あらすじ
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【内容紹介】
昆虫に行き方を学ぶ啓発書!
みなさんは「先輩」と聞いてだれの顔を思い浮かべるでしょうか? 部活の先輩、会社の先輩……まさか昆虫を思い浮かべる人なんていないでしょう。でも、地球上の生き物として、昆虫は人間のずっとずっと先輩なんです。
人類が誕生したのは約700万年前。一方、昆虫が誕生したのは、今から約4億8千万年前。人間が現れる約5億年もの昔から、昆虫は地球上を生き抜いてきているのです。
昆虫は、その種の数も群を抜いています。人間などの哺乳類が約6千種であるのに対し、昆虫は約100万種。地球上の生き物は、4分の3が昆虫なのです。しかも、いまだに毎年新種が見つかっていて、今のペースで新種の発見と記録を進めていると、全ての昆虫を記録するにはあと500年かかるとも言われています。地球で一番繁栄しているのは、人間ではなく昆虫なのです。
この本の舞台は、夏のとある雑木林。
会社の人間関係がうまくいかず、生き方に悩む青年・太郎くんが、しゃべる昆虫たちと出会い、「生き物としての先輩」である彼らから「最も自然な生き方」を学んでいきます。
【著者紹介】
[絵]じゅえき 太郎(じゅえき・たろう)
1988年東京生まれ。イラストレーター、画家、漫画家。
SICF16オーディエンス賞受賞、第19回岡本太郎現代芸術賞入選。身近な虫をモチーフに様々な作品を製作している。
著書に『ゆるふわ昆虫図鑑 気持ちがゆる~くなる虫ライフ 』(宝島社)、『ゆるふわ昆虫図鑑 ボクらはゆるく生きている』(KADOKAWA)、『小学館の図鑑NEO まどあけずかん むし』(小学館)(イラスト担当)など。
フロンターレこども新聞 (川崎フロンターレ、まるやま昆虫研究所(毎日小学生新聞)で漫画連載中。
[文]ペズル
文筆家。
著書に『三国志に学ぶ人間関係の法則120』、『せかいいっしゅう あそびのたび』(ともにプレジデント社)がある。
[監修]須田 研司(すだ・けんじ)
むさしの自然史研究会代表。多摩六都科学館や武蔵野自然クラブで、子どもたちに昆虫のおもしろさを伝える活動に尽力している。
監修書に『みいつけた! がっこうのまわりのいきもの(1~8巻)』(学研プラス)、『世界の美しい虫』(パイインターナショナル)、『ふしぎな世界を見てみよう!びっくり昆虫大図鑑』(高橋書店)、『世界でいちばん素敵な昆虫の教室』(三才ブックス)、『じゅえき太郎のゆるふわ昆虫大百科』(実業之日本社)、『昆虫たちのやばい生き方図鑑』(日本文芸社)、『すごい虫ずかん ぞうきばやしを のぞいたら』(KADOKAWA)などがある。
【目次抜粋】
ほしいなら、まず、あげよう。クロオオアリ
「常識」って、わりと「偏見」。オオスズメバチ
相手を変えるより、自分を変えたほうが早いぞ。サバクトビバッタ
「楽」と「楽しい」は別物です。サカダチゴミムシダマシ
つらい時、「逆に」と言える人は強いね。サハラサバクアリ
「頼りになる人」は、あなたを「無能にする人」かもしれない。カイコガ(幼虫)
立場が変われば、「好き嫌い」も真逆になるわ。ナナホシテントウ
長所と短所は、表裏一体なのよ。オオコノハムシ
「特徴×特徴」で突き抜けよう!ヘラクレスオオカブト
思いは伝えなきゃ、思ってないのと同じさ。ピーコックスパイダー
距離が近いと、もめやすいんです。クサカゲロウ
「みんなの幸せ」と「個人の幸せ」は、意外と一致しない。ニホンミツバチ
「何を守るか」とは、「何を手放すか」ですよ。ウラナミシジミ
傷つかないのは強さじゃない。再生するのが真の強さじゃ。エダナナフシ
本当に夢中になると、不満を抱くヒマがなくなる。クロオオアリ
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
空気感の温かい、生きる気持ちがジワジワ湧いてくる、どちらかというと、哲学書の部類に入るのではないでしょうか。
ページをめくる時のワクワク効果を、最大限に活用しています。
Posted by ブクログ
じゅえき太郎さんの絵も好きですが,内容が「響く」.
ムシできないコラムでは虫の知識がつきます!
外で見る蟻は若い蟻じゃなくて年を取った蟻とか,羽じゃなくて翅が正しい表記とか.
オオクロアリ:「何かほしい」と思ったら、まずは「何かあげる」。
☞自分の利益を考えるのなら,まずは相手に利益を与える
サバクトビバッタ:一番変えやすいのは自分自身だぞ。
☞つらいとき,周りを変えようとしないこと.自分を変えるほうが間違いなく簡単だから.
サカダチゴミムシダマシ:どんな生き物も結局、「つらい」と「うれしい」を繰り返していくしかないんです。
☞「つらい」がないと,本当の「楽しい」「うれしい」もない
サハラサバクアリ:「逆にチャンスじゃね?」
☞「ピンチはチャンス」ってありきたりの言葉だけど生き物の心理をよく表している.
カイコガ:生き物はね、慣れちゃうの。
☞頼りになる人がそばにいるのはリスク.その人に頼る生活に慣れて,いつの間にか一人では何もできなくなっちゃう.
ナナホシテントウ:自分が相手を責めたくなった時は、大抵自分も責めたい時だって。
☞世の中にある争いのほとんどは「正義」と「正義」がぶつかっているんだから,相手だけが悪いとは言えない.
オオコノハムシ:長所の裏には必ず短所がある
☞人に誇れる長所があっても,その裏には必ず短所があると自覚しておくこと
ヘラクレスオオカブト:好きになってもらえたら、短所に注目されることは少ないんだ。
☞「特徴×特徴」で勝負する.アピールポイントは2つかけあわせて,存在感を際立たせる.
ピーコックスパイダー:伝えなければ、相手からすれば思っていないのと同じなのさ。
☞相手に対して「なんで分かってくれないんだ」と不満を抱いたとき,そもそも相手が本心に気づいているかはとても重要.
クサカゲロウ:基本的に生き物って、近くにいる存在と衝突してしまうんです。
☞「1対1」の問題をひとまず置いておいて,「二人」にとっての共通の問題を見つける
ニホンミツバチ:「みんなの幸せ」と「個人の不幸せ」はせっとなの。
☞集団で生活している限り,理不尽な犠牲は必ずあるもの
ウラナミシジミ:そこまでこだわりのない部分は、積極的に妥協する。
☞優先順位の低いことは積極的に妥協したほうがよい
エダナナフシ:生き物は大きくなると、凝り固まって、変化に対応できなくなるんじゃ。
☞本当の強さとは,「傷つかないこと」ではなく「傷ついても再生して前に進めること」
Posted by ブクログ
和むイラストと、ユーモアのある文章。
現代の悩みを、温かく聞いてくれた一冊。
ラストのアリさんのお話しにハッと気付かされ、涙がにじんだ。
上ばかり見ず、たまには下も見てみたい。
昆虫がすぐそこで頑張って生きている。
Posted by ブクログ
色んな面で非常によく出来ている本でした。
図鑑としても楽しめるだけでなく、虫からどんなことを学べるか、ダメサラリーマンと虫とのコミカルな会話から面白いほどよくイメージすることができます。人間は誰しもこのサラリーマン太郎のような気持ちを持っているものです。虫の生態が会社でどう活きるか、具体的な気持ちや実例とともに挙げられていたのは秀逸だと思いました。
特に良かったのは、虫たちの生態を教えてあげようということを、虫たちが太郎への愛情からしていたという最後の部分です。生き物から学べることは人間へのプレゼントだと考えることもできるわけです。
数千年前に書かれた聖書の中にも、この本のテーマのような言葉があります。「動物に聞いてみたらどうか。動物は教えてくれるから。」とあり、続けて「これらも全て,知っているではないか。エホバ(神様)の手によって造られたことを。」とあります。
この本にあるような興味深い生態を知るとさらに、そこに意図的な知性があることを感じずにはいられません。