あらすじ
宇宙、地球、文明……これらは皆、「人間が見ることによって存在している」といえる。人間はこれらを「科学的視点」から見たり、「宗教的視点」から考えたりする。するとそこに、「さまざまな思想」が生まれ、その正否をめぐって論戦が展開される。そのような「知の対決」によって、哲学も科学も宗教も発展してきた。21世紀を迎えた現在、インターネットの普及により世界中の情報を一瞬にして知ることができるまでに、人間の文化は爛熟した。目に見えるものは何でも知ることができるようになった今、人間はついに、自らの「心」の正体について考える時代に至っている。本書は、湯川秀樹や朝永振一郎を輩出した京都大学の園教授門下の最後の碩学が、「人間の心とは何か」「人間存在の意味とは」に静かに深く迫ってゆく思索の記録である。読むこと、そして、考えることの喜びを満喫できる内容は、「本物の知との対話」の時間を読者に提供する。
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Posted by ブクログ
驚愕の書である。たまたま書店で手にとって買い求めたが、量子論を元に、生命、心、あの世とこの世、更には神までも解き明かそうとしている。
量子論では、光(電子)が、粒子と波動の両方の性格を持つことから、同様に人も粒子(実体=肉体)と波動(命=心)を持っていると説く。物理のみならず、道教、佛教、東洋・西洋思想を網羅し、東洋の物心一元論こそ量子論と同一の考え方と私見を展開している。
これだけだとエセ新興宗教のようだが、著者は京大名誉教授で、量子論をわかりやすく説く力量は大したもの(これで量子論もバッチリ)。
電子が心を持つ(でなければ、人が心を持てるはずがない)は今ひとつ納得できなかったが、人が波動と考えれば、「積極的心構え」や「潜在意識」など、先人が唱えた心の波動が極めて重要ということが科学的に理解できる。
賛否両論あろうが、個人的には久しぶりに知的興奮を味わった。