あらすじ
28年前、弁護士一家を襲った残忍な殺人事件――
生き残り、弁護士となった“良き娘”は再び悪夢を目撃する。
映像化決定!
MWA賞受賞作家、渾身のサイコサスペンス。
アメリカ南部の小さな町で白人女性が殺され、容疑者の黒人青年を担当した弁護士の自宅が放火された。
家は全焼し、一家が引っ越した数日後、弁護士の留守中に二人組の男が家に押し入り妻を惨殺、十代の姉妹も襲われた――。
28年後、辛くも生き残り、父と同じ弁護士になった次女シャーロットは、後悔を抱えながらも前に進んでいた。
だが地元中学校で起きた銃乱射事件が、封印した過去を呼び戻し……。
解説:池上冬樹
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『開かれた瞳孔』
『彼女のかけら 上・下』
『プリティ・ガールズ 上・下』
〈ウィル・トレント〉シリーズ
『ハンティング 上・下』
『サイレント 上・下』
『血のペナルティ』
『罪人のカルマ』
『ブラック&ホワイト』
『贖いのリミット』
『破滅のループ』
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
子供時代にあった事件で人生が一変する場面を読んでいる時、映画プリズナーズのラスト近くで感じた何も出来ない無力感と同じ感覚を味わった。
とりあえず上はまだ序盤、下巻に入ってからが本番。
Posted by ブクログ
本の裏にあるあらすじを一読してもよく分からないまま読み始めたが、これは面白い。冒頭がこんなにもショッキングな描写で始まるとは。国が違う、文化が違う、歴史が違うと、こんな事件が起きてしまうことに驚いた。また、読み終わって思ったのは、物語の中心の事件は何も解決していないという事。下巻でどう完結するのか楽しみ。
Posted by ブクログ
カリン・スローター作品で一番感情移入できた作品である。むしろそういうことをこの作家には期待してはいなかっただけに、これは驚きだ。面白さのための人間構築、常にストーリーのための対人葛藤の迷路を構築する建築学的な作家、とぼくは見ていたのだが、もしやそれは視野の狭い思い込みであったか。
とは言うものの、導入部はいつもの通りである。この作家の個性とさえ言えるほどの、うんざりするほどの血とバイオレンス。だからこそ、まさか暴力に巻き込まれた家族の、その後の絆づくりという心の風向きに、この物語が手向けられてゆくとは予想をしてはいなかったのだ。
弁護士一家を襲った過去の凄惨な事件により、心身ともに後遺症を抱えたまま家族を離れた長女。父とともに暮らしその弁護士としての仕事を継ぐ次女。暴力で断たれた母の命と、その豊饒なる知性の記憶。
それぞれに性格の異なる姉妹。そして彼女らへの沈黙の不可視的な愛を貫く弁護士の父。それぞれに深みも痛みも介在する人間たちの傷だらけの人生。それでいて並々ならぬ知性豊かな三人の、喪われし人生の記憶とその再生の行方とが、何と、次女が出くわす新たな凄惨なる事件いう形で試されてゆく物語である。学校での発砲事件。もはや珍しいとは言えないアメリカの風物詩みたいな。
事件の加害者である少女の沈黙がまずは謎である。事件の被害者は、さらに年少の少女、そして校長。一見、単純な構図に見える事件だが、動機も、その後の展開も、見た目通りではなさそうであった。事件に関わるヒロインたちの内なる闘いに、外なる疑惑が絡み合い、継いで、彼女たちに関わる男、壊れかけた夫婦関係、出産の失敗などなど、複雑な課題と過去とが絡み合う暗黒の深さ。
主要登場人物がそう多くない割に、彼ら彼女らの個性が否応なく絡み合い、ぶつかり合う。いつものスローター節。どんでん返しや、いくつものトラップやミスリードが、全体のエンターテインメントとしての謎多き物語を象っているのも、いつも通りのスタイルである。
しかし、警察小説の形を取らず、シリーズとは分離させ、事件関係者(被害者、弁護士、検事)やその家族たちの道を、心の内側から、それもいくつもの過去からの出来事の真相に迫ろうとする、この作者ならではの複雑に編まれたプロットにずっと寄りそうような心身の痛みの記憶がたまらない。
娘たちを守れなかった父親と、その後の人生。一見雄弁に見える彼を取り巻く秘密と、娘たちの錯綜する心が出くわすとき、この家族の物語は、この家族を変える時間にようやく出会うことができる。そこにあるのは癒し? あるいは決意?
不幸な事件により無残に傷つけられた家族とその後の人生航路を、押し寄せるいくつもの波濤のなかに描き切るビルディングス・ロマンである。少なくとも時間軸空間軸ともに壮大なスケールのミステリーとして、否、むしろヒューマンなドラマとしてしっかりと味わって頂きたい力作である。
Posted by ブクログ
銃があるとこう言う事になるよね
なんとも悲惨な・・・
ちょっと変わった母は
真っ直ぐ手を伸ばして
・・・なんて事!
姉の終わりから
話は妹に
途中は飛んでるけど
容易に想像できる
Posted by ブクログ
弁護士のラスティは誰も依頼を受けたがらないような凶悪犯の弁護人ばかりしている。被害者からは恨まれ、依頼人から弁護費用を踏み倒されたうえ、うまく弁護してくれなかったと恨まれる。小さな地方都市でそんなことをするものだから、顔見知りばかりの住民からも非難される。なぜそんなことをと妻も二人の娘も思っているが、信念だからと言うしかない。
尊い仕事なのかもしれない。しかし、皮肉にもそれが原因で、妻は殺され、長女は瀕死の状態に。次女も心に深い傷を負う。
悪しき人間に襲撃されたことによって崩れた家族の幸せと姉妹の絆、再び取り戻すことはできるのだろうか・・・
以下感想。
ミステリー小説としての楽しみ方もあれば、家族の絆を取り戻していくというヒューマンドラマの要素もある。分量からすると後者のほうが多いので、家族再生の物語を作者は書きたかったんじゃないだろうか。
大人になってから疎遠になり、会えばケンカばかりしている姉妹だが、心の中では互いを思い合っているのをひしひしと感じる。
家族のことを思ってついた嘘が、家族の傷を深めたり、真実がわかって、何も知らなかった自分を責めたり、いろいろだ。
ミステリーのほうはなんとなくそうかなぁ、という方向に進んで行くので、ちょっと物足りないかも。意外性はあまりない。
この作家の作品を読むのは初めてなので、最初は慣れなかったが、シリーズものが人気らしい。この作品は単発みたいだが、この姉妹が冒頭から協力して難事件を解決するみたいな小説が出るなら、読んでみたい。
Posted by ブクログ
父親が日本でいう公選弁護士をやっていて、「極悪犯罪人の味方」「あいつが弁護したせいで、犯人は出所してきた」など、いわれのない恨みを買い、家族に危険を与えて来た。普通はさ、弁護士自体をやめるか、扱っている客層を変えるかするべ。このおっさん何かあやしい。母親は事件で殺され、娘二人も弁護士。おかしい。何がトラウマが癒えない。。。アホかこいつら。多分上巻だから伏線を撒き散らすのが目的だと思うが、こういう歪んだ人たち、実は嫌いじゃない。下巻どうする?読むか読まないか。
Posted by ブクログ
裏カバーを先に読む習慣だもので・・が、実際の筋は首をかしげる~法廷劇か家族問題か・・はたまた
冒頭の「住居の焼失~母親の惨劇」はくっきりと姿を現すのだが、そこから妹が陽になったり陰になったり。その立ち位置関係はともすると姉が入れ替わる。
弁護士の父親は善悪が判別せぬが、街中の嫌われ者(被疑者、被告人を除き)
姉妹にとっても父親の立場がよく見えぬが、はっきりしているのは、亡くなった母親の影が巨大である事。精神世界を相当に支配していた感があり、そこから敷衍して行くメンタルの問題も絡んでいく。
英国ミステリーと大きく異なり、米のミステリーはとにかく「警察の在り様」が暴力的。ともすると似たテーマのばかり・・そして犯罪、社会問題も。抱える闇、膿のどうしようもなさが浮き彫りになる。
カリンスローター、未だ2作目でヒトとなり、作風を把握していないだけに、がっぷり四つで組み、上の伏せんが下でどう回収されて行くか、読書というより知的奮闘になりそう。
Posted by ブクログ
これはシリーズものではなく上下巻で完結
この作者はどこまで女性と子供を痛めつけるんだろう?
正義を貫こうとする弁護士の家族に起こった事件から始まる
火炎瓶を投げ込まれて家が焼失した為、町から離れた一軒家に引っ越して間もなく、母親は銃で頭を撃ち抜かれ、長女は畑で撃たれて埋められ、次女は森に連れ込まれたが際どいところで逃げて隣の家に駆け込む…
といったショッキングな出だしから物語は始まる
今作に出てくる女性は皆、不器用で何かを抱えている生き辛さに支配されている
典型的な男尊女卑の世界がこの中にある
読んでいくうちにもどかしさやジレンマを感じるのは私だけではないだろう
Posted by ブクログ
朝日新聞の書評で見て。正義感の弁護士ラスティ・クインの妻ガンマ、娘のサマンサとチャーリーがラスティが弁護費を滞納していたザックらに襲われる。無残にガンマは殺害され、サマンサは生き埋めになりながらも一命をとりとめる。そして、そこから月日がたち、チャーリーも弁護士となった。とあるきっかけで訪れた中学で、襲撃事件の当事者となってしまう。18歳のケリーウィルソンは犯人なのか。ケリーの弁護に立つラスティも何者かに襲撃され、サマンサとチャーリーは再会。そして下巻へ…。正直、展開が遅く冗長に感じたり、同じページの中でサマンサがサムになったりチャーリーがシャーロットになったり、読むのが疲れる感じ。だけど、下巻まで頑張って読んでみます…。
Posted by ブクログ
カリン・スローター『グッド・ドーター 上』ハーパーBOOKS。
いつものウィル・トレント・シリーズではなく、全くのノンシリーズ。悲劇に見舞われた家族の物語なのか、法廷ミステリーなのか判然としないままに上巻が終わる。28年前の事件のフラッシュバックと女子高校生による銃乱射事件。登場人物の誰もが傷付いており、壊れていて、か弱く、ヒーローと成り得ない。
アメリカ南部で白人女性を殺害した容疑者の黒人青年を弁護した弁護士ラスティ・クインの自宅が放火される。一家が引っ越した数日後にラスティの留守中、銃を持った二人組の男が乱入し、妻のハリエットを殺害、姉のサマンサも重傷を追う。妹のシャーロットはサマンサに助けられ、辛くも生き残る。
それから28年後、弁護士となったシャーロットは不倫相手の元に忘れたiPhoneを取り戻すために偶然居合わせた母校の中学校で女子高校生による銃乱射事件に遭遇する。
本体価格891円
★★★