あらすじ
昭和30年代前半の日本奥地紀行。1960年に単行本として初めて刊行された際は、秘境ブームを巻き起こした紀行文学の傑作。戦後の復興を遂げ、都市部では好景気に沸き立つころ、雑誌『旅』(日本交通公社)の名編集長として知られた岡田喜秋氏が、日本各地の山・谷・湯・岬・海・湖などを歩いた旅の記憶をまとめた紀行文18編を収載。紀行の名手が紡ぎだす文章は、ときに鋭く、ときにやさしい。高度経済成長の陰で失われていった日本の風景を描写した、昭和三十年代の旅の記録としても貴重である。初刊行後、2度、文庫化単行本化された不朽の名作が、半世紀以上を経たいま、著者の最終校訂を経て、「定本」としてヤマケイ文庫に収録されました。 新たな「秘境ブーム」が起きているいま、半世紀前の「秘境」の現実と、現在の「秘境」の様相を比較してみるのも興味深い。 巻末の解説は、ドイツ文学者・エッセイストの池内 紀氏が寄稿。
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Posted by ブクログ
本屋さんの特設コーナーに平積みになっていました。こういう知らない本に出合えるから本屋めぐりはやめられません。
岩手の山奥の湯治場を出張の宿にして読んだら、雰囲気満点!旅に出たくなりました。
戦後10年を経過し、ようやく行くことができるようになった場所があったりという歴史のスナップショットという意味で興味深いことはもちろんですが、社会地理学を学んだ著者らしい視点で人の生活と環境との係わりの物語が切り出されていて、写真だけでもわからず文章だけでも足りない部分が立体的に描かれていて驚きます。
また、視点の軸があるため批評がある点も特色があります。
若い時代の著者のまじめな口調も、最近は触れることの少なくなってきてしまった懐かしさすら覚える感触です。
おいしいものを食べてWEBにUPしたりするだけでなく、こういう深い切り取り方をしたら旅もさらに印象深いものになるだろうなと思います。
それが、1950年~60年代にかけてのこの旅行記を今読む価値なのではないでしょうか。
いや~旅に出たい!
Posted by ブクログ
秘境が形態別にまとめられていて昭和30年代の当時の様子がよく分かる60年以上経った今どんな様子になっているのだろうか?機会あれば訪ねてみようと。こういう地味な記録いいですね。
Posted by ブクログ
古本市で、昭和36年、東京創元社発行の再版本を購入。
山、海、湯、岬、湖の章になってて、読みながら、どこがターゲットなのか想像しやすい。
紀行文。その土地の人々の営みと『秘境』の絡み合い。やはり、地の人々の息づく空気感が愛おしい。ただ1人で誰にも会わず、人との関係を育まずに行く秘境は面白みが軽減する。
『秘境』とは身近にあったのに何故か行かなかったところでもあるんだ。
同じルートで行くのは難しいだろうけれど、この地へ行きたくなった。そして、そこで私は何を思うだろうか。