【感想・ネタバレ】桃山人夜話 ~絵本百物語~のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

鳥山石燕の妖怪画集と並ぶ知名度を誇る奇談集『絵本百物語』(著:桃山人・絵:竹原春泉・1841年)の文庫版。原著に掲載されている全妖怪画を収録しているほか、本文・詞書の翻刻・現代語訳を掲載している。本文の翻刻・現代語訳を安価な文庫本で読めるという点が本書の魅力であり、原著の妖怪画がフルカラーで掲載されているのも嬉しい(欲を言えば、各怪談の注釈・解説が欲しかった)。
本書を読んで思った事は、先に言った鳥山石燕の妖怪画集とはスタンスが違っているという点である。本文を担当した桃山人(桃花園三千麿)が序文にて「春泉子、(略)、こヽに勧善の元興寺を描く。予又(略)、是に懲悪の文盲閑話を加ふ。」述べるように、本書は儒教的な道徳を説きたがる面が非常に強い。人間を「万物の霊(万物の頭)」として、人徳があれば妖怪に惑わされる事はないと述べている点も興味深かった。ある意味で、妖怪が「人智を超えた畏敬を払うべき存在」から変化しつつあるのを垣間見た気がした。

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2013年01月20日

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