あらすじ
明治時代の名馬ミラ。血統書がなく、その子孫は非サラブレッド=サラ系と分類された。1970年代、厩務員の大谷はサラ系の名馬ミラの子孫を担当する。その馬は彼や周囲の思いを背負い活躍し始める。舞台は現代に移り、競馬記者小林のもとに、ミラの血統書の存在をほのめかす電話が……。一枚の血統書が競馬の歴史を根底から変えるのか。人々の夢を乗せた「もし」の結末は。壮大なる競馬史ミステリー。
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Posted by ブクログ
サラブレッドでない馬、サラ系のミラを巡るストーリー。
1970年代と、2020年代のストーリーが平行して進む。架空の競走馬ホーリーシャークのドラマと、ミラの血統書をめぐるミステリーの2つが楽しめる。
おそらく競馬ファンしかついてこられないと思うが、競馬ファンなら競馬描写の迫力、ミラやサラ系、あるいは小岩井や御料牧場などの話題で楽しめる。
島田氏が取材の成果を発揮した名作
Posted by ブクログ
島田明宏さんの競馬ミステリー、4冊目。
少し前の淑子さんのラジオ番組で、作者がこの本のことを喋っていたのを聴いたが、周辺情報として聞いておいて良かったな。
明治時代に主にオーストラリアから輸入された”サラ系”についてはヒカルイマイをきっかけにして知ってはいたが、改めて勉強になった。
なるほど、8代かけ続ければサラブレッドになると言ってもそれは母系でつながる話で、サラ系の種牡馬をかければその仔はサラ系でしかなければ、そりゃあサラ系の種牡馬をかけようという人はいないよな。あれほど強かったヒカルイマイでも如何ともし難し…。
1970年代と2020年代の2つの時代に分かれて話が進むが、2020年代に小林が調べていく過程は、作者が3年前のグリーンチャンネルの特番のために実際に調べ回ったことも反映されているようで、ワカタカの血統書が浦河の馬事資料館にあるもの本当の話のようだし、その番組を見ていない私には色々と興味深い。
1970年代のホーリーシャークの話を浅いながらも上手いこと作り上げて、実際の調査と結び付けて出来た話は、このシリーズとしては初めてまずまず良かったように思う。
ということで、大甘だが★4つ。
Posted by ブクログ
あまり聞かれなくなった「サラ系」という言葉がある。日本競馬史を紐解いていくと、ヒカルイマイはサラ系のクラシックホースだった、というふうに歴史の文脈の中に現れる。
小説仕立てではあったが、本書を通じてサラ系とはなにか、サラ系とされた馬の悲運を知ることが出来た。
筆者の傑作、ブリーダーズ・ロマンと比べると、「突き抜けた妄想描写」がなく、それ同等のものを期待していたので、小説としては物足りなさがあった。