【感想・ネタバレ】知識ゼロからの仏の教えのレビュー

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Posted by ブクログ

 この本ですが、一見とってもうさんくさいです。「知識ゼロからの」っていうあおりも装丁もお手軽雰囲気が強すぎるんですもの。それに、ぱらっとめくった章タイトルがまた。「第1章 悩み、迷って、安らぎを得る」「第2章 そのままでいい。自分にやさしく生きる」「第4章 生き方のキーワードをみつけよう」等々、なんか今流行の癒しとかなんとかセラピーとか、そういういんちきめいたものの匂いを感じてしまったんです。
 別にセラピーとついたものが全ていんちきだと言っているわけではありません。が、最近のあまりに安易に「癒し」に走る風潮が嫌いなんです。傷つく前から癒しを求めるのって、間違ってるんじゃないかと。がんばらなくていいよ、ってセリフは、今ものすごくがんばっている人に対して使うものであって、今現在何もがんばってない人にいうセリフじゃないし。

 と常々考えているので、自分にやさしくとかそういう章タイトルに、これもそういった安易な癒し本かなーと思っておりました。それでも、仏の教えのさわりがわかるならいいかなと思って読みました。さわりだけ仕入れたら、また別の本で勉強しようと。

 私が間違っておりました。すみませんと、読んだ後は深々と頭をさげたくなりました。
 仏の教えを簡略化して平易に書いてあるのは確かなんですが、全然安易でお手軽なものではありませんでした。なんていうかもう、仏教に対する漠然としたイメージを払われて、その上で提示された内容に目から鱗でした。ありがたい教えだと素直に思えましたね。
 前書きのところで、ブッダのことを「神でも預言者でもなく、人間だということだ。私たちと同じように、人として生まれ、悩んで、人のままで答えをみつけた」中略「そして、もうひとつ嬉しいのは、実践を重んじた教えだということだ。」と書いてあるのですが、本文を読むとその意味がよくわかりますし、私が一番感じ入ったのもそこのところでした。神様とか仏様とかいうと、私の中では、信じて祈りすべてをゆだねれば救ってくれるという存在というイメージがあったのですが、この本で説かれている仏はそうじゃない。あくまで自分を救うのは自分でしかなく、ブッダは自分を救う手段を発見した人で、その方法を私たちに教え伝えてくれる先達という位置づけなんです。
 なるほどなあと。そういう視点に立つと、仏の言葉は素直に入ってきます。一番感心したのは「筏のたとえ」のところでした。

 この本に書かれていることは、あくまで作者の人から見た仏の教えであって、仏教を信じている人がみなこういう立場や見方にたっているわけじゃないことは承知の上で、読んでよかった本だと思います。

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2009年10月04日

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