栞 - ゴマブックス作品一覧
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-アオトのことを何も知らないサナ。時折猫のように現れるアオトと体を重ねるだけの、未来などない関係。でもそれでもいい。その瞬間アオトの存在を感じる、それがすべて。アオトの世界にとじこめられたら、寂しくなくなるのかな。そんなアオトとサナの関係の行方は…?
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-「なぐさめて」 きっと、巽(たつみ)くんとあたしを繋いでいるのは、あたしの幼馴染の隆蔵(りゅうぞう)と、この言葉だけだ。傍にいられるなら、なんだって良かった。巽くんの熱に触れられるのなら、なんだって良かった。最低だってわかってるけど、ほかに方法を知らなかった。何よりもあたしが怖いのは、巽くんの傍にいられなくなることだから。
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-「佐波」必死そうな、七瀬くんの手。まっすぐに私を見つめる瞳。私は、あなたのことを知らないのに。だけどどうしてだろう。あなたに名前を呼ばれるたびに、私の中に懐かしさがよぎる…。私は、あなたは、いったい誰なの? 時間も記憶も関係ない、そんな運命の恋―――。何度でもきっと、恋に落ちる…。
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-幼なじみという関係が壊れてしまうなら、今のままでいい。ねえ、柊平?もし、想いを伝えていたら、彼女じゃなくて私が彼女になれたのかな。意味のない問いかけだってわかっているのに…。柊平への想いを誤魔化すように蛍とつきあい始めた。私はいつまで自分の気持ちをごまかし続けられるだろう。こんなずるい恋をいつまで続けていいはずがない…。蛍は、こんな私をどう思っているのだろう。