あらすじ
「ずーっとおいてきぼりだ、ここは」
第26回小学館ノンフィクション大賞受賞作の単行本化。著者は元テレビディレクターで現在はドキュメンタリー監督として活躍中。
福島県南相馬市で生きる、上野敬幸さん一家を襲った東日本大震災。
上野さんは、両親と幼い2人の子どもの家族4人が津波にのまれました。しかし、その後に起きた原発事故により、自宅のあった地区は避難指示区域に指定されます。そして、行方不明者がまだいるにも関わらず、警察も自衛隊も捜索に入らなくなってしまったのです。
本書は、そのような中で避難を拒み、仲間とともに行方不明の家族を自力で捜す上野さんの姿を、著者が7年にわたり丹念に取材した記録です。震災から年月が経つにつれ一般には報道されにくくなってしまった、被災地での現実が明らかにされる労作です。
「復興」という大きな言葉からはこぼれ落ちる心のこまやかな変遷を、著者は丁寧な筆致で描出します。
「見つからない」のではなく「捜しにきてもらえない」場所にいる行方不明の家族を今も捜索し続ける上野さんや、福島の現在を、ぜひお読みください。
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Posted by ブクログ
311東日本大震災で被災した1つの家族を追ったノンフィクション。本のサブタイトルに「原発事故と忘れられた津波」とあるように、登場する上野さんは、両親と2人の子供の家族4人を津波で失い、その後発生した原発事故により捜索が行われず、失った家族を上野さん自身が探すことになる。本書は非難を拒み行方不明の家族を探す、上野さん一家(妻と娘)に寄り添った7年間を記録した一冊。聞き手に徹した著者の筆致に引き込まれてあっというまに読んでしまった。本のタイトルを「家族写真」にした理由はエピローグの前のページでわかります。