【感想・ネタバレ】世界を売った男のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

以前読んだ傑作ミステリー「13・67」を書いた陳浩基氏のデビュー作ということで読んでみた。

この方の作品は香港を舞台にしたものが多いが、本作も例に違わず香港が舞台。

朝車の中で頭痛と共に目覚めると6年間の記憶を失っていた警察官が主人公。
先週に起きた殺人事件は解決済みだし、町並みは変わってしまっているしで混乱した状態から物語が始まる。
6年前の殺人事件の取材をしたいという雑誌記者の女性と取材を共にしていくなかで、事件の真相に気づいていく
というストーリー。

主人公が6年間の記憶喪失という設定も珍しく、調査を続けていく中で、主人公自信のアイデンティティーが明らかになっていくくだりは読んでてとても面白かった。

凶悪犯罪者と思われていた犯人以外に犯人がいる。
その真犯人を突き止め、追っていた真犯人が実は主人公自信であるという事実。
そこからさらに新事実が明らかになるという展開。
デビュー作でこのロジックの立て方は見事というほかない。
心地好い騙され方だ。

さらに、心理学やPTSDの科学的根拠を元にした主人公や犯人の行動も納得できる内容であり、隙がない。

最後はハッピーエンドっぽく終わるので読後感も爽やか。

デビュー作とはいえミステリーとしての完成度は高く、今後も期待できる作家だと思う。
新作にも期待したい。

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2019年06月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

最後の一行の意味がわからず、皆さんの感想を読み漁って、やっと納得しました。
私のようにわからなかった方は、最初に戻って読んでみて下さい。
全体的に映像向きな面白さでした。もう一作つんでるので、また読みます!

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2020年07月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 2年程前にYahoo!ニュースで紹介されており、気になって購入しました。再読して改めて感じましたが、一言で言うと、いやあすごいミステリ小説だ、と思います。特に後半の展開には驚きっぱなしでした。まるで映画を見ているかのよう。

 刑事の許友一は朝起きるて、気づくとなぜか記憶がない。署に戻ると丁度自分に来客で、6年前にすでに解決したはずの事件について記者の盧沁宜が取材したいという。。。なぜ記憶がないのか、そしてそもそもその事件の真相とは・・・!?あとはご自身でご確認ください笑

 今回の小説のテーマの一つが記憶、です。記憶というのはかなり重要なアイデンティティだと思います。名前や所属団体にアイデンティティを感じることも多いと思いますが、記憶は中でも最も重要なアイデンティティの一つだと思います。そのアイデンティティを失ったとしたらそのインパクトはどのようなものでしょうか。
また、思い込みとか勘違いというは我々の日常にままあることですが、事実と異なる記憶を本物として思いこんだとすると人はどうなるのか。
 これだけで大分ネタを明かしてしまったようで申し訳ないのですが、この記憶の妙を上手に使ったのは本作の面白さだと感じました。

 また本作は筆者が日本文化に結構通じていることを思わせる部分(古畑任三郎や青島刑事等)が散見され、日本人としては筆者にちょっと親近感がわいてしまうところです。また、筆者が香港人ということであり、香港の様子が細々と記述されています。香港に行ったことのあるかた、住まわれたことのある方は懐かしみと共に楽しめると思います。

・・・
 
 まとめますと、非常に面白い推理小説でした。展開も良し、記憶など人間のアイデンティティにかかわる深いテーマも仕掛けられており物語に深みを与えています。香港という土地柄の描写も旅情を誘います。そして最後に大事なこと。アジアの推理小説という新しい世界に出会うことができます。題名が世界を売った男ですが、私には新しい世界がひらけました、おかげで笑

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2021年06月05日

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