【感想・ネタバレ】愛されたがりの嘘つきのレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

シリアスとコミカルが交差するいつもの独特な作風とは打って変わって、最初から最後まで驚くほどしっとり切ない話でした!
記憶喪失物です。いろんな作家さんが競っているこのテーマ。読み比べるのも楽しみの一つです。

椎名は辣腕社長の朝倉を支える、有能な秘書。仕事はもちろん社長の夜のケアも抜かりなく、そして自身もセフレとして関係を持っています。クールビューティの見かけによらず、実は密かに朝倉を心から想っているのですが、オトコの意地と過去の苦い経験からなのか、本心はいっさい見せません。
そうやって、かけ引きめいた大人の関係を続けていた椎名ですが、突然朝倉がアクシデントで記憶をなくしてしまい、別人のようにひたすら自分を頼ってくる素直な男へと変貌したことから、ずっと心の中にあった願望を「嘘」に込めてしまいます。

夢見ていたことを、何も知らない相手を利用して叶えてしまうのは罪作りな行為で、案の定椎名は後に切ない苦しみを味わうことになります。肯定はできないけど、気持ちはわかるのでこのまま少しでも長く椎名に夢を見せてあげたい、とも思ってしまいました…
でも、椎名を「里斗」と呼んでくれる男も愛しいけれど、今会いたいのはあの朝倉で。
記憶を蘇らせようとする行為は、目の前の存在を否定することにもなってしまうのが辛いです。記憶喪失物は、そういう切なさが大きいですね。
こっちの朝倉もいいな~と思って読んでいたので、元に戻るシーンはうるっとしてしまいました。

でも、一番のポイントは二人?の朝倉が互いに相手を嫉妬するところ。自分の知らない自分にジェラシーというのは、かなりのツボでした。
記憶喪失があったからこそ、朝倉も椎名も今までの関係を見つめなおし反省して、改めて相手への愛に向き合えることができたのが伝わってきて、とても甘くてやさしいエンディングでした。
こういう、キュンとくるストーリーも上手い作家さんだなと、改めて感じました。

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2013年10月07日

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