【感想・ネタバレ】アンチのレビュー

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Posted by ブクログ

イスラエルのYA小説ということに興味を抱き手に取る。
おじさんを自殺で亡くした14歳の少年がヒップホップに出会い、自分の中で暴れる気持ちをラップに乗せて吐き出す。
何もかも馴染みの薄い事柄なのに、スッと共感させられることに感動。

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2023年10月29日

Posted by ブクログ

翻訳を担当された鴨志田さんの記事を読んで飛んできた。

ティーンの一人語り?スタイルは、読み慣れておらず新鮮…まともに話しているかと思いきや、突然おどけ出したり脱線したり。アンチ(主人公、本名はドロール)のペースに乗せられそうで、最初は文章を追うのに苦労した。
鴨志田さんはイスラエルの若者言葉や作中のラップを翻訳するのには骨が折れたと仰っていたが、気まぐれなアンチのペースにもまぁまぁこたえていたのでは…?

「イスラエル」や「そこに生きる若者」というキーワードに惹かれて手に取ったが、自分が彼の年齢だった頃とそう変わらなかったのが第一印象。こちらは大切な人を失って今にも瓦解しそうだと言うのに微笑みかけてくる大人。それに嫌気がさすも、ただ睨みつけることしか出来ない自分。アンチの場合は叔父の死によって心が塞がり、苛立ちや警戒心が人一倍強くなるのだが、そこは概ね変わらない。そればかりか重なった。

アンチと自分が決定的に違うのは、心を解放してくれるものに出会えたかどうか。天岩戸みたいに塞がっていた心がパッと開けるような楽しみに。
アンチは本当にひょんなことからラップと出会い、導かれるように…というか強く手を引っ張られるように(文字通り)表舞台へと躍り出る。

「ぼくらは自分が道を選んでたってことに、いつもそのちょっと後になってから気がつく。そっちの方がいい。だって今自分が道を選んでいるって意識しちゃったら、怖すぎてもう何も決められなくなるでしょ」

「名前はドロール 意味は大いなる自由
 君らに見せる 生きている理由」
ラップの訳がカッコいい!こちらも相当苦労されたと思うけど、鴨志田さんの翻訳技術が見まごうことなく光っていた。

周囲にあれだけ心を塞ぎ武装していた少年が、暴力ではなく言葉で彼の中の「巨大な岩」をブレイクスルーしていく。
前述の「気まぐれなペースが〜」云々はどこへやら。中盤以降は似たような体験をした「同志」として何度も声援を送り、特にラップの場で非難を受けても決してディスり返さなかったのは誇らしかった。

主人公の一人語りやラップでの会話など若者文化が際立つ作風でありながら、日常生活における貧困や宗教観も垣間見れる。アンチは人生を変えられる事を彼なりの方法で証明したが、鴨志田さんは試行錯誤を重ねて彼らの日常へと連れ出してくれた。言葉の壁をブレイクスルーした彼女もまた、最高に誇らしい。

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2022年06月04日

Posted by ブクログ

本屋さんの本みくじガチャで出てきたので
買ってみた
普段読まないジャンルだったので最初はなかなか
読み進めなかったけど、次第にラップに惹き込まれていった
心の奥からすべてをだして伝えるのはとても覚悟がいるけれど、だからこそ人は心を動かされるんだな

外国語のラップを日本語のラップに翻訳するのは言葉の意味以外にも韻も考えないといけないだろうし
相当大変だろうな。すごいなぁ

自分では選ばないだろう作品に出会うチャンスをくれる最近の本屋さんの試みはありがたいです
ワクワクする

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2024年04月07日

Posted by ブクログ

全部に徹底的に反抗する14歳のぼくの名はアンチ。イスラエルに両親と兄と弟と暮らしている。父は、子どものときから世話をしていた伯父のマティが深刻なうつ病で自殺したことから、ゾンビのようになってしまった。伯母セルマのアメリカ土産のラップCDが気に入ったぼくは、他のラップアルバムを買おうとCD屋に行った際、アラドとリサに出会い、彼らのラップと万引のテクニックに驚いた。その後も彼らと万引とラップの集まりをし、ラップの魅力にはとりつかれたものの、万引は続けられなかった。リサはぼくに同意して、ぼくと一緒にアラドのラップグループを脱退したが、他のメンバーは残り、対立状態となる。ぼくらはふたりだけでチームを組み、ラップ大会に出場することになった。

反抗期真っ盛りのエネルギーを持て余しながらも、それをラップに注ぐ少年の姿を周囲の大人や友人の姿を交えて描く物語。





*******ここからはネタバレ*******

反抗期の少年の家庭が、伯父の自殺で壊れ、ラップをきっかけに自分ののめり込めるものを見出したものの、そこでもメンバーとの意見の相違があって苦悩する。でも、結果、困難を乗り越えて栄光を手に入れてしまうというわかりやすいストーリー。

アラドが最後まで態度を軟化させなかったことがこの物語を単純にしているようです。
仲間割れしてリサを奪われた悔しさはあるのでしょうが、彼がもう少し冷静でいられたなら、最後にアンチはラップと出会わせてくれた彼に「感謝」できたでしょうに。万引反対のアンチが勝って悪者アラドは負けておしまいでは、あまりにも薄すぎませんか?

ゴージャスの父親と大会関係者の態度もあからさま過ぎます。どう考えても、ゴージャスはこれでは居心地が悪いだけでしょう。彼のパフォーマンスは、ラップだけでなくダンスもプロ級だったのに、それでも負けを選んだのは、八百長のせいだけではありませんか???

カウンセラーのキネレットの言葉もわかりにくい。「悪い針路から自分を断ち切って暗い世界から抜け出すの」とアドバイスしているが、具体性がなく、これで実行できるローティーンがいるなら、この問題についてカウンセラーは不要ということではないのか?
私が物語の中のカウンセラーに期待するのは、きっと同じような状況にある子が、自分も登場人物と一緒にヒントがほしいと思って読むと思うから。

マティの死について、向き合わざるを得ない状況に置かれたとはいえ、大勢の前で語れたことは大きな一歩で、それだから父親もマティの死から「解放」されたのでしょう。
高学年以上の作品には壊れた家庭が多く出てきますが、本作もこの一つで、反抗期の少年が父親を救うことになりました。親を当てにせず、おとなになれというメッセージなのでしょうか?

ラップ大会のタイトルが「暴力ではなくことばで」とありますが、この大会には「ことばの暴力」が多々あったように見受けられます。

原作はイディッシュ語で書かれたのでしょうか?
私には想像さえできないのですが、ラップが多く出てくる翻訳はさぞかし骨の折れることだったと思います。


物語は単純ですが、言葉の遊びが多くて最初は読みにくいです。
乱暴な表現があるので、万人にはオススメできませんが、読むのなら、中学生以上がいいと思います。

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2020年05月27日

Posted by ブクログ

イスラエルの少年ラッパーの話。
ヒップホップの影響力と格好よさを感じれる作品。
イスラエルの子供達もこんなことをするんだなぁと面白かった。

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2019年11月04日

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