あらすじ
敗戦後、子どもたちが心から楽しめる本がなかった日本で、絵本の世界を作り上げてきた松居直。その根底にはことばへの思いがありました。「母の友」連載をまとめた自伝です。
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Posted by ブクログ
もとは月刊誌『母の友』2009年4月号~11年3月号連載。
松居直(1926-2022)。福音館の編集者として、1950年代に『母の友』や『こどものとも』を創刊し、その後数々の子ども向けの絵本を世に送り出した。本書は、その彼への自伝的インタビュー。安野光雅のイラスト(42点)も添えられている。
幼少の頃母親が読んでくれた本の思い出を語っている。印象的だったのは『コドモノクニ』に載った「アメフリ」の詩のこと。「ピッチピッチ チャプチャプ ランランラン」というフレーズに自然と体が動き、外国語だと思ったという。「ジャノメ デ オムカヒ ウレシイナ」では、ジャノメってなに?と思い、しばらくして家にある蛇の目傘だと気づいたそうな。子どもの想像力を掻き立てるようなこの詩、作者は北原白秋。(あとから中山晋平のメロディがついた。)
挿画の安野も1926年生まれで、同い年。彼の絵本デビュー作は、松居の誘いで、福音館から出た。ただ、本書では、あまりに近しいからか、安野のことには触れていない。同様に、奥さんのことにも触れていない。大学生の時に下宿先を世話してあげたお嬢さんが福音館の社長の娘だったとは書いてはいるが、彼女が自分の妻になったとは書いていない。
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ぐりとぐらなどを発掘した松居直さん。彼は豊かな日本語や情緒ある絵が、絵本に必要な要素だという。
それは彼自身が体験してきたから分かること。何が子どもの心を掴むのか。
子育てに必要なのは体験させてあげること。その体験の中には、自然の中で生きるという意味だけでなく、うつくしい言葉で話しかけたり耳にするという意味もある。それが子どもの心を豊かに育てて、想像力を広げてくれる。
子どもにうつくしい調べが使われている絵本を読み聞かせたくなった。この本は子育ての大きなヒントになった。
Posted by ブクログ
福音館書店で数々の名作絵本を世に送り出してきた、松居直氏の自伝。出版後、間もなく逝去されたのが残念である。
装丁も紙質も素晴らしく、松居氏への敬意に溢れた宝石のような本である。
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何回か講演会を聞かせて頂きました。
福音館の絵本の良心ですよね。
松井さんが関わった絵本は安心して(信頼して)子どもたちに読み聞かせしてきました。
今年(2022年)、残念ながらお亡くなりになってしまいました。ご冥福をお祈り申し上げます。
素敵な絵本を私たちに残してくださって本当にありがとうございました。
Posted by ブクログ
福音館創業の編集者による自伝エッセイ。月刊誌「母の友」2009.4〜2011.3のまとめに、娘さんが後書。2022.9発行だが、11月に亡くなられている。
自身の絵本の実体験から、聞かされることや絵が物語を語るといったことを大事にして、戦後の日本の絵本界を開拓されていく様子がとても優しい調子で綴られている
絵本の読み聞かせの暖かさが伝わってくるよう
Posted by ブクログ
子供に本好きになって欲しくて、なんとなしに保育園で紹介された福音館の定期購読をしています。
素晴らしい選書で、これにして良かった!と思っていたところ、「クッタラ」で松居直さんを紹介してたので、そんな絵本の創始者みたいな人の本を読んでみたい!と思って購入。
うちの子はもともと言葉の発達が早くて、8ヶ月くくらいから色んなものを全部「にゃんにゃ」と言い出しました。1歳を過ぎた頃には、「あーおっこっちゃったー」と言い出し、その後「ぼうしかぶりゅ」など2語が出て、2歳を前に3語、4語出ていて大人と普通に会話でき、保育士さんたちもびっくりするほどでした。つまり耳がいいのだな、と思ってたくさん本を読み聞かせ、すぐに内容をを覚えて今では辿々しく母に読んでくれます(笑)
この本を読んで、絵本が子供達にとってどんなに楽しいものか、そして親子のコミュニケーションとして有効なものであるかを確かめることができ、松居さんの情熱が伝わってきました。
そしてこの本こそが、大人向けの絵本そのものでした。いろんな児童文学者やイラストレーターを紹介されていて、どれもその人のここが素晴らしい!と描かれていて、読んでて笑顔になりました。また、ベストセラーではなく10年読み続けられる本を作ろうと言う理念から、利益追求よりも子供の成長を1番に考えていることが伝わりました。
こてからも安心していろんな絵本を与えていこうと思います。