あらすじ
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「彼氏いないのなら何をしに学校にきてるの?って感じ」-雑誌やテレビ、マンガのなかの恋にふれ、学校やバイト先、職場で恋する相手を探し、2人で愛を楽しもうとする若者たち。現代の恋愛事情を、雑誌記事やアンケート調査をもとに、人間関係、魅力ある異性像、アプローチの仕方、別れの理由などの視点から読み解く。そこから見えてくるのは、恋愛が曖昧さや不確定性を味わう「遊び」の感覚を内包していること=恋愛の遊戯化である。それと同時に、結婚や別れの決断を先送りし、曖昧な関係性を享受して2人の世界に自閉する恋愛の実相も垣間見えてくる。恋愛=結婚という規範を支えたロマンティック・ラブ・イデオロギーが変容し、むしろ結婚が恋愛的なるものに従属している状況をも照らし出し、恋愛とそれを追求する欲望の臨界点を見定める。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
若者の恋愛をさまざまな観点から広く分析。恋愛の起源とされる中世ヨーロッパの騎士道的恋愛から現代日本の女性誌ananの記事まで、「恋愛」をキーワードにあらゆる分野を横断してその輪郭を描き出す。
そして物語記号論に則ってマスメディアの断片的情報をまとめ、現代的恋愛言説を提示し、その特徴をギデンズやベックの再帰的近代の議論、バウマンのポストモダンの議論、バタイユの普遍経済論等からの考察を加え学問っぽくまとめられている。
いやぁ面白かった。
物心ついた時から少女マンガにふれて育ち、中学では恋愛もののドラマや映画に夢中になり、雑誌のラブ特集を真剣に読み込んだようなしょっぱい青春時代をおくった私たちの世代にはもう思い当たる節ばかりやと思う。
マスメディアの力って本当に大きいな、と痛感した。
耳の痛い記述を引用しておく。
「現実的には、選択肢の数には格差があり、多くの選択肢を選べる人と選べない人がいる。にもかかわらず、多くの恋愛物語が流布し、希望する選択肢はますます登場し、選びたい衝動だけは強くなっていくのである。
/すべての人が「恋愛という市場」に参加できるのかどうかと言えば、実際上できないこともある。「モテない男」の議論はそれを教えてくれる。だが、シノプティコンの社会を考えれば、恋愛弱者にとって「目をそらす場所さえない」。選びたい衝動をあおられるという意味では、市場に参加できなくても、参加するように要請されているとは言えるだろう。
(略)
/ウインドーショッピングの世界では、マジョリティ(もしくは恋愛強者)の論理がまかり通っており、マイノリティ(もしくは恋愛弱者)はそこに参入しづらいにもかかわらず、欲望はあおられ続ける。同時に、マイノリティであっても、その期待を完全に消せない限りは、現代的恋愛言説にとらわれてしまうとも言える。」
恋愛は一大エンターテイメントとして消費対象になっている。
勉強になりました。
Posted by ブクログ
大学生へのアンケート、雑誌等の言説から70年代と現代の若者の「恋愛意識」を抽出。さまざまな社会理論によりそれら意識を分析する。
結構おもしろいかった。
でも現代における「恋愛」と「結婚」のあいまいで矛盾しそうで矛盾させないあいまいなつながりをもっと考察してほしかった~。
「恋愛てなに?」の根本的な問には答えてくれません。