【感想・ネタバレ】黄金のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

競馬シリーズ26作目。

次から次へと違う主題の話をよく考えつくことができるな、と感心する。
本当に。

主人公イアンの父親の五番目の妻が殺されたところからはじまるが、
その犯人探しよりも、
家や外出先で襲われた父親を守る方に話が進んでいく。
父親は投資家で非常な金持ちとあって、
3人の元妻(1人は事故死した)とイアン以外の8人の子供たちとその配偶者は、
父親の居場所を知りたがっているが、
それは金を求めてのことなのか、
それと殺そうとしてのことなのか。

イアンはアマチュアの障害騎手で調教師の職を辞めたばかり、
父親のガードマンとして、探偵役として、
家族ならぬ部族への渉外役として働く。
父親が馬に興味を持ち始め、競走馬を買って優勝し、
襲撃を逃れるためもあって、
フランス、アメリカ、オーストラリアと競馬場を訪れるようになっていくのが
面白かった。

多分、最も良い妻であった四番目の妻は、
双子の息子の一人と自動車事故で亡くなった。
生き残った方の息子は脳損傷のため病院で暮らしているが、
イアンと父親が会いに行く場面で、
まさかこの息子が病院を抜け出して…と思ってしまった。
よごれている。

父親への襲撃や馬主への道のりにウエイトを置いて、
五番目の妻の殺人事件や、四番目の妻の事故死をぼんやりとさせておき、
最後にスポットライトをあてる手腕はさすが。

家族にむやみに金を与えることは堕落させるという主義だった父親は、
決してケチなわけではなく、
気前よくホテルに泊まったり、イアンに小切手を切ったり、
馬を買ったり、海外逃亡するさまが心地よかった。
イアンの説得に応じてお金を渡したことによって、
子供たちの人生が好転したのが印象的といえば印象的。
テーマは家族かと思っていたが、金だったのか。

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2023年11月01日

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