あらすじ
通称、ゴン高――。校舎が六角形(ヘキサゴン)をなしていることから、インフィニティ総合学園高等部は、そう呼ばれている。普通科文系コースのとわは、友人の美織に頼まれて新聞部の助っ人を引き受けることになった。数学オリンピックに挑戦する数学研究部の取り組みを取材するのがミッションだ。部室に行ってみると、イケメンだけど制服の着方と粘着質な性格が残念すぎる在(あり)、美を追究するロン毛の音楽男子・響(ひびき)、そしてとにかくなんでもがぶり寄る相撲部兼務の巨漢・章(しょう)が、1枚のプリントを前にして、妙に興奮しているところであった。なんでも数学の難問が出題されたプリントを月曜日に置いておくと、何者かが解答したプリントが木曜日に戻されているというのだ。しかも、その解法がとても個性的で……なんて言われても、数学はからっきしのとわには、何を言っているのやらさっぱり……。さて、取材を適当に切り上げて、と逃げる算段を整えていると、セクシーな数学研究部の顧問に見込まれ、あれよあれよという間に数学研究部の活動に巻き込まれてしまった。ホントは物語の世界に浸りたい文系少女が、変人ぞろいの数学男子たちとともに、まるで関心のない「木曜日のミステリー」に迫る……!? マスマティックな青春ストーリー。
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Posted by ブクログ
数学を美しいと唱える人はたくさんいるようで、博士の愛した数式とか…、私はもっぱらトワちゃんの感覚と1ミリとも違わないんだけど、そんな取り憑かれる程の世界を知っているのは正直羨ましい。トワの幼い頃からのカンちゃんに対しての妬みや罪悪感はとても正直でリアルで、自分の身を守るためにやってしまう行動にも、本能的なあまり妙に納得してしまった。トワの母親の態度も、なんだか自分を見ているようで反省させられる。
Q大の関口博士の言葉、人知を超えたものに脅かされるとき、あらゆる才能が力を合わせないと、人間の営みが保てない…。文化や文学、芸術が切り捨てられようとしている現代、若い世代の芽が脅かされないように、大人は守ってあげなきゃいけない。
それにしても、カンちゃんはおじいちゃんからの問題を解き続けていたとは。身内のトワちゃんが一番の理解者になれたのは嬉しい。2人とも未来へ向かって新しいドアを開けられそうだ。