世術を少しづつ身につけていきます。
    ...続きを読む
  • 炎環
    2022年NHK大河ドラマ、鎌倉殿の13人関連の一冊として。

    好きな鎌倉時代を改めて読む。
    頼朝嫌い、北条嫌いは変わらないが、歴史を身近に感じて面白かった。新たな人物発見にもなった。

    やはり歴史の影に女性あり!
    政子の妹の阿波局が気になる!
  • この世をば(下) 藤原道長と平安王朝の時代
    藤原道長という人は、沈着冷静で、尊大で、周りの人を見下していた、と思っていた。しかし、この作品の藤原道長は、すぐ弱音を吐いて、女房に尻を叩かれて、やっと世渡りしている、何とも情けない男である。やっぱり、古代から、「女性は太陽」なのだ。
  • この世をば(上) 藤原道長と平安王朝の時代
    歴史小説は好きだが、平安時代のものは初めて読んだ。
    戦国時代とは異なり、戦争描写はないが、貴族間の権力争いや天皇も巻き込んだ人間関係については、とても読み応えがあった。
  • 北条政子
    愛する者のためにただの女で、妻で、母で、祖母でたまたま御台所だった。うまく歯車が噛み合わない。時代に翻弄されてしまったね。
  • 炎環
    読み終えると表題がしっくりきます。炎(命)の交わりと終わりなき連鎖。時には真っ赤に、時には青白く、勢いよく燃え上がったと思えば消えてゆく。其々の思いから発せられる言動が連鎖して一つの流れをつくり、それらが絡まり合って時代を作る。鎌倉の中枢で生きる人々の生き様を個々の視点で見せる物語です。
    人の思いの...続きを読む
  • 続 悪霊列伝

    後書き

    著者の主張したかったことが巻末の後書きに手際よくまとめられている。本書及び前巻はこの後書きの主張の実例 という位置づけである。政治というものは今も昔も人々にとっては不満の多いものであり、不満のぶつけ先としてしばしばスケープゴートを必要とする。その道具の一つが悪霊であるというのは大変に面白い。現代では...続きを読む
  • 炎環
    4つの短編のようで、独立していない感じ。
    視点を変えればこうも見かたが変わるのか。
    1番好きなのは「いもうと」です。政子と保子の微妙な立ち位置の変化がじっくりと描かれています。こういう人物の味わいを掘り下げられるのは、やっぱり映像ではなく小説だなと思うのです。
  • 炎環
    『鎌倉殿の〜』の人物像が多少これに寄ってるのかなと思えるほど違和感なく読めた。景時の最後が不憫だった。頼朝腹立つなあ!
  • 源頼朝の世界
    「鎌倉殿の13人」のサブテキストとして読んだ。ドラマでは疑問だった点(北条が親族や同僚を滅亡させる執念)が分る内容になっている。なるほど、北条は三浦や伊東とは同等の豪族ではなく、格下の小豪族だったのか。頼朝は信頼できる家臣がいなかったのか。
    ドラマではさらっと流されていた設定の背景が分かり、鎌倉時代...続きを読む
  • 北条政子
    大河ドラマでこの時代と北条政子に興味を持って手に取った。頼朝との出会いから実朝暗殺まで、文庫本で約600頁、ボリュームのある作品だった。

    昨年の大河が「マンガ日本の歴史」なら、こちらは少女漫画「北条政子」のようだったが、解説にも史実に基づいての歴史解釈がしっかりしているとあるように、改めてこの時代...続きを読む
  • 炎環
    大河ドラマ鎌倉殿の13人で登場人物のキャラが印象に残っているうちに読んだ。
     悪禅師(阿野全成)・黒雪賦(梶原景時)・いもうと(保子=ドラマでは実衣)・覇樹(北条義時)の4編からなる直木賞受賞作。
     悪禅師では亀の前騒動・義経追討・範頼殺害、黒雪賦ではまだごく初期に敗戦して隠れている頼朝見逃し・上総...続きを読む