朱川湊人のレビュー一覧

  • 花まんま
    6つの短編から。
    解説重松清氏。 パルナスのCMとはどんなものなのだろう。。??

    作者は大阪生まれなのか。
    大人なのに子供の気持ちを表現しきっている箇所が凄い、と思うと同時に
    大人になって子供時代を振り返る時の感情も共感する箇所があって
    凄いと思う。

    『トカビの夜』
    →『昨日公園』のように、子供...続きを読む
  • 冥の水底(下)
    彼らの人生が失敗だなんて誰にも言って欲しくない。その人を美化し過ぎていたとしても、一人の人を思い続けた彼の人生は悲しく美しく、尊いものであったはず。心が戻らなくても、彼女と映画を見て笑い合う夢を見て欲しい。
  • わくらば日記
    「わくらば」にはよく知られている、病気におかされた葉を意味する「病葉」と草木の若葉を意味する「嫩葉」という正反対の意味がある、とは本書の解説で知った。
    であれば本書の主人公、活気溢れる妹の和歌子と病身の姉、鈴音の対照的な姉妹の姿が浮かんでくる。
    本編ではわからずに解説でなんとか著者の深い意図がやっと...続きを読む
  • 白い部屋で月の歌を
    『白い部屋で月の歌を』『鉄柱(クロガネノミハシラ)』
    以外にも、タイトルの方が短編。

    巻末に第10回ホラー小説大賞についての批評があって
    『姉飼』『相続人』『ぼっけえ きょうてえ』『光 A Light』『蜥蜴』も気になる。。

    タイトルの作品のラストの月は、きっと青くて白いのだろうなぁ、と、イメー...続きを読む
  • 赤々煉恋
    2004年から2005年にかけて雑誌『ミステリーズ!』に発表された短編5編からなる短編集。
    5編のうち1編はネクロフィリア(死体性愛)、もう1編はアクロトモフィリア(四肢欠損性愛)、更にもう1編は アポテムノフィリア(身体欠損性愛)、というなかなかド変態な内容ですが、朱川湊人氏の筆にかかると、ダーク...続きを読む
  • 月蝕楽園
    こんなエロスの世界もあるんですね。みつばち心中は不思議な高揚感があります。でも、やっぱり最後は朱川先生らしい終わり方。
    孔雀墜落は哀しい話しで、やっぱりこれも朱川先生ならではです。
  • 月蝕楽園
    朱川湊人著「月蝕楽園」
    同性に対する恋愛、性同一性障害、外見のコンプレックスなど社会の「基準」から浮いてしまった人々の悲しみや恨み、寂しさを描いた5つの作品。
    彼らは最終的に苦しみや悲しみから解放されるのだが、それは必ずしも幸せな手段による開放ではないというところに新たな悲しみを感じる。
  • 主夫のトモロー
    タイトルを見れば、何について書かれているかすぐ分かる。
    手を繋いでいる表紙の絵も、読み終えてみれば重要なポイントを突いている。
    トモローって良い名前だな~
    男の子がいたらつけたかったな。

    小説家志望の斉藤知朗。
    編集に携わっていた美術誌が突然廃刊となり…実質クビ?
    そんなタイミングで、恋人の美智子...続きを読む
  • オルゴォル
    後少しで5年生になるハヤト。
    両親が離婚しており、東京で母親と暮らす。
    大阪で住んでいる父親の所へ行くのだけれど父親は再婚しておりもう少しで子供も産まれる。

    この父親、決して悪い人ではないのだけれど、何だかモヤモヤ。
    大事なことをどうして自分の口から伝えないのか。
    『自分は父親だ』と言うなら、どう...続きを読む
  • 花まんま
    関西人にぜひ読んで欲しい!という、
    書店の方のおすすめにしたがい、
    松尾たい子さんの装丁だったせいもあり購入。

    作者と同年代のため、
    随所になつかしさを感じるアイテムが散りばめられていた。

    パルナスの歌詞が全部わかって感激。
    子ども時代って、わからないところは
    適当に歌ってたんだなぁ。


    お話...続きを読む
  • 花まんま
    短編集。
    昭和…近いようで遠い過去。
    その時代を懐かしんでか、それとも古き良き時代を忘れないためか、昭和を背景にした物語は多い。
    残念ながらこの物語に登場する、たとえばメンコというものを手にしたことが一度もない。
    見知らぬ日本、といった感じがしてしまうのはそのせいかもしれない。
    外国人に対する差別と...続きを読む
  • あした咲く蕾
    どんなに幸せの絶頂にいても、先のことはわからないものだ。
    一瞬で奪われてしまう人の命とは、なんて儚いものなんだろう。
    それでも、幸せな記憶はずっと心に残っていく。
    会ったことがない父親に、公園で会ったとうれしそうに話す娘。
    自分もその場所にいたはずなのに、何も覚えていないことが切なくて哀しくて涙ぐむ...続きを読む
  • 花まんま
    昭和の大阪の空気を感じます。綺麗ごとだけですますのではなく、差別や偏見も溢れています。そんな中で子供達が主役のファンタジーが6編。気持ち悪いのもあれば、ちょっとうるっとくるのまでバラエティに富んでます。個人的には表題作と送りん婆とトカピの夜が好きです。妖精生物はなんとなくクリオネをイメージしてました...続きを読む
  • 箱庭旅団
    始めは何だかな・・・って感じでイマイチだったけど、最後の方は面白かった、というか怖かった。
    連作短編だったのねー。
  • 満月ケチャップライス
    ほんの一瞬、ちょっとだけ目を離したすきに大怪我を負った亜由美。
    その責任をずっと感じながら生きてきた進也。
    後遺症が残った亜由美は、片方の足がひざから曲がらない。走ることも出来ない。自転車に乗ることも出来ない。
    一番近くでそれを見守ってきた進也は、亜由美への負い目をずっと抱えて生きてきた。
    亜由美の...続きを読む
  • 幸せのプチ ――町の名は琥珀
    琥珀という下町で起こった不思議な出来事。
    この時代、そういや野良犬って結構いたっけな。追いかけられると怖くて、よく高い場所へ逃げたりしていたもんだ。
    プチ(白い野良犬)は、やはり幸せを運んできていたんのだろう。にゃん吉さんのように。え、にゃん吉さんって、数年前にわが家によく遊びに来ていた野良猫。この...続きを読む
  • わくらば日記
    昭和30年代。まだ日本が貧しかった頃の物語。
    古き良き時代・・・と言っていいのかわからないけれど、今よりも不自由な(当時の人たちにはそんな認識はなかったと思うけれど)中に、人の優しさが息づいていた時代。
    現実は厳しく、ときに残酷だ。
    けれど反面愛しくて優しくて、ときに泣きたくなるほどに切ない。
    ほん...続きを読む
  • わくらば追慕抄
    短編集。
    宗教というものが本当に人を救うのかどうかはわからない。
    でも、きっと心の中の平安を求めて宗教と向き合っているのだろうと思う。
    金に執着する宗教はまがいものだ。
    昔そんなふうに言っていた人がいた。
    もしかしたら、ナカツギさまにはわずかかもしれないけれど本当に不思議な力があったのかもしれない。...続きを読む
  • 花まんま
    直木賞受賞作の6編から成る短編集。
    表題作よりも印象に残ったのは「摩訶不思議」。
    ヒモのようにして生きてたしょーもないおっちゃんが突然死んだ。だが、その葬儀で妙なことが起こる。霊柩車が動かない。アキラは参列していた愛人・カツ子さんだけでなく、別の愛人・カオルさんがいないからだと主張。カオルさんが来る...続きを読む
  • あした咲く蕾
    心が温かくなるような、ちょっと切ない不思議な話を集めた短編集。ファンタジーではあるけど、このくらいの不思議なら起こるかもしれないと思えるので、仰々しくなく素直に受け取りやすいのかも。雨つぶ通信、カンカン軒怪異譚、花散ったあとが面白かった。でも他の話も面白かった。