【感想・ネタバレ】ブラック支援 狙われるひきこもりのレビュー

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Posted by ブクログ

ひきこもり経験者の方の「家族からみれば、部屋から出てこないし、何を考えているかもわからなかったと思う。でも本人にとってはひきこもることこそが解決策だった。波に溺れそうな自分が浮石につかまって体をささえている感じです。」という言葉が印象に残った。不登校やひきこもりながらも、このままではダメなんだと、自分自身の気持ちが熟成したり、意思が固まる。そのときに必要な支援がほしいのだと。

高額なお金を払わせ、乱暴なやり方で無理にそういう方たちを部屋や家から出すサービスっていったいなんなんだろう。ほんとに不安感情を利用したビジネスでしかない。上から目線、えらそう。
そしてそんなサービスにすがるような気持ちで依頼してしまう家族も相当追いつめられていたのだと思う。部屋から出ることさえできればかわるのだと。いつのまにかそれが目的になってしまい、そこに希望を持っていた。責められない気がした。

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2023年12月02日

Posted by ブクログ

俗に「引き出し屋」と呼ばれる引きこもり支援を謳った業者がいる。
藁にも縋る思いで頼った引きこもりを抱えるご家族に高額の支援費を捻出させ、引きこもり本人には知らせずに家に押しかけ、7時間も「説得」し、最後は有無を言わせず、施設に移送する。
その実態は、福祉の知識など皆無のスタッフが、言葉巧みに退路を断ち、急ぎ「就職」へと追い込んでいく乱暴なものだった。
引きこもり本人の人権無視の対応には怒りを感じるし、家に来たスタッフたちの異様さに驚き引きこもりの方本人が警察を呼んでも、警察は“家族が依頼したのだから”と、スルーする姿には怖気が走った。
家族の方も、行政や病院にたらい回しにされ、どうしようもなくなっているのも分かる。
批判すべきは、ひとの弱みにつけこみ、お金を搾り取ろうという輩だ。
引きこもりを“困った人”とみなし、引き出し屋を“救世主”のように扱う演出するメディアにも呆れる。
ワイドショーは、“普通の人”の日常のうっぷんを晴らすため、構図を単純にした勧善懲悪のストーリーを描きがちだと思うので、注意せねばと思った。
でも、まだまだ少ないながらも誠実な引きこもり支援をされている方々も居てホッとした。



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2023年10月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

引きこもり当事者を自宅から無理やり連れ出す引き出し屋による事件を例に、今起きている暴力的な支援についてまとめられた本。引きこもりは短期間で解決するものでなく、数年単位で向き合っていく必要がある。

行政による引きこもりのサポート体制が整っていないので、不安な親たちは「短期間で引きこもりを改善する」を謳っている民間支援業者に依頼する。国としても引きこもりの人たちに働いてもらった方がメリットがあるので、民間でなく行政で引きこもりの再生ができる必要があると思う。行政のサポートが整わないと、この本で紹介されたような高額な費用で粗雑な更生プログラムを受けることになってしまう。
僕は引きこもった経験がないので正直イメージがつかないけど、引き出しやのように無理やり力づくで連れ出しても、帰ってトラウマを生むだけ。引きこもりへの支援は少なくても数年単位で信頼を構築しながら改善していく必要がある。頭ではわかるけど、実際数年単位で向き合う体力と知識がある人が日本にどれだけいるのか?自分の中で引きこもり改善の結論は出なかったけど、引きこもりの現状を知れていい機会になりました。

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2023年09月10日

Posted by ブクログ

 重い重い、読んでいてすごくつらい内容でなかなか読み進められなかったです。以前はこの「ひき出し屋」結構ニュースになっていたような…コロナ禍とあいまって、クローズアップされなくなっちゃったのかな…でも、むしろ今は増えているんじゃないかな…。今この瞬間でも引きこもりの当事者も家族も苦しんでいるんですよね…。

 「ひき出し屋」とは、家族に高額な金銭を請求し、ひきこもりの当事者を半ば強引に支援施設に連れ出すというもの…。当事者としたら何の前触れもなく、連れ出されるのでそれだけでトラウマになってしまいますよね…。連れ出された支援施設では、知識も経験もない職員が乱暴ともいえる関わり方で、当事者に就職するよう追い込んでいくんです。家族は、現状を何とか打開したいだけなんです…でも行政や相談窓口をたらい回しされ「短期間でひきこもり状態を改善できます」のキャッチフレーズに、お金はかかってもそれが本人のためにもなるはず…と信じて疑わないんです。それだけ追い詰められているってこと、そこにつけ込む「ひき出し屋」は、まさにこの作品のタイトル「ブラック支援」と同義ですよね!

 私個人的には、ひきこもりの専門的な支援を長いスパンで関わってくれる、行政機関があったらいいのになって思います。著者のあとがきが胸に響きましたので、引用します。
『人生につまずき、心が弱っているときにこそ、その人を信じ、その人の良さ、その人らしさに気づいてくれる誰かの存在が必要だと思います。そこからまた、希望を胸に新しいスタートを切るための「支え合い」―。…こうした支援の考え方が社会に浸透していくことを願います。』

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2023年12月22日

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