朱川湊人のレビュー一覧

  • 本日、サービスデー
    表題作を含む短編集。最後の「蒼い岸辺にて」が秀逸です。
    自殺した若い女性と、あの世への渡し守との会話で構成されるこの作品。これからの可能性が卵の形であらわれますが、彼女には必要ないものであり、渡し守はそれを<未来ゴミ>と呼びます。可能性に満ちた未来が、自分が死んだことでゴミになってしまう。それを知っ...続きを読む
  • わくらば追慕抄
    この話は本当に心が温まるストーリーだなぁと思える作品です。今回は新たに鈴ちゃんと同じ力を持っているけどつかいかたが酷すぎる薔薇姫が登場します。この人は一体何者なのかが気になる。三巻ではどんな展開になるのかが楽しみだ
  • 都市伝説セピア
    文庫本になってすぐに読んだけど、
    いまだにふと思い出して
    読み返したくなるくらい、
    郷愁を誘う作品。


    この小説は短編集だけど、
    最初に読んだ時は
    そのバラエティーに富んだ
    作品の完成度の高さに
    ホンマに新人が書いたの?って
    ビックリしたし、

    妖しい世界観の冒頭から
    一気に引き込まれました。
    ...続きを読む
  • あした咲く蕾
    いずれのお話も心に沁みるが、中でも「空のひと」には泣けた。会社の昼休みに読んでいたので、泪をこらえるのに苦心しました。(^^ゞ
  • 都市伝説セピア
    おもしろい。読書好きの友人に勧めてもらって読んでみたけど、予想以上におもしろかった!
    一話目からぐぐっと引きこむ世界観。
    昭和のかおり漂う何とも言えない不思議な雰囲気に引き込まれて、ぐいぐい読んでました。
    全5話、すべてが完成されてて、これぞ「短編集」って感じで大満足。
    不思議な感じから始まって、最...続きを読む
  • わくらば追慕抄
    相変わらずすらすら読める。面白く心が暖まる本。悲しい結末も救いがある。好きなタイプの本だ。舞台となった昭和20~30年代というのもたまらんね。
  • 赤々煉恋
    うますぎ。ぞわぞわっと薄気味悪くなるのが、官能めいてすらいてたまらない。文体のしんしんとした静けさがまたいい。
    …わたしはホラーだとは思わないんだよねえこれ。乱歩をホラーだとは思わないように。
  • 都市伝説セピア
    分類はホラーミステリー、ホラーファンタジーでしょうか?

    中でも「昨日公園」が好きです。

    全編、ゾッとする部分あり、切ない部分ありととても素敵な短編集でした。

    ホラーファンタジー、ホラーミステリー特有の怖いなかになにか心に沁みるなんとも言えない読後感があります。
  • 赤々煉恋
    私たちは、魂で繋がっています。

    (死体写真師/レイニー・エレーン/アタシの、いちばん、ほしいもの/私はフランセス/いつか、静かの海に)
  • 白い部屋で月の歌を
    表題作について。
    この作品のホラー要素はいったいどれか。未練の残った霊たちの醜い執着のありさまか。それを操ろうとする霊能者とその弟の歪んだ心理か。
    霊が怖いというよりは、そこまで執着してしまう人間という存在そのものがホラーだと思えてくる。ジュンという主人公が発する違和感の正体が最後でわかるようになっ...続きを読む
  • 水銀虫
    ハードカバーの表紙が気に入ったけど
    自分で持ってられなくて
    こっちを買いました。

    ぞわぞわ。
    あとに残るなんとも言えない気持ち悪さ。
  • 白い部屋で月の歌を
    表題作の『白い部屋で月の歌を』は選評を先に読んでしまいまさかのネタばれ…
    やってしまった…と思いながら読み始めたものの、文章の美しさやアイディアに惹かれつつ読めました。ホラーらしい不気味さもあるものの読後に残るのはやりきれなさや切なさ。ネタばれしていたもののオチにそういうものが詰まっていてよかったで...続きを読む
  • 赤々煉恋
    タイトルから「赤煉蛇(ヤマカガシ)」を想起させられた。
    ひやりとしているが温度も感じられる、という爬虫類的特徴は本作ぴったり。
    恋焦がれる「モノ」への倒錯的な愛が低温・高熱で描かれた短編集。

    愛の形については、いわゆる「フィリア」であって、マニアとかフリークとか
    とは異なるもの。ただ、そこに帯に書...続きを読む
  • 赤々煉恋
    官能、性的嗜好、死や死体。そして不可思議なもの。普段の私とは縁のない世界のため、息苦しさを感じたり目を背けたくなった。でも、怖いもの見たさで先が読みたくなる。見てはいけないけど、だからこそ見たくなる。そんな本だった。

    全体的に暗黒な雰囲気の作品だったが、不思議と心に切なく染みてきた。気に入ったのは...続きを読む
  • 妖し
    〈怪異〉をテーマに描く、奇譚アンソロジー。アンソロジーって色んな作家さんの話を読めるからお得感がある
    不思議な話もあったけど、一番最後の小池真理子の話は強さがぶっちぎりだった…
    背筋がぞぞーっとして鳥肌がすごかった。
    不思議と恐怖というのはグラデーションで、たぶん私がそんなに怖くない、特に不思議では...続きを読む
  • わくらば追慕抄
    前作の軽く優しい雰囲気に比べてこちらはちょっと重く、一話読み終える毎にあれこれ考えた。
    どちらも面白い事には変わりないのでまた続きを出して欲しい。
  • 妖し
    全編シンプルに怖い。どろどろしているわけじゃなくて、上品な怖さだけど、それ故に怖い…!作家さんたちがみんな巧みなんだな…
  • かたみ歌(新潮文庫)
    平成生まれだけどどこか懐かしい感じがする。映画Alwaysが好きなので街並みはそれを想像しながら読んだ。
  • 本日、サービスデー
    毎日2時間あまりの通勤。同じ立ち食いそば屋で朝ごはんを食べて会社に向かう。うだつの上がらない営業課の課長として毎日夜遅くに帰る。そんなある日、一人で夕食を食べながら映画のビデオを見ていると「明日は一生に一度のサービスデーなの」という女性の声が聞こえてくる…。

    少し懐かしいノリの怪談メインのSF短編...続きを読む
  • 日本ホラー小説大賞《短編賞》集成1
    小林泰三『玩具修理者』
    沙藤一樹『Dーブリッジテープ』
    朱川湊人『白い部屋で月の歌を』
    森山東『お見世出し』
    あせごのまん『余は如何にして服部ヒロシとなりしか』