朱川湊人のレビュー一覧

  • 黒のコスモス少女団 薄紅雪華紋様
    物悲しく切ない雰囲気ただよう連作短編集でした。

    一冊目を読んだのが、おそらく3、4年前だったので記憶を探りながら読みました。
    大正時代と言われてもなかなか雰囲気や暮らしぶりと言ったものが想像しにくいと個人的には感じるのですが、前作と同じように雪華や主人公の生きた時代、彼らの見たもの感じたもの、運命...続きを読む
  • 幸せのプチ ――町の名は琥珀
    朱川ワールド満載、追憶のカスタネット通り、幸せのプチ、タマゴ小町とコロッケ・ジェーン、夜に旅立つなど連作6話。「幸せのプチ 町の名は琥珀」、2016.11発行です。都電が走る貧乏だけど美人ぞろいであたたかな人情が行き交う町が舞台です。店や登場人物が時代をこえてつながっています。町の佇まいそのものが、...続きを読む
  • 幸せのプチ ――町の名は琥珀
    朱川さんらしい、素敵にノスタルジックな連作短編集。
    つなぐのは1匹の野良犬。
    人懐こく、不思議な白い犬。
    そして、舞台は琥珀という町。
    昭和の雰囲気漂う下町。
    時代が少しずつ移ろいながらも、登場人物も重なっている。
    知らない町なのに、どこか懐かしい琥珀の町。
    子どもの頃に住んでいたあの町に戻ったよう...続きを読む
  • 主夫のトモロー
    突然の倒産により失業するトモロー。そんなトモローに二人なら暮らせると結婚を迫るミッチャン。めでたく結婚した二人は、「夫が家を守り」「妻が外で稼ぐ」スタイルを出産後も貫いていく。世の中の多くの家庭の逆を行くトモロー一家には、様々な壁にぶつかり時に悩み落ち込んだりもするのだが、「いひっひっ」を合言葉に明...続きを読む
  • 主夫のトモロー
    いかに主夫であっても、ママ友は嫁さんに嫌がられる。
    よく分かります。
    普通に子どもの親同氏の付き合いなだけなのに。
    きっと保護者会の役員にも推薦されるだろうし、もうちょっと続けて欲しかった!
  • 主夫のトモロー
    これはぜひドラマにしてほしい。
    トモローの父親ぶりがいい感じだが、それよりなにより、夫婦の関係が素敵。
    ありがちな問題でも、当事者の気持ちを丁寧に描いていて、
    忘れていた子育ての日々をいろいろと思い出させてもらえた。
    平成のホームドラマ!という感じ。
  • あした咲く蕾
    昭和ファンタジーホラー。そんな勝手なジャンル分けをしております。どれも昭和ノスタルジア満載で、不思議な幽霊譚ばかりです。怖い話はありません。ほんのり悲しくて明るくて、心のひだにちゅぴちゅぴと温かい液体を垂らして貰っているような心地よさがあります。好きだな〜この作家さん。
  • オルゴォル
    もっとも好きな作品かな。ちゃんとオルゴール渡せたし、子供なりに両親のこと理解できたし。
    そして、自殺じゃないよ。心の病で亡くなったんだよって言葉がすごくよかった。そうだよね。そう思う。
  • さよならの空
    中盤までにかけては、話がおだやかに進みすぎてちょっと読むのに時間がかかった。
    後半にかけての話の流れはとても良かった。自分にはラストもかなりすっきりしたし。
    トモルの将来が楽しみですね。
  • オルゴォル
    『かたみ歌』を読んで、たいへん気になりながらも、ようやくの2冊目です。

    母親と公団住宅で暮らす小4のハヤト。
    同じ住宅に一人で暮らすトンダ(東田)じいさんとは、あいさつを交わす程度の知り合いなのだが、ふとしたきっかけから「一生に一度のお願い」を託される。
    それは、預かっているオルゴールを鹿児島に住...続きを読む
  • わくらば日記
    一気にわくらばファンになりました。貧しくとも健気に生きていた時代は素晴らしいですね。お菓子のきれいな個包装をとっておく…なんて子どもたちの文化を知りませんでした。今の子どもたちは、平然と300円のハーゲンダッツを買っています。アイスにそんな大金を変えられる金銭感覚が怖いです。最安値30円でありながら...続きを読む
  • 白い部屋で月の歌を
    軽い気持ちで手に取った本でした。初めての朱川湊人で、ただ恐怖をかきたてるだけのものでなく流れるように美しく気味の悪さが流れ込んできて、こういうホラーもありなんだ、と心を動かされました。どちらもすごくよかったけれど、哀しさ、不気味さ、やりきれなさをより感じたクロガネノミハシラのほうが表題作よりも印象に...続きを読む
  • 都市伝説セピア
    5、6年前にオススメされたものをやっと読む。昨日公園にフクロウ男、どの話もグイグイ引き込まれた。面白い。
  • 都市伝説セピア
     短編5編収録の作品集。

     最も印象に残った短編は「昨日公園」息子と遊んでいた父親が、子どもの頃時間を巻き戻し親友を助けようとした記憶を回想する短編です。

     親友を救うため一途に行動し続ける少年の姿、悲しい決断、そしてラストたるや涙を流しそうになってしまいました。読み終えた時登場人物たちに対する...続きを読む
  • わくらば日記
    サイコメトラーのような能力を持った鈴音とその妹である和歌子のお話。
    読みやすく、シリーズとなっている。
  • わくらば日記
    朱川湊人さんにハマったきっかけであり、また、私の読書人生(?)を再スタートさせた本です。朱川湊人さんの書く、上品な女性の一人称で語られる話はとても読みやすいです。
  • オルゴォル
    まっすぐに、本当に面白かったです。
    小学生のハヤトの新鮮な感動や感覚がそのまま伝わってくるようで、純粋な気持ちになれました。
    朱川湊人さんの描く子どもが好きです。というか、子どもが出てくるといきいきとした描写になる感じが楽しく、いつも主人公が小学生だと分かった瞬間「ヨッッシャ!」と思います(笑)

    ...続きを読む
  • わくらば日記
    『人や物の記憶を読み取る能力』を持つ姉さま。
    昭和30年代の、そんな姉さまとの日々を妹の和歌子の回想でつづる。
    読みやすいし引き付けられる文章っていうのかな…どんどん続きが読みたくなる物語だった。

    その時代ならではの事件が起きたり、日常の様子が綴られてていてとても読みごたえがあった。
    終戦直後、み...続きを読む
  • オルゴォル
    同じ団地のおじいさんからオルゴールを鹿児島まで届けるよう頼まれた小学生のハヤト。オルゴールの処遇をめぐり、ハヤトは大阪に暮らす父に休みを利用して相談に向かう。

    この作品も朱川さんらしい登場人物への温かい視点、そしてオルゴールをめぐっておこるちょっと不思議な出来事が、美しい結末へ綺麗につながっている...続きを読む
  • 本日、サービスデー
     久々の朱川さんの作品でした。
    かなりゾクッとするものやしんみり涙するものが多かったですが、今回はタイトル作のように結構笑えるパターンがありました。
     人生で一度でもこんなものに巡り会うチャンスがあったらいいなと思います。