【感想・ネタバレ】マンガ ロボット三等兵 【上】のレビュー

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Posted by ブクログ

これが、自民党から私たち国民の総意で選択されて政権を奪取した民主党の代表・鳩山由紀夫・新首相が、好きなマンガのベスト1に挙げているマンガです。(感想を書くために、小学生以来の再読をしました)貸本として1955年〜57年に全11巻が出版され、その後『少年クラブ』で1958年6月号から62年12月号まで連載されて、もちろん私は知っていて『少年クラブ』版の方を読みましたが、そうか、このマンガの特別なユニークさを確かに見逃していました。トッピ博士が作ったロボットは、博士も困惑するほどどうしようもなくドジでマヌケ、そのロボットが階級章に星のない三等兵として日本軍に入隊。ロボットなのにドジで食いしん坊万歳で怠け者、でも出世はしたいというひどく人間臭い彼が戦争中に巻き起こす抱腹絶倒のスラップスティック=ドタバタ喜劇ですが、あきらかに本作品は、あの田河水泡の『のらくろ』と手塚治虫の『鉄腕アトム』の本歌取りというかパロディというか、ともかくこの2作品を意識して書かれたことは間違いないと思います。『のらくろ』は、最高位には大尉まで出世するという設定が示すように、戦争賛美・戦争協力に近い姿勢で貫かれているようですし、『鉄腕アトム』は、SF作家をも驚愕させる知識と創造性・独創性にあふれた超問題作です。前谷惟光としては、依拠するとしたら、中国・ビルマ戦線での自分の経験した実際の戦争体験から発する反戦意識・戦争反対のメッセージをマンガに込めるというもので、ちょっと前に出た野間宏の『真空地帯』などは、どうも暗くて怨念に満ちていていけない、もっと大らかにスカッとした、あっけらかんとした、笑い飛ばす方法でなんとかして戦争批判を描けないものか、ということで始まったのではないかと勝手に想像しています。いづれにしても、鳩山由紀夫総理が第1位に本書を挙げていることで、彼がとんでもない慧眼の持ち主だということがわかりますし、しかも第2位に、我が愛する安彦良和の『虹色のトロツキー』が挙げられているのは、彼が並々ならぬマンガ通、なかんずくマンガをも見通した文化・芸術の認識のある人だということで、たとえば麻生のバカボンよりはるかに知的レベルの高い方だと思わせます。

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2011年07月19日

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