あらすじ
なぜ、ある時代、ある場所に、世紀の天才たちは集うのか?
漫画の歴史を生んだトキワ荘、大泉サロン、ネットワークを築いたポプコン、PFF、
クリエイターがオフィスを連ねたセントラルアパート、文化人のたまり場となった音楽喫茶……。
日本のカルチャーを創り上げた「場」の磁力とは、なんだったのか?
集住、同好の士、上京行動、ローカル・ネットワーク、セレンディピティ……。
伝説となったサロンから、現代のコワーキングスぺースやオンラインサロンまで、
ポップ・カルチャーを通して解き明かすクリエイティブ・コミュニティ論。
【目次】
第一章 「サロンの磁力」と「人的ネットワーク」
伝説となった「トキワ荘」「大泉サロン」
コミックマーケットを生んだサークル「迷宮」
ヤマハが創ったローカル基盤と「ポプコン」
「芸大」という場と映画監督の登竜門「PFF」
第二章 「都市」が育む文化コミュニティ
喫茶店「風月堂」「青蛾」を生み出す新宿文化
「中央線文化」とサブカルチャー
「セントラルアパート」と文化のたまり場
第三章 現代の「サロン」のゆくえ
「コワーキングスペース」で協創は生まれるか
「オンラインサロン」は現代のサロンとなるか
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
浅井慎平の「原宿セントラルアパート物語」を検索してる時に見つけた本です。副題の『コミュニテティという「文化装置」』に惹かれて、もともと探していた本より先に読むことになりました。「セントラルアパート」のみならず、漫画における伝説の聖地「トキワ荘」と「大泉サロン」、コミケを生んだサークル「迷宮」、新人ミュージシャンのカタパルト「ポプコン」、そもそもクリエイティブ濃度の高い「芸術系大学」、映画監督の登竜門「PFF」、新宿を文化の中心地にした喫茶店「風月堂」「青蛾」、若者を呼び寄せる中央線文化の「高円寺」「吉祥寺」「国分寺」の「三寺」…ほぼほぼ取り上げている「文化」は70年代のサブカルチャーです。著者の世代や都度挿入される自分語りから想像するに、「団塊の世代」の背中を追いかけながら育った、ちょっと下の世代の憧れ目線を感じます。そういう意味では、あのムーブメントってそうやって生まれたのか?とか、あの人とあの人はそうやってつながっていたのか?という知識はよく調べてあって「なるほど本」としてかなり楽しみました。ただ、その面白さが勝ってしまい、創造性を誘発する「文化装置」の分析がもっとなされてもいいのではないか、と思いました。終わりの2章で,現在の「場のクリエイテリビティ」について語っていますが、1970年代からいきなり40年飛び越えたように思えてしまい、戸惑いました。例えば、リチャード・フロリダの『クリエイティブ・クラスの世紀』からのTechnorogy、Talent、Toleranceの3Tの引用もしてあるのですが、そういった現在のクリエイティビティの視点からみた70年代サブカルチャーの分析みたいな感じとか…とかとかいいつつ、日本がクリエイティブになっていく時代の思い出話を、想いっきり楽しみました。