あらすじ
「本当にたくましくなられて……反りも長さも……」張りつめた肉茎を指であやし、蕩けた貌を寄せる百合子。ひとり暮らしを始めた涼一の部屋にやって来たのは、幼い頃から身の周りの世話をしてくれた36歳の未亡人。掃除、洗濯、料理はもちろん、ムラムラしたら性処理まで!熟女お手伝いさん――それは夢のように淫らな「恋人」!
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誘惑の天才による完全試合
このレビューはできれば買って一度読んだ人に目を通してほしいやつです。
他のかたのレビューも拝見して言いたいことは分かるんですが、神瀬知巳という化け物が書いた作品であると考えるなら、叔母もまた重要な意味を持つヒロインだと言えます。(フランス書院は叔母が結構出てくるというお約束の部分もありますが)
この作品はフランス書院さんの二大流派でいうところの、誘惑もの(ヒロイン主導で主人公が誘われる作品)にあたる作品です。
この神瀬知巳という作家さんはかなり緻密に設定や背景を作るかたで、ヒロインごとの性知識の度合い等にも一人一人細かな差異が明確に存在しています。このことを前提として二度、三度と読み直してみると、これは誘惑の形を取った寝取りものという性質が存在しており、主人公が鳳凰の雛として描かれていることが分かります。
お手伝いさんは積極的に主人公に尽くしてくれるわけですが、その積極性と手技を身につけた相手は誰かという話がやんわり触れられています。あくまでもやんわり。
この前提を意識して二周目に入ると、一周目には強めの読者サービスだったシーンが胸くそ悪いのに痛快というような、意味の分からない体験に変化します。
そんなプレイを仕込んだ前夫がヒロインを残して「あとは頼むぞ」みたいなことを言ったシーンの意味って、具体的に何を頼んだシーンなのかなとか。
お手伝いさんの前の夫がどういう男であったか、主人公は叔母に対してどう向き合ってきたか、この辺りの官能小説としては無視しやすい部分を二周目、三周目で意識しながら読んでいただくと、主人公越しに読み手自身を少し好きになれるのではないかと思います。
お手伝いさんであるヒロインの魅力に気づいたか否かを含め、男対男の対比を強調するために叔母が重要な要素なんだろうなと。気づかない方が幸せだけど。
二周目にパンドラの匣を開けると、叔母がま〜〜可愛い。手放しで可愛い。
前夫以外の主要人物を全員もっと好きになります。
お手伝いさんが主人公のために相思相愛のローションマットプレイをするシーンとか、神瀬知巳は読んでる俺たちをどうしたいの?ってなります。
主人公の初体験がページ数でいうと六割くらい終わったタイミングなのですが、待たされている気がしないあたりも含め、天才の書いたやつです。
『新しい母』が官能の賞を取っていますが、才気の強さはこちらの方が上かなと個人的に思っています。