【感想・ネタバレ】発想法 知識の泉を潤(うるお)わせるためにのレビュー

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Posted by ブクログ 2021年05月31日

筆者自身が、幅広いジャンルの知識の持ち主のようだ。そんな筆者が、知識、ひいては人間性を豊かにするために、「たくさんの井戸を掘り続ける」という表現を多用して様々なことへ関心を広げることを啓蒙している。

常に外部の情報に関心を持ち、わらしべ長者の如くその情報から発展してさらに別の情報に繋げ、また別の人...続きを読むとの交流をすることで更に発想力は広がっていくと説いている。

オカルトや薬物、精神的な病による発想の広がりについても否定はしていないところも興味深かった。もちろん、薬物に関しては違法性と身体に悪いことには言及している。

日露戦争で名を挙げた秋山真之は夢の中で予言めいた経験をして作戦を成功させたり、結果的に死後数年で発生した関東大震災を警告し、晩年はオカルトめいたところがあったらしい。本人はその情報発信源をオカルトに求めてしまったようだが、四六時中それらに関連することを考え(心配?)続けてきた結果の「発想」だったと思えた。

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Posted by ブクログ 2016年01月16日

『知的生活の方法』で“生活の仕方”を示した渡部昇一が、“知的活動”や“知的生産”についてまとめたもの。1980年に電通の夏期大学で語った内容を、1981年に発刊、2008年に復刊された。
冒頭で語られるのは、彼の東郷平八郎元帥が、その銅像の建立にあたり、「智謀如湧」(=智謀湧クガ如シ)との言葉を贈っ...続きを読むた秋山真之中将である。秋山真之は、司馬遼太郎の『坂の上の雲』で詳しく記されているが、日露戦争中にロシア・バルチック艦隊を、世界の海戦史上最初のパーフェクト・ゲームと呼ばれる日本海海戦で破り、世界史の流れを一変させたと言われる東郷連合艦隊司令長官の作戦参謀を務め、刻々と条件の変わる戦場で、次々と戦略を考え出したという。
そして著者は、「智謀湧クガ如シ」、即ち「一回きりの知恵ではなく、後から後から雲が湧く如く、尽きることなく出てくる」状態をresourceful(リソースフル)と表現し、それこそが知的活動や知的生産に最も大事であると語り、更に、そのように「汲んでも汲んでも湧き出す」井戸を確保するには、深い井戸を掘ることと、さらに大事なことは、井戸を何本も掘っておくことだという。
著者は、豊富な知的活動をした人物として、漢学と英文学という井戸を持っていた夏目漱石や、谷崎潤一郎、江戸川乱歩、松本清張らの作家、英文学者の福原麟太郎、漢文学者の吉川幸次郎、内藤湖南、社会学者の清水幾太郎などについても詳しく述べている。
また、仕事を持ち、複数の井戸を掘ることの難しい人間に対しては、自分が掘った井戸の水でなくとも自由に汲み入れるべき、即ち、耳学問であっても、いろいろな情報源から自分の琴線に触れるものを汲み取っておくことが大事で、その情報の価値を検証することを続ければ、井戸ならぬ、便利な水道を持ったかのように、アイデアが流れ出てくるであろうとアドバイスしている。
「リソースフル人間」となるためのヒントが得られる一冊。
(2008年8月了)

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