あらすじ
『帰ってきたウルトラマン』が高視聴率を獲得し、円谷プロの熱望した続編の制作が始まった。『ウルトラマンA』には、市川森一発案による男女合体変身という野心的なアイディアと、〝超獣〟という新たなコンセプト、それに小学館の学習雑誌で展開された〝ウルトラ兄弟〟の設定が正式に取り込まれることとなった。そして1972年4月7日に放送された第1話『輝け!ウルトラ五兄弟』は見事28.8%の高視聴率を獲得した。しかし、自信を付けた制作陣の前に、思わぬ障害が待ち受けていた…。ファン待望のドキュメンタリー第6弾! 過去5冊のシリーズで圧倒的評価を得た著者が、今回も現存する資料を精緻に分析。スタッフの多くが共通する宣弘社作品『シルバー仮面』にもスポットを当て、『ウルトラマンA』企画の成立から内容の変遷までを丹念に描く!
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Posted by ブクログ
このような時期にスタートした『ウルトラマンA』は、他番組との差別化、視聴年齢層の低下という二つの問題をクリアするために、いくつかの斬新な設定を試みている。男女合体変身、ウルトラ兄弟の登場、怪獣を超える超獣の登場、シリーズ初の共通の敵、ヤプールの存在などがそうである。ヒーロー、ウルトラマンAのデザインも戦闘的で派手になり、多彩な光線技や切断技を繰り出して子供達の目を楽しませた。
その意味で超獣という発想は、キャラクターのマンネリ化にいち早く対応した新機軸だったと言える。
三人の脚本家を競わせるという試みには、『帰ってきたウルトラマン』以上の企画を産み出そうという橋本の気迫が感じられる。そして前作の上原正三に代わって、シリーズのメインライターを市川森一に、というのは、橋本洋二の当初からの構想だった。
脚本かにとって超獣の解釈が違う
僕は『帰ってきたウルトラマン』の頃から言っていたんだけれども、ウルトラマンより怪獣のおもちゃがよく売れるのはどうして? ということ。でも誰も答えられない。子供は、昆虫とか爬虫類が好きなんですが、それが、怪獣を好きになることとつながっているんだと思います。
人間が成長するのがテーマ、ドラマの最大の力は想像力
特撮もので人間ドラマをかくのは好きじゃない
アニミズムの権化
男女合体の行き詰まりからの石堂さん自由
理屈はないけどおもしろけりゃい
具体せいのあるワンシーンをいかすためにつじつまあわせをする
テーマじゃなくてワンシーンが妙に具体性があってそれを軸に発展できるものが見つかったら一気に行くスタイル
自分は張り手で押していく作風
エースの最後は自分で落とし前をつけろ
メインライターの面目たもって敗北宣言せずにすんだ
脚本家の傷になってはならん
内容の差別化の苦労
前半戦での視聴率の低迷
設定変更
レギュラーの突然の降板
メインライターの降板
最終回での復帰
かえまんと似たような道筋
男女合体やヤプールの存在など、初期設定をいかしきれなかったことによる度重なる路線変更は番組のトータルイメージをあいまいなものにした
Posted by ブクログ
迷走したウルトラマン。
ただ、苦悩の新機軸は魅力的でもあった。
そんなウルトラマンエースの制作裏話。
初めてこのシリーズを読んだけど読み応えがあって面白かった。
でもエピローグのシルバー仮面の章は不要だったかな。
Posted by ブクログ
全体に「惜しい」という感じ。葛藤に迫っているようであと一歩の感がある。メインライターのはずだった市川のコメントと山際監督の(新規)コメントが多数掲載されているのは資料的に価値が高い。それに特撮シリーズを1年続けることの苦労もよくわかった。
しかし、プロローグと称して、「シルバー仮面」の「葛藤」まで長々と掲載するのはどうかと思う。また、後半は各エピソードの雑感めいたところもある(それはそれで面白かったが)。
本書が核心に迫れなかったのは、出演者のインタビューが全然ないところにあると思う。タツミムックの「僕らのウルトラマンA」と併せて読むのがいいかもしれない。