【感想・ネタバレ】ビジネスパーソンの新・兼業農家論のレビュー

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Posted by ブクログ

どうしても農業というと、大変、儲からないといった印象を受けてしまいがちであるが、本書は農業ではなく、「農的暮らし」を起点に、どう成立させるかという視点に立って語られているところが良い。そこを起点にしながらも、ビジネスとしての成立もしっかりと抑えて成立性を模索すること。出口まで見据えて手段として農的暮らしを活用すること。そんなエッセンスが感じられる。
何よりも大事にしている点は、自分がどうしたいと思っているか。それを持ち動き始めることで道がいくつも見えてくること。能動的、積極的マインドを持つことが自ずといろんな結果が引き寄せられるのだと思わせられる。

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2023年11月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

いつかは(それも近いうちに)なってみたい、兼業農家。
ずっとホワイトカラーでやってきてここ数年、「自分が農業をしたらどんな風に取り組むか」を考えることが多くなった。人間はメンタリティの上でも栄養学的にも土から離れられないのでは…
本家が農家ということもある。
実際に、どのように農業を楽しくやっていくか、作物の選び方や初期投資の抑え方などが解説される。
本書で紹介されている、「こんな取り組みをしている人が」という部分だけでも興味深い。

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2021年08月25日

Posted by ブクログ

日進月歩のテクノロジーの進化は、地方の農村にも大きな恩恵をもたらしている。
生産者が容易に情報発信する環境が整い、直接、消費者へ農産物を届けられるようになった。
更に、農産物を加工し付加価値を付けてネットで販売すれば、農家の所得も向上する。
不明な点があれば、ググればいいし、資金が必要ならクラファンがある。仲間が欲しいならSNSを使えばいい!
いままでの常識をぶっこわし、楽しくてカッコよく、健康的な農ライフを、実践者から学ぼう!

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2021年02月03日

Posted by ブクログ

現代日本における、農とは何か?を定義し直そうとする本。農を文化価値と捉え、「暮らし」と「商い」の側面から捉えていく。

内容的には結構盛りだくさんで、悪く言うととっ散らかっている 笑
でも、著者の思いに溢れており、感情移入しながら気軽に一気に読み進められた。

(以下内容まとめ、→部分は考えた事と感想)

農業とは、
人間の3大営み(作る) (食べる) (働く)を自然環境の中に集約して実践できるもの

◼️農的な暮らし
商いよりも暮らしの方が人生にとって遥かに重要。格好いい農家は暮らしの部分で人を魅了する
・広島の三原市にある桜の山農場は穀物を自給しエネルギーも自然から賄っている。料理は釜戸で行う。商いの養豚は全国平均では1頭あたり平均7.5千円の利益だが、ここでは120千円。先人の知恵とテクノロジーを融合させ、心豊かな暮らしを実現している
→自分達にとって必要な物を取捨選択し、生活と商いが融合できて、経済的にも自立できてるのは素晴らしいと思う

◼️農的な商い
うまくいっている農家は自分の作った農作物を誰にどうやって食べて欲しいかを明確にデザインできている
・梶谷農園は年商1億のハーブ園、星付きレストラン専用のハーブ栽培をしている。経営者自身も料理をするし、高級レストランに足を運びシェフのニーズを日々探っている

・農をビジネスとして成り立たせるためには出口戦略が重要である。農に関わる人には生産者と言うよりビジネスパーソンとしてのスキルがより求められる
→農業もビジネスなので、誰の何を満たすのか?が必要である。農業は生産性を求めJAが買取、農家は生産に注力してきた事で顧客が見えなくなっている。町の部品加工屋と自動車メーカーの関係も同じだが、金を払ってくれる人の事を知らず作る事に専念というのは、バリューチェーン上で付加価値低いところに甘んじる事になり非常にマズいと感じた。
農業のサプライチェーンはざっくり遺伝子・種メーカー→種苗メーカー→農家→加工→流通→飲食 と思うが、農家として野菜生産だけする、という状態は製造業の組立だけやる、という事と同義でEMSのように超巨大化しないと立ち行かなくなる低利益大量生産への道と思った。

◼️ポスト資本主義経済における農業
テクノロジーが進化するほど自然の価値が高まる。ポスト資本主義は自然主義とも言える
・ニューヨークのブルーヒルストーンバーンズは32haの農場隣接レストラン、農業、酪農など食材を持続可能な生産しており、農場散策後に食事をする。家族4人で10万円を軽く超えるが予約が取れない人気店
→自然に触れると落ち着くというのは遺伝子レベルでの本能と思う。木陰だと体力を温存しやすいとか、草食動物が草食べてるのを見ると天敵いないと判断して安心するとか、野生としての人間を満たす為に金を払ってでも体験したいと思う。たぶん田舎で野生が満たされている人は利用してない

→人と自然の共存と言う時、自然から人間の糧を得る活動である農がイメージされる。自然の中で働いている様子を想像するだけで共存感がある。でももし、工場内で完全循環型農業ができて、廃棄物を取り込んで肥料なんかも賄えたらその方が持続可能と思う。農=自然と考えると、自然がビッグワードなので時折人間の野生としての欲を満たす為の要素が重視され、持続可能な生産と癒しが混合して答えが歪むと感じる。食糧生産と人間の野生を満たすは分けて考えた方がいいと思う。

→都会人の野生を満たすサービスとしてTable to farm があるとしたら、同じ様に美味しい物を食べたい、目を保養したい、とか異なるニーズがあって、それを満たす為の手段で一次産業に近い部分を農と呼ぶのだと思う


◼️コンパクト農ライフ
大自然の中で暮らしと商いをコンパクトな考え方に基づいてバランスさせる生き方

小さなエネルギーで大きな豊かさを手に入れる。作ったものの価値を最大化させる為に美味しくて健康的な本物を作り、価格の決定権を自分達で持つ

・ブランドづくりという観点からモノづくりをする
・出口(価格+販売先+営業方法)を明確にする
・生み出したブランド(商品)を心から愛する

◼️人間の生き方の哲学
・スモールイズビューティフル 小さい事の素晴らしさは人間のスケールの大きさと定義できる。適切な枠組みを理解しなければならない
・ダライ・ラマ法皇の説法からの井本さんの解釈「科学は自然に戻っていく」
・小さくても質が高ければ上手くいく
→工業的な付加価値(加工どの高さみたいなもの)ではなくて、哲学がありその実現がデザインされていれば質は上げられる

◼️コンパクト農ライフの定量目標
・0.5haで10,000千円の売上 明治の日本農家平均が0.4ha
・何をいくらくらいの価格で売りたいか?月々どれくらいの量生産可能か?ランニングコストはいくらくらいかかるか?
売上、コスト、利益計画をしっかり立てましょう
・あるモノで考える。コストをかけない。「わら一本の革命」は、田畑に種を蒔いておけば収穫できるという究極の「無の哲学」究極これくらいシンプルに
・6次化して付加価値を上げる
→薄利多売ではなく、高利少売を目指すという事。6次産業とは久しぶりに聞いたが、小さいながらSC全て押さえて事業するというのは面白い。創意工夫で何かを生み出せる様な素敵な響きと感じた

◼️感想
農を自然の恵みを頂きながら暮らしと商いを両立させる文化と捉え、小規模でも生活と仕事を成り立たせようとする取り組みで興味深かった。
暮らしと商いを両立させる点は農ではない業界でも共通の考え方と思う一方、農だからこそ得られる豊かさ(自然からの恵み)や人との交流、社会問題解決への貢献など充実感を得られる事が多そうと感じた。

自分も農や自然は大好きなので、こういう魅力を考える時は理屈だけじゃないよなぁと思う。
電子ペーパーもあるけど紙の方が感性的に好きというようなレベルの話かもしれないけど、人間の根本的なところに通じる部分だからだと思う。

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2022年01月25日

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