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Posted by ブクログ
著・阿部輝夫。順天堂大学医学部卒、医学博士。
順天堂大学精神科助教授、米・コーネル大学精神科Human Sexual Program研究員、順天堂大学付属浦安病院勤務を経て、1996年「あべメンタルクリニック」を開業、同院長。
日本でも数少ないセクシュアリティを専門とする臨床精神科医。
多くの臨床経験から、特殊な事情がないにもかかわらずセックスを回避するカップルが増えていることにいち早く注目し、1991年「セックスレス」という言葉を初めて使い、学会で定義した。
初版:2004年9月、204ページ。
こんな本を読むな、こんな本の書評を書くな、と言われそうだが、敢えて書く。
そして、評価は☆5つ。
嫌悪感がある人には敢えておすすめしないけど、気になる人には是非オススメする本。
率直なところ、読後感は「最悪」。(笑)
読んでいる途中から、脳と胃が少々ムカムカしてきて、大して長くもないし、文章としては読みやすいのに、一気に読み切れず。
というほど、エグい。
しかし、極めてリアル。
先に読んだ『セックスレス亡国論』は、セックスレスと社会との繋がりについて書かれていた本だが、
この本では、セックスレスと心理の繋がりについて書かれている。
セックスレスに限らず、EDや早漏、性嫌悪症など、男性・女性問わず「性」というものに対する問題と症例が、延々と続く。
そもそもなぜ読み始めたかということだが、
きっかけは「性と社会」についての繋がりを考える手掛かりにしたかったからである。
その意味では、『セックスレス亡国論』でも十分に示唆は得られたのだが、この本はもっと深く、内面的なところから論じられているので、この意味での示唆が深くなる。
日本の社会では「性」に関するトピックはタブーになりやすい。
これは、歴史的な部分があるし、これについて触れないということが、一つの常識である。
それは性教育の在り方にも表れる。
ただ、そうした日本的価値観がある一方で、戦後の成長期で性の開放が進み、今となっては飽和状態である。
故に、このトピックが「問題」となって発現する。
・・・のではないかと思う。
この本が取り上げる問題は、『亡国論』とは違って、病理である。
モテや引きこもりというような問題よりも深い。
結婚前はセックスをするが、結婚した後はしなくなる。
これを「問題」と捉えるか否か。
あるいは、「性」そのものに対し、全面的に拒絶するか否か。
これはその人の問題であるが、成長過程での育てられ方の問題であったりもする。
まあ、そういうプライベートな問題は本人たちだけで話せば良く、
本人たちが「問題」として考えていなければ、全く問題ないわけだが、
この問題から、教育や社会、出会い・結婚、出産といったトピックを考えると、
色々と考えさせられる。
ただし!
早く読み終わりたくなるぐらい、本当に読後感は良くない。
もう二度と読みたくありませんが、怖いもの見たさ、エグいもの見たさの方にはオススメします。