感情タグBEST3
Posted by ブクログ 2021年05月02日
長野作品は、高校時代、西洋とも東洋とも言えない地域が舞台設定のものをよく読んでた。 けれど、今回は珍しく具体的な実在の場所、しかも私の良く出かける野川の話で、あ、この辺のことかも、と本と現実がくっついてるような気分で読んだ。 美しい少年たちが主人公なのは、いつもどおり。 両親が離婚して父親と一緒に都...続きを読む心を離れ、多摩武蔵野地域に住むようになった少年が、転校生として周囲に溶け込んでゆくまでのお話。 新聞部顧問で国語教師の河井先生が魅力的。 体験しなくとも想像すれば同じこと、と語った美しい蛍の話が良かった
Posted by ブクログ 2018年10月20日
井上音和は両親が離婚したので住んでいたマンションから父親と一緒に安アパートに引っ越してきた。夏休みに引っ越したので新しい中学でも夏休みの宿題をしなくてもよかった。新しい担任の国語教師は「夏休みの出来事」を話す宿題はあるぞと言った。学校が始まり音和は新聞部に半ば強制的に参加させられた。国語教師に乗せら...続きを読むれたのかもしれないが。その新聞部はなんと伝書鳩を飼っている。遠方から鳩に通信紙をくくり付けて話すのだ。学校が立っている河岸段丘。武蔵野を多摩川が流れていく。大昔の川に浸食された大地。野川の周りの自然の描写が美しい。
Posted by ブクログ 2012年09月16日
再読。丁度今の時期から秋にかけてタイムリーな感じと、偶然今年の金環食を思い出しました。「自分の目で見たものでなくても、話に聞いても心に残る風景がある」全編通してそう思わせる自然描写が素敵です。翔べなかった鳩の飛翔と、間接的ながら絡む死の対照も印象的でした。そして膨らんだ想像力のひとつの欠点は、きっと...続きを読む音和くんの肩はコマメのフンだらけだろうなぁ…って、変なところに意識持ってかれて気になって仕方なくなってしまいました。がっくり。
Posted by ブクログ 2012年01月30日
両親の事情で新しい学校に転校してきた音和。新聞部に入部します。顧問の河井先生が語るお話しは、とてもすんなり心に入り込んできました。学校から野川に沿って歩いてる時の情景は、見えてくるようです。
「頭上へ手をのばし、空中に指で円を描いた。「頭のこのへんに、目があるつもりでいろ。そうすれば、自分がよく見え...続きを読むる」」
「人の話に耳をかたむけるのは、実際の風景や音や匂いや手ざわりを知るのとひとしく、心を養うものだと信じているからだよ」
ジンとくる言葉に出会えます。
Posted by ブクログ 2011年08月24日
高等学校の読書感想文課題図書と背表紙に貼ってあるのを見て読み出す。野川は東京に住む我々には身近な河川。出てくる地名、関東平野のでき方などに引き込まれて読み出す。
主人公の中学生が両親の離婚で転校した中学で出会う教師、部活動の仲間、鳩(?)が皆、いい感じ。
心の中の世界と実際の世界、上手く折り合い...続きを読むをつけて理解したり受け入れたりして生きていくんだね。ふたつの世界の調和するところが優しくて味のあるポイントなんだね。
主人公と一緒に涙したくなった。
普段は、すっ飛ばして読みそうな自然描写自体が大切な要素の物語。
くどくならない程度に自然が語られている。
人間関係がサラっとしているようで熱い!
久々にシンプルに動かされたかんじ。
星5つ
Posted by ブクログ 2018年11月04日
長編。
中2の音和おとわは両親の離婚、父の事業の頓挫で転校することに。
転校先には、変わった国語教師の河井。3年で新聞部の吉岡。新聞部では伝書鳩を育て訓練していて、その中に飛べるのに飛ばないコマメが居る。
肩に乗って、肩から肩へ移動するコマメが可愛い。
音和の父親にも同情してしまう。
お父さんは...続きを読むもっと仕事が出来るのにって思う子供の気持ちとか。
伝書鳩が野生化したのがドバトって知らなかった。
主人公に限らず、その親も詳しく描いてあるって前はなかった。気がする。
意識を変えろ。ルールが変わったんだ。
河井が転入してきた音和にかけた言葉。
Posted by ブクログ 2018年09月04日
長野さんの作品に出てくる学生は私からみると大抵大人びていて、それが好きです。
このお話に登場するような先生と学生時代に出会えたら素敵だなぁと思いました。
Posted by ブクログ 2018年06月26日
成長したいと思っても、望む速度と身体の成長の速度が追いつかなくて、自分はまだ子どもの区分だと諦める。でも諦め切れない領域もあって、差分と埋め合わせる成分として涙が出る。そんな話し。
Posted by ブクログ 2017年09月29日
長野まゆみ式正統派青春小説といった感じでしょうか。
両親の離婚と父の事業の失敗のために中学校を転校した主人公。その中学校の立地から付近の地形に興味を持ち、少し変わった先輩や先生に誘われて(騙されて?)新聞部の新たな部長となる。その新聞部では伝書鳩を飼育していた。
地形や地学の用語がさらさらと出てきま...続きを読むす。ああ「ブラタモリ」で説明していたなあと頭の中で地形を思い描くのですが、はたしてきちんと再現できているのやら。それでも頭の中で野川が流れ土地が隆起し形作られて来るのです。
文章で表されているものに血肉を与え形を成すもの、それが経験であり知識なのでしょう。そして知識というものは人の中に体積していくものなのだなと実感させられました。
それは作中で語られる蛍の逸話にも表れています。他人の経験を聞くことで我がものとすること。それは何故小説を読むのかという答のひとつではないでしょうか。自分ひとりでは経験し得ないものを疑似体験し我がものとして肥やしとする。直接的に実用のためになることは少ないでしょうが、そこから芽を出すものもあるでしょうし、発芽を促すものとなるものもあるでしょう。それが小説の(物語の)力なのでしょう。
Posted by ブクログ 2014年10月11日
タイミングの妙、といいますか、
この本を読んだのは
日帰り奈良ハイクの道中でした。
それも相まってか、
本にある緑の風景や、
湿った匂いや
そういうものが
あまりに鮮やかに浮かびました。
バスの中で読んでいるのに、
外で、本当の自分の目で見ているようで。
その文章力にちょっと泣けてしまいました...続きを読む。
話も誰も嫌な人が出てこない、
それでいて少しモラトリアム。
個人的に非常に好きな話です。
Posted by ブクログ 2013年05月17日
(過去作品に比べれば、だけど)登場人物が素直で、内容的にも、確かにこれが課題図書に選ばれるのは妥当だと思う。
ところで、ソラマメは帰ってきただろうか。
Posted by ブクログ 2012年06月09日
課題図書だけあって、しっかりした文章だなーと思いました。
それにしても、中学校であんな言葉で書いたり話したりできる子はいないです。あんな文章が書ける子に悪い成績をつける教師もいないと思うし、そこはちょっと現実離れしていると思いました。村上春樹くらいになると、登場人物は年齢を超越している気がして気にな...続きを読むらないのですが。
ところどころに、はっとするようなすてきな文章がありました。
Posted by ブクログ 2012年04月15日
「私は自分の目で見なくても心に残る風景が、この世にあるんだということを知った」
「その風景は、きみ自身が目にしたのも体験したのでもないが、きみだけのものとしてそこにある。(中略)このさき、何度でも思い出すことができる。しかも、実際に目にした風景と変わらないくらいに、あるいはそれ以上のあざやかさで目に...続きを読む浮かぶはずだ」
そう言って語ってくれる教師の物語はもちろん、地の文を眺めても、いくつもの風景が鮮やかに目の裏に浮かぶ。
登場人物も非常に魅力的。大人びた主人公の少年に、人懐こく魅力ある吉岡、風変わりな教師河合、事業に失敗した父。
彼らの適度な距離感と、テンポよい会話。特に、主人公と教師のやりとりには、にやにやしてしまう。この人の描く少年は、賢くてどこか大人びていて、この年ながら憧れてしまうのです。
Posted by ブクログ 2011年07月16日
野川が武蔵野を流れる「野川」と知って嬉しく思いました。神田川の本を読んだ直後で、なにか神懸かり的な物を感じてしまいます。新聞部の活動が伝書鳩を育てあげるというせっていですか。イイですね。小金井市近辺の美しい自然描写と相まって、感動しました。(これは小金井市で大学時代を過ごしたという個人的な背景が大き...続きを読むく寄与しているかもしれません)
Posted by ブクログ 2022年03月14日
野川や武蔵野地域の情景を的確に表現した文章や、淡々とした語り口でつづられる登場人物たちの心情が、かえって想像を鮮やかにし、私も主人公たちと一緒に野川を歩いている気分になりました。
Posted by ブクログ 2018年07月26日
両親の離婚により転校することになった音和。野川の近くで、彼と父との二人暮らしがはじまる。新しい中学校で新聞部に入った音和は、伝書鳩を育てる仲間たちと出逢う。そこで変わり者の教師・河合の言葉に刺激された音和は、鳥の目で見た世界を意識するようになり…。ほんとうに大切な風景は、自分でつくりだすものなんだ。...続きを読むもし鳥の目で世界を見ることが、かなうなら…伝書鳩を育てる少年たちの感動の物語。
Posted by ブクログ 2016年08月23日
世田谷辺りに流れてる、僕にとっても馴染み深い野川をめぐる中学生の青春話です。
親の事業の失敗を境にあばら家に引っ越してきた父息子が、豊かな時には通わなかった気持ちの交流や、尊敬できる恩師との出会い、友人たちとの出会いが彼を変えていくのでありました。
もうちょっと掘り下げて書いたら名作になったような...続きを読む気がします。ちょっと大人過ぎるのと、物分かり良すぎるのが少し気にかかる。
Posted by ブクログ 2016年04月08日
「今の話でなにか風景が見えたか その風景は、きみ自身が目にしたのでも体験したのでもないが、きみだけのものとしてそこにある。」
河井先生の話がすごく好きです。
Posted by ブクログ 2014年12月31日
「意識を変えろ。ルールが変わったんだ」
両親の離婚により生活が一変した中二の夏。転校した先で出会った担任の言葉は『音和(おとわ)』の耳に重くひびいた。
課題図書らしい。けど長野まゆみだ。例のジャンルではないだろうが、それでも感想を書くのは難しいんじゃないだろうかと心配になる。なんせ私はいつも悩む...続きを読むので。
登場するのは思春期のシニカルな主人公(もちろん男)、人好きのする分別ある先輩、一風変わってはいるがセンスのある担任等々。長野ワールドとしてのメンツがそろっていてこちらとしては深読みをしたくなってしまうが、そこは課題図書、少年の成長期として体をなしていた。
そしてもう一つの主題と言ってもいいと思うのが『言葉の力』。実際に目にしたように言葉で風景を感じさせることが出来たら・・・。やっぱり物書きとしてはそんな表現をしてみたいものだろうな。もちろん、受け手側にもそれなりの感性が必要だろうけど。
Posted by ブクログ 2014年07月28日
著者の「最高傑作」とあるので、期待して読んだけど、これが最高傑作なら、他の作品を読む必要はないな。
設定は今どきのYAらしく、家庭が崩壊し、心を閉ざした少年。もちろん、仲間やいい教師との交流を経て再生していくわけだけど、出てくる人、皆賢くていい人で、傷ついた少年の心を思いやり、成長させてくれるんだな...続きを読む。
現実にそんなことばかりあるはずないし。
少年の心が託された鳩のすがたもあまりにありきたり。
それでも★三つのわけは、今どきの日本のYAの中では、文章はそこそこいいから。
他は・・・・。
まあ、こういうのが好きな人もいるんでしょうが、よく読んでる人はこの程度のっ作品に感動したりしないよ。
Posted by ブクログ 2013年10月31日
東京の西側郊外を流れる野川を中心とした物語。関東の地図を開いてみてください、東京と神奈川の境を西の奥多摩から東京湾に向けて、東西に多摩川が流れています。野川は西東京を流れる多摩川の支流。
多摩川の周辺にはそれとは気づきづらいのですが、何段かの河岸段丘が残ります。東京側の野川の向こうには”はけ”...続きを読むという地形が残る段丘が広がり、周辺には武蔵野台地に浸み込んだ湧水が野川に流れ込んでいきます。
物語の随所に自転車で走り回った地域が出てきますので、大変馴染みを覚えます。調布飛行場、東京天文台、東京外語大学、まだ緑の多く残る地域です。私のホームタウンは多摩川を渡った逆側の段丘、多摩丘陵です。
長野まゆみさんの作品は初めてでしたが、皆さんの書評を見ると少し異なる雰囲気の作品なのですね。学校の課題図書ということで、深い伏線もなく素直にサラリとした文章でした。
家庭の出来事も深く入り込まず、少年の心の中にも踏み込まなかったのは少し残念。あくまでも平静な感情が続きます。雨の日の父親との心の交流部分が唯一高まりを感じた部分。野川と周辺の風景が強く印象に残る作品でした。
参考) 本棚にもあります
・東京の自然史 貝塚爽平 中央公論文庫
・追い風ライダー 米津一成
・ぼくらは夜にしか会わなかった 市川拓司
・耳を澄ませば スタジオジブリ
・だれかのまなざし 新海誠・和紗
Posted by ブクログ 2012年10月30日
久々に長野さん読みました。
そうか、課題図書やったのか。そのせいなのか、メッセージ性が強くて、長野さんの文章じゃなかったら好きじゃなかったやろうなと思ってしまった。(それでも、中盤の父との場面では泣きそうに!!)
河井先生は先生像としては理想に近かった。それだけに、ちょっとふやけてしまった感じ。文章...続きを読むになっとるのを見ると、ちょっと安っぽく感じてしまった。
そうか、課題図書か…。(?)
河井のことばの情景は美しいけれども、再現するためのことばが無ければ意味がない。わたしの中にある意識を言語化できる人になりたいなあ。
Posted by ブクログ 2012年07月27日
「本当に大切な風景は想像の目で見るものなんだ」
転校先の中学で出会った変わり者の教師の一言で、少年・音和は鳥の目で世界を見たいと願う。伝書鳩を育てる少年たちの感動の物語。
Posted by ブクログ 2012年05月05日
両親が離婚して,カメラマンを廃業して伯父の経営する写真スタジオに
雇われることになった父について引っ越してきた音和は,
転校してきた中学で,一風変わった教師河井に出会う。
河井の勧めで入った新聞部は,鳩を飼って伝書鳩の訓練をするのが
主な活動だった。
ちょっと冷めた感じの転校生が,河井や新聞部の生...続きを読む徒達に受け入れられ,
しっかりつきあっていく過程がうらやましい。